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日本書紀本文神話を愉しむ  作者: 村咲 春帆
講筵篇
12/19

『日本紀竟宴和歌』

日本紀竟宴和歌にほんぎきょうえんわか藤原国経(ふじわらのくにつね)ら』


 宮中行事である「日本紀講筵」が終了するたびに催された宴会「竟宴(きょうえん)」の場で詠まれた、『日本書紀』に因む題詠和歌、またはそれらをまとめた書物。天慶六年(九四三年)(平安時代・朱雀天皇の頃)成立。


 『史記』等の漢籍講読の場合、終了時に書中の人物を題材として詠史詩(えいしし)(歴史上の人物や史実を題材とした漢詩)が詠まれるのが一般的だったが、それに倣い、『日本書紀』に登場する神・天皇・大臣などを題材として題詠和歌が詠まれた。現存するのは全二巻にまとめられたもの。万葉仮名とひらがなとを併記して表記しており、上巻に元慶六年(八八二年)八月の竟宴(元慶二年の時のもの)の二首と延喜六年(九〇六年)閏一二月の竟宴(延喜四年の時のもの)の四十首、下巻に天慶六年(九四三年)一二月の竟宴(承平六年の時のもの)の四十一首を収録。作歌者は藤原国経(2首)(元慶六年歌)を筆頭に、大江千古(おおえのちふる)(1首)・紀長谷雄(きのはせお)(1首)・紀淑望(きのよしもち)(1首)・貞保親王(さだやすしんのう)(1首)・藤原国経(1首)・藤原忠平(ふじわらのただひら)(1首)・藤原時平(ふじわらのときひら)(1首)・三善清行(みよしきよゆき)(2首)(延喜六年歌)、小野好古(おののよしふる)(1首)・重明親王(しげあきらしんのう)(1首)・藤原師尹(ふじわらのもろただ)(2首)・源高明(みなもとのたかあきら)(1首)(天慶六年歌)など、名だたる上級貴族や皇族が多い。



 『日本書紀』をネタに和歌を詠んだものと言えばこれ。残念ながら歌数は豊富とは言えませんが、現存する日本最初の『日本書紀』の二次創作と言えるかもしれません。しかも公式。


 各天皇は元より、国常立尊くにのとこたちのみこと日臣命(ひのおみのみこと)伊弉諾尊(いざなぎのみこと)日本武尊(やまとたけるのみこと)天手力男命あめのたぢからおのみこと猿田彦(さるたひこ)玉依姫(たまよりひめ)下照姫(したてるひめ)月夜見尊(つきよみのみこと)天穂日命(あめのほひのみこと)衣通郎姫(そとおりのいらつめ)聖徳太子(しょうとくたいし)等を歌題とした歌がずらり。

 その割に、伊弉冉尊(いざなみのみこと)素戔男尊(すさのおのみこと)天照大神(あまてらすおおかみ)大日孁貴(おおひるめのむち)も「歌題」に選ばれていないのは不思議ですが。


――「伊弉諾尊」の題で詠まれた、

()()()()() ()()()()()()() ()()()()() ()()()()()()() ()()()()()()()」(天慶六年・66番歌・従四位下行民部大輔兼文章博士大江朝臣朝綱)


父母(かぞいろ)は憐れと見ずや 蛭兒(ひるのこ)三歳(みとせ)になりぬ 足立たずして」(天慶六年・66番歌・従四位下行民部大輔兼文章博士大江朝臣朝綱)


「父母は不憫に思わないのだろうか ヒルコは生まれて三年になってしまった 足が立たないまま」(天慶六年・66番歌・従四位下(四位の下の下)の位階にありながら格下(五位上の下相当)の民部大輔と兼任で文章博士もやっている大江朝綱)

にキュンとしてみたり。

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