表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記憶喪失の癒し姫と白金の教育係と紅髪の護衛騎士  作者: おうぎまちこ
第4部 竜の章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

155/289

第117話 街の外へと

おはようございます(^^)

今日も皆さん、寒いですが体調にはお気をつけ下さい。





「見て、あのお兄ちゃんとお姉ちゃん、道の真ん中でくっついてるよ」


 母親に手を引かれて歩く子どもが、ティエラとソルを見ながら、大きな声でそう言った。

 ソルに抱き寄せられていたティエラは、はたと道の中央にいたのを思い出す。咄嗟に、彼から距離をとる。


(周囲の視線が痛い……)


 恥ずかしさが込み上げて来る。頬が紅潮するのを感じた。


「ちょっと良いか?」


 ソルが、外れたペンダントを手に持ち、ティエラの首に回す。指が首筋に当たって、なんだかくすぐったい。彼女はますます頬が火照っていくのを感じる。

 彼が、ペンダントの留め具をつけてくれた。


「よし、今度は失くすなよ」


 そう言われて、ティエラは嬉しくなる。

 昔の事を思い出した。


(そう言えば……)


 ルーナからの贈り物を取り返してくれた時の続きだ。

 贈り物とは、ガラスで出来た薔薇のコサージュだ。

 ティエラがひとしきり泣いた後。胸につけるコサージュを、なぜかソルは、ティエラの頭に付けてきた。


 そんな昔のことを思い出して、彼女はくすりと笑ってしまう。


 ちなみにコサージュは、台座と本体がばらばらになってしまっていた。それを即席でソルが戻してくれてはいたのだが。一応あの後、本職は刀鍛冶だという制作者をわざわざ城に呼んで、修理してくれたのだった。



「ほら、行くぞ」



 そう言ってソルに手を差し出されたので、ティエラはいつものように手を引かれながら歩き始める。


 なんだかいつもより、切ない気持ちも、ティエラの中に込み上げていた。




※※※




「はぁ? 街の外に出ていく姿を見たって?」


 街の入り口付近でのことだ。

 部下の騎士から指示を受けていたネロは、疑問を口にする。


「こんな夜にぃ? 子どもたちだけでか?」


 ネロに声を掛けられた騎士は、たじろいだ様子を見せた。


「門を守っていた騎士が、そのように申しておりまして……」


 それを聞いたネロは唸る。

 今日は、街で祭りがあっている。そのため、人の行き来がいつもより激しい。


「普通出すかねぇ。どうすんの? なんかあったら?」


「それは私にはなんとも……」


 ますます騎士は、腰がひけた様子になる。


「騎士達も祭りだからって浮かれてんじゃない? まあ、出しちゃったんなら仕方ないか。追い掛けよう」


 そう言って青銅色の短髪をかきながら、ネロと騎士は街の外へと続く道を歩いていった。




※※※




 しばらく歩いていたら、たまたまネロを見つけた。ティエラとソルの二人は物陰に隠れた。

 ソルが、聞き耳を立てる。

 彼は、常人より目や耳が良いため、かなり距離はあったが聴こえているようだ。

 試しにティエラも耳をすましてみる。でも、彼女の耳では、ネロ達の音声を拾うことは全く出来なかった。

 ネロ達が立ち去ると、ティエラはソルにどうだったのか尋ねる。


「子供らは外に出てるみたいだな」


 ソルの言葉にティエラは愕然とした。


「こんな暗いのに?」


「ああ。ネロの様子だとな。それよりどうする? 街の外だ。このまま追い掛けるか? 罠の可能性も否定は出来ないぞ」


 罠。


 ルーナが、という事だろうか。


 わざと子どもを外に誘き出して、追い掛けさせると。


 ティエラの性格上、見過ごせないのは、ルーナもよく知っているはずだ。

 

 自分はともかく、ソルが城に連れ戻されるのは困る。


「とりあえず、セリニを呼ぶか?」


「どうする?」


 そう問われ、ティエラは逡巡した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ