表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記憶喪失の癒し姫と白金の教育係と紅髪の護衛騎士  作者: おうぎまちこ
後日談

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

285/289

本編(炎陽・剣)後日談5-5 彼女は彼の成長を見届ける5

 お久しぶりです。後日談最新話です。まだもう少し続きます。



「せっかくの休日ですし、皆で調べちゃいましょう!!! 二人の体質とやらを!!」


 女王付きのメイドであるグレーテルに促され、ティエラとソルの二人は、自分たちの体質について調べることにしたのだった――。


 三人は、城の中庭にある魔術研究所へと脚を運ぶことにした。

 研究所の中には、国中の書物を集めた書庫が存在している。そこで調べものをしたが、書物が多すぎて、どれを目にして良いか分からない。


(全然見つからないわね――)


 ティエラが眉をひそめていると、ソルが声をかける。


「セリニが魔術師長室にいるんだったら、話を聞いてみないか?」


「そうね、そうしましょうか」


 白金色の髪に紅い瞳を持つ、年齢不詳の青年セリニは、ティエラが統治するオルビス・クラシオン王国の宰相を勤めている。現在、人材不足も相まって、セリニは魔術師長も兼任しているのだった。

 ちなみに彼は、ソルの直接の魔術の師である。そして、ティエラにとって彼は、魔術の師匠のさらに師匠に当たる。


 グレーテルが他の本を探している間に、ティエラとソルの二人は、魔術研究所の最上階にある魔術師長室に向かうことにした。


「ほら。裾を踏んで、転んだら大変だろ」


 階段に差し掛かった時、ソルがティエラに手を差し出した。


「ありがとう」


 彼の大きい手に、彼女の小さな手が重なる。


(ソルのこういう細やかな優しさが、私はすごく嬉しい……)


 ティエラは改めて、ソルにドキドキしてしまう。


(何年一緒にいても、こんなに嬉しいなんて……)


 彼に手をひかれながら、彼女が階上に登っていると――。


「ティエラ」


 ティエラは、ソルに声をかけられる。


「なあに?」


「俺は、どんな真実があったとしても、あんたの手を離すつもりはない。これから先もずっと――」


「ソル――」


 ティエラの胸がじわじわ熱くなってくる。

 彼女は手を引くソルに向かって、声を張り上げた。


「私も、貴方から絶対に離れない」


 数段上に立つソルが、ティエラの方へと視線を移す。

 彼の碧の瞳を、彼女の黄金の瞳が真っ直ぐに見据えた。


「もう二度と貴方のことを忘れたりしないわ――」


「ティエラ――」


 彼の手が、彼女の手をぎゅっと強く握る。


 階下にいるティエラに向かって、ソルが階段を数段降りてくる。

 彼女に近づいたソルに、彼女の手を少しだけ強くひかれる。


「ソル――」


 いつの間にか、彼女は彼の腕の中に閉じ込められてしまった。

 いつも以上に、彼に抱き締められる力が強くて、ティエラの胸はドキドキし続ける。

 真剣な眼差しのソルが、彼女に向かって口を開いた。


「昔、あんたと結ばれてからも、ずっと言ってこなかったことがある」


「え――?」


 彼は、彼女の亜麻色の髪を払う。

 彼女の頬に、彼の長い指が触れる。


(な、なに……? なんだか、ソルがいつもより真面目だから、すごくドキドキしちゃう……)


 ティエラはソルの次の言葉を待つ――。


「俺はずっと、あんたのことが――」





「お前たち、階段の踊り場で見つめ合うでない」




 階下から、突然二人に声がかかる。

 ティエラの身体がびくりと震えた。

 彼女の前に立つソルが嘆息する。


「はぁ、ったく、またあんたかよ――」


 ティエラは階下を振り向く。


 そこに立っていたのは――。


「セリニ」

「セリニさん」


 ティエラとソルの魔術の師であり、宰相であるセリニ・セリーニだった。

 彼はゆっくりと階段を登り、二人に近づいてくる。


「相変わらず、空気読めないのな……」


「やかましい――。休日とは言え、魔術師達の出入りはある。場はわきまえよ」


 セリニはソルに呆れたような視線を送った後、ティエラの方を見た。


「女王陛下、グレーテルから話は聞いております」


「グレーテルが?」


「左様です」


 ティエラは真実に近付いてきている気がして、ソルの前にいる時とは違う胸の高鳴りを感じる。



「私のこれまでの研究、そしてイリョス様からうかがった話。それからから導き出された、我々一族の体質の推論を述べましょう」




 いつもお読みくださってありがとうございます♪

 次はまた二週間内にお届けしたいと思います。

 

 ムーンライトの、ソルとティエラがイチャイチャしてるだけの話「贄姫、炎陽」もだいぶ読者様が増えました。

 こちらから来てくださっている方々には、大変感謝しております。


 実は2人の過去編で朝チュンになった場面があるのですが、その場面をラブコメちっく(半分ギャグ)に書いたR18短編「ぜんぶ、はじめてだったのに」を、昨日投稿しています♪(あきたこまち名義、日間短編ランキングで探したら早いかな)

 18歳以上で夢が崩れないかたはぜひご覧くだされば幸いです♪

(ルーナファンは見ない方が無難)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ