表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記憶喪失の癒し姫と白金の教育係と紅髪の護衛騎士  作者: おうぎまちこ
第3部 大地の章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

83/289

第73話 ノワとフロースが隠していること



 大公プラティエスの妻にして、現在、ウルヴの都の統治を任されている美女フロースは、執務室でそっとため息をついていた。

 彼女の隣には女騎士アリスが立つ。


「失礼するよ」


 騎士に案内されて部屋へと入ってきたのは、オルビス・クラシオン王国のお飾り宰相ノワ・セレーネだった。

 フロースは、扇を仰ぎながら対応する。


「ノワ殿は先日もいらしておったが、今日はいかがされたか?」


 扇越しに、フロースはノワを睨み付ける。


「君は相変わらずつれないな~~昔からそうだよね……僕からのプレゼント、気に入らなかったかい?」


 ノワは恍惚とした表情を浮かべ、フロースに声をかけた。


「プレゼントとは、あの賊のことかえ?」


 ノワを睨み付けたまま、フロースは問う。

 彼はつかつかとフロースに近付いてきた。


「あ、気づいてくれた? あとはお姫様と、剣の生意気なガキもここにいるって聞いたんだけどさ」


(やはり気づいておったか、ティエラ達に……)


 ノワは飄々と言い、フロースに顔を近づけた。

 彼女は、やや顔を背ける。


「吐き気がする……」 


 フロースはぽつりと呟いた。


「あのようなもので女性が喜ぶと思うとるのなら、今一度女の手解きでも、母上様から再教育してもらったらいかがか?」


「……母上は、僕の義弟であるルーナに御執心だ。僕には全然構ってくれないから、無理かな……ねえ、だからぜひ君にーー」


 ノワの腕が、フロースの腕に近付いた。


「ノワ様、そこまでで――」


 アリスが間に入ろうとする。


 その時ら部屋に高い音が響いた――。


「いっ……たぁぁっっ!」


 ノワが叫ぶ。彼の右手が真っ赤になっていた。

 音の正体は、フロースがノワの手を扇で叩いたものだった。



「すまぬ、うるさい虫がおったもんで」


 フロースはしれっと謝った。


「玉の一族からの支援が切られてもしらないからなぁっ! お姫様達を隠したりしたら、ルーナにだってなぁ! ただじゃすまないぞぉっ! 『あのこと』や今回のことだって国に……!」


「ティエラ達はおらん。『あのこと』を国に知られて困るのは玉の一族じゃろうて……アリス、丁重にお返ししろ」


 捨て台詞を叫んだ後も、ノワはぎゃあぎゃあと騒いでいた。

 アリスが彼の首根っこを掴んで、部屋から引きずり出していく。

 どうせ帰しても、懲りずにノワはフロースの元にやって来るだろう。


 ふぅっと息を吐き、フロースは執務室の椅子に腰かけた。


「やれやれ」


 先程騎士から受けていた報告を、彼女は思い出す。


 最後にソルに倒された大男は、捕らえて牢屋に入れてあった。

 今、大男は瀕死の状態で、医師や癒しの魔術の使い手らから治療を受けている最中だ。


 決して、ソルは相手を殺すような闘いはしない。そのことは、フロースもよく知っている。

 アリスにも確認したが、腹を蹴って倒したと言うことだ。

 医師からも、男の体内で出血があったとの報告はなかった。

 恐らくは魔術の才能がないのに大男が魔術を使っていたことが、瀕死の原因だろう。



「何も知らん阿呆が……不完全なままの『あれ』を賊に渡しおってからに……」



 もう部屋にいないノワに向かって吐き捨てるように、フロースは告げたのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ