【正史】0-14 戦前
おじさん達が会話するだけの話になってしまいました。ごめんなさい。
新作「蒼星のセレス」と話数調整に入っています。話を連動させていく予定なので、どうぞよろしくお願いします。
今回、話も短くてごめんなさい。
「開戦は、避けられそうにない、か」
国王テラノ・オルビス・クラシオンの声が、玉座の間にぽつりと零れる。彼の優し気な金の瞳が、揺れている。
現在、玉座の間に、国の首脳陣が集まり、会議をおこなっていた。
「申し訳ございません。神剣の力が、愚息に移行している時機を狙われてしまいました」
国王の前に立つこの国の騎士団長イリョス・ソラーレが、国王に向かい、深々と頭を下げていた。
国王は、イリョスの謝罪にやんわりと答える。
「想像は出来ていたことです。イリョスが謝ることではありませんよ」
イリョスの近くに控えていたノワ・セレーネが、不思議そうにイリョスを見ていた。
ノワの隣には、義弟であるルーナ・セレーネが控えている。
「どういうことでしょう?」
ノワは、国王に尋ねる。
それに対し、国王の隣に立つ大公プラティエス・オルビス・クラシオンが説明を行った。
「ちょうど、神剣の力が、イリョスからソルに移行し始めている。一騎当千と評判だったイリョスの力が弱まる時期だ。オルビス・クラシオン王国が弱体化している今こそ戦を仕掛けようと、スフェラ公国は狙いを定めていたんだろう」
大公プラティエスの隣には、彼の愛弟子であるセリニ・セレーネも控えていた。
彼は、「差し出がましいですが」と言って口を挟む。
「魔力の高まりも感じますゆえ。宣戦布告なしで仕掛けてくる恐れもあるかと」
セリニの言葉に、ノワが反応する。
「でしたら、ルーナは強い。義弟を戦に駆り出せば、すぐに終わるのではないですか?」
「そうはいかない」
すぐにイリョスが低い声で、ノワに反論する。
「次代の剣の守護者が弱いと思われたままだと、また戦を仕掛けてくる輩もいるだろう。確かにルーナ殿は強いが、魔力の源泉のない場所などでの戦いは不利だ」
イリョスの鋭い眼光に、ノワは身震いしている。
大公が、話を進める。
「じゃあ、あの剣の坊主が出陣なのは良いとして、魔術師は誰を出す? ルーナは、城とティエラの防衛で決定だ。俺は研究の方を優先しないといけない。本当は研究を手伝ってもらいたいんだが、セリニか?」
セリニは、特に表情を変えた様子はない。
彼は、淡々と答える。
「特に問題はありません」
「もう一人、魔術師の集団を率いることができる奴がほしいな」
咳をしている国王に代わり、プラティエスが話す。
それにルーナが返答した。
「ウムブラで、どうでしょうか?」
「ああ、あの平民のな」
プラティスが納得していた。
呼吸を整えながら、国王が皆の話をまとめた。
「今度の戦、イリョスが出れぬ。まだ成人したばかりだが、新たな剣の守護者ソル・ソラーレの初陣だ。必ずや勝利を収めることが出来るように、心してかかれ」
皆が是と頷く。
本人の知らぬところで、ソルの初陣が決定していた。
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