表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記憶喪失の癒し姫と白金の教育係と紅髪の護衛騎士  作者: おうぎまちこ
過去編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

232/289

【正史】2-5 大地に太陽が重なる※R15&if

 問題の話。たぶん、この話は正史ですと作者が明言すると、ルーナのifルートでの展開と齟齬が生まれる可能性もあるため、この話の解釈を読者様に委ねることをお許しください。そのため、ifになっています。

 性的なことが苦手な方は、パスしていただけると助かります。

 

 ティエラ13歳、ソル17~18歳




 暗闇の中、ぼんやりとした灯りが二人を照らしている。



「きゃっ……」


 

 突然、ティエラの視界が返った。

 彼女の亜麻色の髪が、白い寝台の上に拡がる。



「そんなに言うんだったら、俺にあんたをくれよ」


 ティエラの身体の上に、ソルの身体が覆いかぶさるようにして重なっていた。

 彼女は体を動かしたかったが、押さえつけられていて動かすことが出来なかった。


 でもそれよりも、お前ではなく「あんた」と呼ばれたことにティエラの胸は震えた。


 だけれど――。



「無理だろ?」



 彼は、褪めた眼をしていた。


こんな瞳で、この人からみられたことなど、今まで一度もない。


 嘲るような笑いを浮かべる、この人は誰だろう。


「なあ? あんた、俺の事が好きだって言ってたけど、ルーナのことも嫌いになれないって言ってたよな? 国が決めた婚約者だ。優しいあんたに、誰かを裏切ったりなんか出来ないだろ?  応えられないよな」


 ティエラの体の上に乗る彼は、そのまま話を続ける。


「ずっと、あの男があんたに触れるのが嫌だった。頭の中で、何度もあんたの身体を抱いた。頭の中で、もう何回想像したか分からない。気持ち悪いだろ?」


 彼は笑いながら、涙を流していた。


 その涙が、ティエラの頬に落ちて来る。


 胸が締め付けられるようだった。


 彼に組み敷かれ、逃げ出せないぐらい強く抑えられている。それにも関わらず、不思議と彼への怖さはなかった。



「私をあげたら、貴方は生きてくれるの?」



 ソルは眼を見開いた。



「貴方がそれで、生きてくれるのなら」



 彼女がそう言うと、また彼の瞳から涙が溢れた。

 ティエラは、嗚咽をもらすソルを見る。



「貴方を癒すことが出来るのなら」



 少しだけ、彼の力が緩む。

 ティエラは、身体を少しだけ動かす。


 両手で、彼の頬を包んだ。

 指先が、彼の涙に濡れていく。


 彼女は、自身の頭をゆっくりと持ち上げる。

 そしてそのまま、彼の唇に自身の唇を、重ねた。


 そして離れる。



 ソルは、泣きながらティエラを見ている。



「……だったら……貴方の、思うようにして」



 そう彼女が口にするや否や、ソルが彼女の唇を塞いできた。無理矢理口を開かれ、彼の舌が侵入してくる。声が洩れ出る。彼の吐息が、熱を帯びていて、頭がくらくらしてきた。


 気付いたら、彼に彼女の袂を開かれている。

 彼の舌で口内を好きにされている間に。

 いつの間にか、ソルの指が服の隙間から入りこんでおり、彼女の白い肌をなぞる。


 繰り返される口づけの間、時折、ティエラの囀りが聴こえる。


 ひとしきり口内を貪られた後に、ソルの唇は彼女の首筋から胸元までを這う。肌に吸い付かれ、今までに感じたことのない痺れを、ティエラは感じる。


 突然、胸が膨らむ柔らかい部分を噛まれ、痛みが走った。

 彼女の白い肌に血がにじむ。


「いたい」


 甘い痺れで疼く。


 これ以上何か続けば頭がおかしくなりそうだ。


 ティエラは、ぼんやりしてくる中、愛する人の名を呼んだ。




※※※





「……ソル……」 


 名を呼ばれた彼は、悦びに震える。

 彼女は自分の名を呼ぶだけで精一杯なようだった。

 再び自身の舌で、ずっと一つになりたかった彼女の口内を犯し始めた。



 室内には、二人の苦し気な息遣いが響いた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ