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記憶喪失の癒し姫と白金の教育係と紅髪の護衛騎士  作者: おうぎまちこ
第4部 竜の章

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太陽の追憶7

いつも読んでくださる皆様、本当にありがとうございます。


ティエラ視点、

次から本編。




「ソル!」


 ティエラが叫ぶ。

 橋の欄干から身を乗り出して、川を見る。

 ソルが川に飛び降りてしまった。

 なかなか出てこない。彼女は不安が高まったのか、何度かソルの名を呼ぶが上がってこない。


「ソル! どうしよう……」


 ネロはティエラの後ろで、男を縛り上げている。


(どうしよう、私が言うこと聞かなかったから)


 ちゃんと彼の忠告通り、贈り物を外に持ち運ばなければ、こんな事態にはならなかったはずだ。


(ソルに何かあったら――)


 今までは大丈夫だったが、今日もまた大丈夫だとは限らない。

 確かにルーナにもらった大事な物だった。

 でも、それ以上に――。


 ティエラの瞳から、涙がまた溢れて来た時――。


 彼女の足元の近くの川から、突然手が伸びてきた。そのまま欄干を掴む。

 水の中から勢いよく、ソルが顔を出してきた。

 彼は、腕の力で橋に上がる。


「あ~~あ、ずぶ濡れだよ、ったく」


 全身水浸しのソルは橋に上がり、悪態をつきながらティエラの正面まで来る。


「いつもは、あんたが先に溺れたりすんのにな」


 そう言って軽口を叩くソルに、ティエラが怒鳴った。


「無茶しないで! 上がってこなくて心配したんだから!」


「あんたがそれを言うのかよ……」


 半分八つ当たりだ。

 ティエラは顔を伏せて、また泣き始める。


「ああもう、しょうがねぇな」


 ソルがそう言って何かごそごそとやっていたが、ティエラは前を向くことが出来ない。


「いいから、ほら、こっち向けって!」


 促され、ティエラはソルの方を向いた。

 目の前に何か差し出される。



 それは――。



「ほら、これ渡しとくから。もう、失くすなよ」



――ガラスで出来た薔薇のコサージュだった。本体と台座のどちらもある。



 ソルの顔は、遠くで聴こえる祭りの灯りに照らされている。


 嬉しいはずなのに、ティエラはまた涙が出てくる。


「ルーナからの贈り物が返ってきたからって、泣くほど喜ぶことかよ」


「違う、私は――」



(ソルはどんな時も、私の気持ちを大事にして、願いを叶えてくれる)



 そうしてティエラは、ソルに抱き寄せられ、しばらく泣き続けたのだった。




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