【正史】1-4 太陽は影と再開し闇に包まれる
日をまたいでしまい申し訳ございませんでした。
戦中、この続編の「蒼星のセレス」と同時進行しています。
前回の過去編1-3→蒼星第19話→本話と読むと話はより分かりやすいかもしれません。お時間がある方はお試しください。
水曜日には戦い終わり、戦後まで行けるかどうか?ですかね。一旦また休載して、土日にはif開始します。
「ソル様、大丈夫でしたか~~?」
戦場に似つかわしくないおどけた調子の声が、ソルの耳に届いた。
「ウムブラか」
たまたまだが、ウムブラと出くわすことが出来た。
いつもはからかわれて腹が立つことも多いが、戦場で彼を見ると、ソルは少しだけ安心してしまった。
「一応、この戦い、これまでは順調のようですね」
そう言ってウムブラは笑っていた。いつも通り飄々としている。
彼が真の意味で困ったりすることがあるのか、ソルには分からなかった。
オルビス・クラシオン王国によって、緩衝地帯の北側にある山の制圧は済んでしまった。海側に関しても、もう抑えてあるはずだ。残る平地に関しても、要所の三分の二近くを陣取っている。
オルビス側には有能な騎士と魔術師達がいるのもあり、被害はほとんどない。
一方、スフェラ公国側は戦士たちが育っていないことがかなり影響している様子だった。当初の半数以下まで敵の数は減っていると推察された。
現在、ソル達は山を下り、国の中間付近に滞在している。
ウムブラが話を続けた。
「イリョス様じゃなくてソル様が、引いてはオルビスが強いことも証明できたかと」
「ああ……」
(人を殺して褒められても、あまり嬉しくはないな)
ソルの心の内が鉛の様に黒く押しつぶされていくようだった。
ウムブラには褒められているが、自身では納得が言っていない面がある。
『化け物』
スフェラの青年に投げかけられた言葉が、まだ胸にしこりになったかのように残っている。
平時ならば、人を殺せば罪に問われる。
だが戦争ならば、人を殺せば賞賛される。
何が正しくて、何が悪いのか、善悪がひっくり返る状況に、自分の意思決定がなされないままに流されていくのが嫌だった。
最近は、極力何も考えないようにして剣を振るっている。
そこに自分の意思があるのかどうか分からない。
次第に、自分自身が何を考えているのか分からないような……。
段々、自分が何者か分からなくなってきている気さえする。
(あの男の言うような、生き物なのかもしれないな。俺は――)
自嘲気味に笑うソルに向かって、ウムブラが声を掛けた。
「ソル様、実は斥候から連絡がありまして――。スフェラ公国に、どうも不思議な力を持った子供たちがいて、その子たちが参戦しているそうなんですよね」
「子どもがか?」
「ええ。それがどうも――」
そこまでウムブラが話し掛けた時、ソルとウムブラ達の近くに、急速に闇が近づいてきた。
そして、暗黒の先に目をやる。
信じられない数の騎士や兵士達の姿が目に入った。
「な……! いつの間に、どうして……?」
「相手も捨て身で来たようですね」
ソルは、珍しくウムブラの声に焦りを感じ取った。




