七夕番外編(炎陽・剣)
皆様、お久しぶりです。雨がひどいですが、いかがお過ごしでしょうか?
後日談最新話の前に、七夕ショートストーリーをお届けします。
平日の夜――。
今日はティエラの護衛も兼ねて、ソルが彼女の部屋を訪ねていた。
「ソル、東方の国に『たなばた』と呼ばれる風習があるらしいわ」
「『たなばた』?」
彼女はバルコニーに一冊の本を手に持ち、室内を振り返って、ソルがいる方に声をかける。
「なんでも、引き裂かれたオリヒメとヒコボシの二人が、一年に一度だけ逢える日が、なんと今日らしいの――!」
読書が趣味であるティエラは、嬉々としてソルに告げる。彼は、部屋の真ん中あたりの位置にある寝椅子に寝転がっていた。彼女の部屋にいる時の彼の定位置だ。
「ふーん、それで――?」
ソルの気のない返事に、ティエラは唇を尖らせる。
(もっと私の好きな話も聞いてくれたら嬉しいのに……さすがに贅沢かしら……?)
寝転がっていたソルが身体を起こす。
「あんたと離れたのは、戦争の時と、去年の事件の時、それに最近の遠征……合わせてせいぜい数ヶ月だな」
(私が産まれた時から、ソルとはずっと一緒にいて、確かに離れて過ごしたことがあるのはそれぐらいね……)
いつも一緒で、『タナバタ』の話とは程遠い――。
ティエラがそんなことを考えていると、彼女の頭上にさっと影が射す。
見上げると、いつの間にかソルが近くに来ていた。
「ソル――どうしたの?」
ソルの両手がティエラの両脇に入り、抱えられる。
そのまま、彼女はバルコニーの柵の上に座らされた。彼女の視線は、彼の目の高さと同じぐらいになる。
「たったそれだけだったけど――」
ソルの碧の瞳がいつになく真剣で、ティエラはドキドキしてしまう――。
「ソル――?」
ソルの唇が、ティエラの唇にそっと触れる。
「――俺はもう、あんたと離れるのはこりごりだよ」
二人は夜の星空に見守られながら、代わる代わる口付けを繰り返したのだった――。
ムーンライトで連載中の二人の話「竜の贄姫は毎夜~」に、この話に色々と加筆して投稿する予定です。
18歳以上で興味のある方は、ぜひお越しください。
(ちなみにソルのご先祖様エピソードが、ムーンライト短編2位になりました笑)
ティエラとルーナの七夕ショートも上げれたらと思っています。
これからもお付き合いいただけましたら、幸いです。




