太陽の追憶7
いつも読んでくださる皆様、本当にありがとうございます。
ティエラ視点、
次から本編。
「ソル!」
ティエラが叫ぶ。
橋の欄干から身を乗り出して、川を見る。
ソルが川に飛び降りてしまった。
なかなか出てこない。彼女は不安が高まったのか、何度かソルの名を呼ぶが上がってこない。
「ソル! どうしよう……」
ネロはティエラの後ろで、男を縛り上げている。
(どうしよう、私が言うこと聞かなかったから)
ちゃんと彼の忠告通り、贈り物を外に持ち運ばなければ、こんな事態にはならなかったはずだ。
(ソルに何かあったら――)
今までは大丈夫だったが、今日もまた大丈夫だとは限らない。
確かにルーナにもらった大事な物だった。
でも、それ以上に――。
ティエラの瞳から、涙がまた溢れて来た時――。
彼女の足元の近くの川から、突然手が伸びてきた。そのまま欄干を掴む。
水の中から勢いよく、ソルが顔を出してきた。
彼は、腕の力で橋に上がる。
「あ~~あ、ずぶ濡れだよ、ったく」
全身水浸しのソルは橋に上がり、悪態をつきながらティエラの正面まで来る。
「いつもは、あんたが先に溺れたりすんのにな」
そう言って軽口を叩くソルに、ティエラが怒鳴った。
「無茶しないで! 上がってこなくて心配したんだから!」
「あんたがそれを言うのかよ……」
半分八つ当たりだ。
ティエラは顔を伏せて、また泣き始める。
「ああもう、しょうがねぇな」
ソルがそう言って何かごそごそとやっていたが、ティエラは前を向くことが出来ない。
「いいから、ほら、こっち向けって!」
促され、ティエラはソルの方を向いた。
目の前に何か差し出される。
それは――。
「ほら、これ渡しとくから。もう、失くすなよ」
――ガラスで出来た薔薇のコサージュだった。本体と台座のどちらもある。
ソルの顔は、遠くで聴こえる祭りの灯りに照らされている。
嬉しいはずなのに、ティエラはまた涙が出てくる。
「ルーナからの贈り物が返ってきたからって、泣くほど喜ぶことかよ」
「違う、私は――」
(ソルはどんな時も、私の気持ちを大事にして、願いを叶えてくれる)
そうしてティエラは、ソルに抱き寄せられ、しばらく泣き続けたのだった。




