【正史】2-5 大地に太陽が重なる※R15&if
問題の話。たぶん、この話は正史ですと作者が明言すると、ルーナのifルートでの展開と齟齬が生まれる可能性もあるため、この話の解釈を読者様に委ねることをお許しください。そのため、ifになっています。
性的なことが苦手な方は、パスしていただけると助かります。
ティエラ13歳、ソル17~18歳
暗闇の中、ぼんやりとした灯りが二人を照らしている。
「きゃっ……」
突然、ティエラの視界が返った。
彼女の亜麻色の髪が、白い寝台の上に拡がる。
「そんなに言うんだったら、俺にあんたをくれよ」
ティエラの身体の上に、ソルの身体が覆いかぶさるようにして重なっていた。
彼女は体を動かしたかったが、押さえつけられていて動かすことが出来なかった。
でもそれよりも、お前ではなく「あんた」と呼ばれたことにティエラの胸は震えた。
だけれど――。
「無理だろ?」
彼は、褪めた眼をしていた。
こんな瞳で、この人からみられたことなど、今まで一度もない。
嘲るような笑いを浮かべる、この人は誰だろう。
「なあ? あんた、俺の事が好きだって言ってたけど、ルーナのことも嫌いになれないって言ってたよな? 国が決めた婚約者だ。優しいあんたに、誰かを裏切ったりなんか出来ないだろ? 応えられないよな」
ティエラの体の上に乗る彼は、そのまま話を続ける。
「ずっと、あの男があんたに触れるのが嫌だった。頭の中で、何度もあんたの身体を抱いた。頭の中で、もう何回想像したか分からない。気持ち悪いだろ?」
彼は笑いながら、涙を流していた。
その涙が、ティエラの頬に落ちて来る。
胸が締め付けられるようだった。
彼に組み敷かれ、逃げ出せないぐらい強く抑えられている。それにも関わらず、不思議と彼への怖さはなかった。
「私をあげたら、貴方は生きてくれるの?」
ソルは眼を見開いた。
「貴方がそれで、生きてくれるのなら」
彼女がそう言うと、また彼の瞳から涙が溢れた。
ティエラは、嗚咽をもらすソルを見る。
「貴方を癒すことが出来るのなら」
少しだけ、彼の力が緩む。
ティエラは、身体を少しだけ動かす。
両手で、彼の頬を包んだ。
指先が、彼の涙に濡れていく。
彼女は、自身の頭をゆっくりと持ち上げる。
そしてそのまま、彼の唇に自身の唇を、重ねた。
そして離れる。
ソルは、泣きながらティエラを見ている。
「……だったら……貴方の、思うようにして」
そう彼女が口にするや否や、ソルが彼女の唇を塞いできた。無理矢理口を開かれ、彼の舌が侵入してくる。声が洩れ出る。彼の吐息が、熱を帯びていて、頭がくらくらしてきた。
気付いたら、彼に彼女の袂を開かれている。
彼の舌で口内を好きにされている間に。
いつの間にか、ソルの指が服の隙間から入りこんでおり、彼女の白い肌をなぞる。
繰り返される口づけの間、時折、ティエラの囀りが聴こえる。
ひとしきり口内を貪られた後に、ソルの唇は彼女の首筋から胸元までを這う。肌に吸い付かれ、今までに感じたことのない痺れを、ティエラは感じる。
突然、胸が膨らむ柔らかい部分を噛まれ、痛みが走った。
彼女の白い肌に血がにじむ。
「いたい」
甘い痺れで疼く。
これ以上何か続けば頭がおかしくなりそうだ。
ティエラは、ぼんやりしてくる中、愛する人の名を呼んだ。
※※※
「……ソル……」
名を呼ばれた彼は、悦びに震える。
彼女は自分の名を呼ぶだけで精一杯なようだった。
再び自身の舌で、ずっと一つになりたかった彼女の口内を犯し始めた。
室内には、二人の苦し気な息遣いが響いた。




