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記憶喪失の癒し姫と白金の教育係と紅髪の護衛騎士  作者: おうぎまちこ
後日談

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本編(炎陽・剣)後日談4-3 彼の告白に彼女は応える3※R15




 あの後、ティエラとソルの二人は、長時間、セリニにこっぴどく叱られた。その結果、執務の時間が長引いてしまい、ティエラとソルが、彼の部屋で会えたのは月が頂点に差し掛かる頃だった。


「ったく、長いんだよ、あいつの説教は……」


 ソルがため息をつきながら、文句を言った。彼は、白い騎士団の上衣の釦を指で外している最中だ。


「もう、ソルがセリニさんを怒らせるからよ」


 彼のそばに立つティエラは、頬を膨らませながら、ソルに対して文句を言った。

 ソルは、脱いだ上衣をティエラに手渡す。彼女はそれを受け取り、畳むと椅子の上に掛ける。

「女王に何をさせている」とわめく貴族が出てきてもおかしくはない行為だが、わりと二人の間では普通のやりとりでもある。

 文句を言うティエラの横をソルは抜けて、そのまま寝台に身体を投げる。横になった彼は、頭を抱えながら呟いた。


「はあ……毎日あいつと一緒にいるからか、あんたまで説教じみてきたな……」


 ティエラは振り返り、横たわるソルに近づいた。


「それにしても……あんた、またなんか薄い服着てるな……」


「このネグリジェのこと?」


 ティエラは近くにあった鏡で、自身の格好を確認した。白くて滑らかな絹でできたネグリジェを身にまとっている。袖がなく、左右の胸元から伸びた紐を、首の後ろで結ぶタイプのものなので、少し心もとない。ちょうど膝が隠れるぐらいの丈で、デザインもシンプルで可愛いので、ティエラとしてはわりと気に入っていた。

 このネグリジェ、「姫様にプレゼントなんです~~」と言って、グレーテルが渡してきたものだった。最近の彼女は、可愛いもの巡りとやらにはまり込んでるらしい。そのため、せっかくの贈り物だからとティエラは着用してみたのだった。


「ああ。まあ、俺しかあんたのことは見ないけどな……」


 ソルは昔からそうだが、とにかく彼女が薄い服やら露出が多い服を着用するのを好まない。ティエラの婚約者だったルーナとは対照的だった。ルーナの場合は、可愛らしく着飾った彼女を周囲にひけらかしたいような面があったと言える。


(最近、ソルのほうこそ、私に対して説教が多いような……)


 いや、昔よりは多くない。ティエラは頭を振った。そして、寝台に登り、彼の隣に横になった。

こちらを向いた彼の碧の瞳と出会い、ティエラはどきりとした。

 なぜならば、彼が真剣な眼差して彼女を見ていたから――。

 彼女の鼓動が、少しだけ速くなっていく。


「どうしたの? そんな真面目な顔して……」


 ソルは何も答えなかった。

 ティエラには、そんな彼が少しだけ苦しそうに映った。

 以前、ソルが口にした言葉が頭の中によぎる。


『正直、幸せすぎて不安なんだ。あいつが帰ってきたら、あんたを持っていかれそうで……』


(また私は、ソルのことを不安にさせたのかしら――?)


『俺も分からないんだ。どうしたら、あんたのことで、自分が安心できるかなんて』


 ティエラとルーナとの婚約や婚姻についても、有耶無耶になっているだけだ。

 ソルとティエラが恋人同士であることは、黙認されているだけでしかない。まだ周囲の人々に、二人の関係を理解されたわけではない。

 彼のことを受け入れるだけで良い。確かに彼はそう言ったが、本当にそれだけで良いのだろうか?


 このまま彼の気持ちを受け入れるだけならば――。


 周囲に関係を隠したまま、戦争から帰ってきたソルと恋人同士になった頃との違いがないのではないか――?

 あの頃との違いは、この場にルーナがいないことだけだ。


 恋人同士になったばかりの頃のことを思い出す――。

 戦後、情緒が不安定になっていたソルは、ティエラがルーナと一緒に過ごすのを非常に嫌っていた。彼女とルーナは婚約者同士だったから、二人一緒になるのは仕方のない場面も多々あったが、とにかく嫌がっていた。


『俺と一緒になってほしい』


 結局、ルーナがいなくなった今も、ソルに返事もしていない。


(これ以上、ソルを不安なままにさせたくはない)


 ティエラは、ソルに仰向けにさせられた。亜麻色の長い髪が寝台の上に散らばる。ソルに組み伏せられた彼女の顔に、彼の顔が近づき、互いの唇が触れ合った。そうして、彼から何度も口づけられる。

 しばらくして唇が離れた時、ティエラはソルに告げた。


「……ソル……昼間も言ったけれど、大丈夫だから――」


 彼を安心させるように、ティエラは両腕を伸ばし、ソルの身体にそっとしがみついた。

 彼女は唇を、彼の耳元に寄せる。

 

「ずっと昔から、ソルのことが好き――」


そう言った彼女に対して、ソルが返答した。


「俺もあんたの気持ち、わかってるつもりなんだけどな――」


 彼は、少しだけ寂しそうな口調をしている。


「これからもソルと一緒にいたいの――」


「……あんたのこと、もう、二度と、離すつもりはないから」


 その夜、ソルの腕に抱かれながら、ティエラの中で一つの決意が生まれたのだった。


 




 この後日談4―3の続きを近日中に投稿する予定です。もしかしたら、4―4~ではなく、5-1~にするかもしれません。ソルの母親が出ますが、まあ彼の母親ですので個性が……(笑)

(ソルの父親イリョスとの恋愛話を、別作品枠で投稿しようかな……需要はなさそうだけど……笑)

 ちなみにこちらの改稿を進めつつ(現在4章ぐらいまで)、カクヨム様には「癒し姫」の一人称Verを載せるかもしれません。やっぱり大変だったら三人称のままかも。

 ムーンライトノベルズに投稿するときは、R18名義をおうぎまちこにしてから投稿いたします。こちらは色々省くかもしれません。


 6月第2週ころまでには、こちらの後日談の続きを掲載したいと思いますが、日付が未定なので、完結済設定のままになります。

 これからもどうぞお付き合いいただければ幸いです。 

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