七夕番外編(月華・玉)
先にルーナとティエラのショートストーリーをお届けします。ソルとティエラの後日談の続きは
7/26頃までに掲載します。
「タナバタ?」
「ええ、そうです姫様。東の国の話です」
幼いティエラは、ルーナの膝の上で話を聞いていた。
今日の彼女は少女らしく、頭に赤いのリボンをつけている。彼女の婚約者であるルーナからの贈り物の一つだ。
「タナバタでは、一年間離ればなれだった男女が再会するのね?」
ティエラはルーナを振り向いた。
彼の白金色をした髪がさらりと揺れる。
「そうです、一度で覚えられるとは、さすが私の姫様です」
「あ、ありがとう……ルーナ」
端正な顔立ちをしたルーナに誉められたティエラは、頬を赤く染める。
幼い婚約者にお礼を言われたルーナは、ティエラの頭を撫でた。
「ねぇ、ルーナはいつもお仕事が忙しいでしょう?」
ルーナの胸に、ティエラはぎゅっと身体を寄せる。
「タナバタの二人の話は、まるで私とルーナのことみたいだわ――」
「姫様――」
「私はいつも、ルーナと会えなくて寂しいの……ワガママ言っちゃダメだってわかってるんだけど……」
寂しげに微笑むティエラを、ルーナはそっと抱き締める。
「離れている時、片時も姫様のことを忘れたことはございません」
「ルーナ……」
「結婚さえすれば、姫様と共に過ごせる時間が今よりも増えるはずです。あと数回タナバタを経て、私たちも幸せになりましょう、姫様」
「ルーナ、嬉しい。あと数回ガマンするわ」
ティエラはルーナの首筋に抱きついた。
「姫様」
そうしてそんな彼女をルーナは強く抱き締めたのだった。




