表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記憶喪失の癒し姫と白金の教育係と紅髪の護衛騎士  作者: おうぎまちこ
第2部 太陽の章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/289

第49話 次の目的地・葛藤する太陽

5/9ソルのティエラへの「お前」呼びを「あんた」に変えています。




 ティエラとソルの二人は顔を見合わせた。

 彼女は、幼少期の事を断片的に思い出すことができることに気付く。


「あれ、何ででしょうか?」


「自然に思い出したのか、憑依されたからか、何かきっかけとなるような出来事……」


「きっかけ……」


 二人は考えてみたが、何なのかは思いつかなかった。


「ソルと一緒によく子供の頃にお城で遊んだこととか、お父様や叔父様達のこととか……本当に少しだけですけど……」


(少しだけでも思い出せたことで、今までふわふわしていた自分の輪郭を、またほんのちょっとだけ描けてきたような気がする)


 ティエラは、ふんわりとソルに笑顔を向けた。


「まあ、何にせよ、また少しだけでも戻ったなら良かったな」


 ソルはこちらを見て、少しだけ困ったような笑顔を向けてきた。


(なんでだろう……ソルが困っているように見える……私の記憶が戻っても、あまり嬉しくないのかしら……)


 自分が記憶を取り戻せば、ソルも喜んでくれると思い込んでいたティエラは、少しだけ寂しい思いをした。


「そう言えば、ソル、シルワ姫からフロース叔母さまに伝言を頼まれていましたよね?」


「フロース様のことも思い出したのか?」


「ええ。小さい時、私をよく可愛がってくださってて……畑で会ったご婦人の話では、叔父様はもうお亡くなりになられたんですね……叔母様ら一体どうしているのかしら?」


 ティエラの父である国王には、妹のシルワ姫、弟にプラティエス大公がいた。

そのプラティエス大公の妻がフロースである。

 フロースとシルワ姫は義理の姉妹に当たる関係だ。


「大公殿下がお亡くなりになって以降、ウルブの都をフロース様が統治なさっている」


「そうなんですね。その……記憶がまだ戻っていない間に、私たちの仲が悪くなったりはしていませんか?」


「この間会ったのはいつだったかな……まあ、フロース様があんたを嫌うなんてことはないよ」


(良かった、フロース叔母様と関係が悪化したりしていなくて)


 ティエラはほっとする。


「まあ、フロース様は、俺のことを目の敵にしているけどな」


 ソルが苦笑いした。


「確かに、あまりソルを可愛がってはいませんでしたね」


「まあ、剣の一族だからかもな……」


(もしフロース叔母様がシルワ姫と仲が良かったのなら、シルワ姫を誘拐して自害に追い込んだとされるヘリオスさんのことを憎んでいたかもしれないわね……)


 ヘリオスに似ていて、同じ剣の一族であるソルのことを、フロースが嫌悪していてもおかしくはなかった。


「なんにせよ、この村から出て、ウルブの都へ行かないといけない。俺は王都に関する情報がほしい……王都の状況がどうなっているのかが分からないから断言はできないが――もしかしたら、あんたにはフロース様が助けになってくれるかもしれない」


(次の目的地はウルブの都)


 ティエラは、この村から南東にあるというウルブの都の方をみつめた。




※※※




 記憶が戻って嬉しそうなティエラを見て、ソルは歓喜の中に、どこかにやるせなさを感じていた。


(ティエラに戻った記憶が、子どもの頃のもので良かった)


 全ての記憶が戻った時に、彼女はどうなるだろうか。


 自分のことを思い出したとしても、やはりルーナのことを好きなままで、自分への気持ちなど無くなってしまっているのだろうか。


 それとも、思い出してしまって苦しむのだろうか。


(俺への気持ちを思い出してくれると考えるなんて――傲慢だな)


 そこまで考えて、ソルはそれ以上考えるのを放棄した。

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ