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日本書紀本文神話を愉しむ  作者: 村咲 春帆
正史篇
6/19

『日本書紀』

日本書紀(にほんしょき)舎人親王(とねりしんのう)ら』


 養老四(七二〇)年五月二十一日(奈良時代・元正天皇の頃)成立。


 川嶋皇子(かわしまのみこ)(天智天皇皇子)・忍壁皇子(おさかべのみこ)(天武天皇皇子)らが天武天皇(舒明&皇極(=斉明)天皇皇子)に命じられて着手し、最終的には舎人親王(とねりしんのう)(天武天皇皇子)が中心となって編纂された、伝存する日本最古の正史の歴史書。六国史の第一にあたる。全三十巻、系図一巻(伝存なし)。


 天武天皇が「虚偽が多い」と嘆いたという『帝紀』を撰録し、謬錯を正すことを目的とした一大修史事業としてスタートを切ったはずが、言いだしっぺが死んじゃったり、後任とその部下が別の思惑をぶっこんだりした結果、出来上がってみたら和臭雑じりのモザイク漢文・紀伝体風編年体のナニモノカに成り下がる。歴史書としては珍しい神代を皮切りに、持統天皇の時代まで四十一代千三百五十七年間ぐらいを扱う。



 今更ですが、本家さん。

 『漢書』やら『後漢書』ばりに紀伝体でぶいぶい言わせるつもりだったはずの本家さん。

 『万葉集』同様、日本版高皇帝的存在である雄略天皇から華々しく修史事業を開始したつもりだったはずの本家さん。

 わざわざ本場の渡来唐人を監修者としてつけて、ガッチガチのネイティヴな漢文で記述させてたってのに、後から和臭雑じりのなんちゃって漢文を十三巻も頭に盛られた挙句、ネイティヴだった部分も何やかやといじくり回されて、結局、正統派とはほど遠いイロモノに仕上がってしまった本家さん(ホロリ)。


 日本書紀区分論を読んでいると、何故だかいつも上記のような同情心が湧いてきて仕方ありません。



 さて。

 そんな本家さんの中にも、『日本書紀』絡みと解されている記事はある訳で。それが天武十(六八一)年三月十七日の記述です。


 (三月)十七日、(天武)天皇は大極殿にお出ましになり、詔を以て、

川嶋皇子(かわしまのみこ)(天智天皇皇子)

忍壁皇子(おさかべのみこ)(天武天皇皇子)

廣瀬王(ひろせおう)(系譜不明)

竹田王(たけだおう)(敏達天皇&推古天皇皇子とは別人??)

桑田王(くわたおう)(長屋王の子)

三野王(みのおう)(系譜不明)

(ここまでが皇族。以下、臣下が続きます)

大錦下(だいきんげ)(=冠位二十六階中九位)上毛野(うえつけのの)(=崇神天皇を祖とする一族)「(きみ)三千(みちじ)

(ここまでが臣籍降下した元皇族。以下、臣下が続きます)

小錦中(しょうきんちゅう)(=冠位二十六階中十一位)忌部(いんべの)(むらじ)(おびと)

小錦下(しょうきんげ)(=冠位二十六階中十二位)阿曇(あずみの)(むらじ)稻敷(いなしき)

小錦下(しょうきんげ)(=冠位二十六階中十二位)難波(なにわの)(むらじ)大形(おおかた)

大山上(だいせんじょう)(=冠位二十六階中十三位)中臣(なかとみの)(むらじ)大嶋(おおしま)

大山下(だいせんげ)(=冠位二十六階中十五位)平群(へぐりの)(おみ)子首(こびと)

に、「帝紀及上古諸事」を「記定」させる。

 大嶋と子首は自ら筆を執って記録した。


 ちなみに原文は以下のとおり。

「丙戌、天皇御于大極殿、以詔川嶋皇子・忍壁皇子・廣瀨王・竹田王・桑田王・三野王・大錦下上毛野君三千・小錦中忌部連首・小錦下阿曇連稻敷・難波連大形・大山上中臣連大嶋・大山下平群臣子首、令記定帝紀及上古諸事。大嶋・子首、親執筆以録焉」


 こうして(「梨壺の五人」ならぬ)「大極殿の十二人」が中心となって、本邦初の修史事業という一大プロジェクトは始まったのでございます。


 誰かそんな群像劇、ドラマやら映画やらでやってくれないかしらん。『十二人の怒れる男』がやれたんだから、やってやれないことはないかと思うんですが。


挿絵(By みてみん)

https://13343.mitemin.net/i139203/

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