表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記憶喪失の癒し姫と白金の教育係と紅髪の護衛騎士  作者: おうぎまちこ
第4部 竜の章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

137/289

第108.5話 月が思ふは偽りの陽




 月が隠れ、太陽が登ろうとしている。


 白金色の髪が、日に照らされ、金のように煌めく。

 ルーナは昨晩の事を考えていた。



『駄目だ……俺には、いくら中身が別でも……陛下を殺せない……!』



 ソルの言葉を反芻した。

 迷いを抱く、彼の碧の瞳。

 ルーナの蒼い瞳に、白金色の睫毛の影が落ちる。


「殺せない、か」


 弱い。

 やはり、自分とは相容れないと思う。



「もう少し、ばか正直で気概がある男だと思っていたが」



 姫を護るためなら、己の正義を貫くかと思っていたけれど。



「優しさで、自分を偽るようでは弱い」



 ティエラとソルの二人が脳裏に甦る。

 先日、屋敷に入った時も、そうだ。


 彼女が記憶を喪う直前もそうだった。

 いつも何かを諦めたように見えた。

 何かを悟ってしまったかのように振る舞っていた。


 昔の、あの正直さはどこにいったのだろう。



「もう日がない。このままでは剣も……」



 彼は、大人のなり方を間違えて、陽の輝きを失ったのかもしれない。

 何がそうさせたのか。

 果たして戦だけだろうか。

 姫も、自分も、原因かもしれない。

 ルーナは自虐的な笑みが出てきて、自分でも意外に感じていた。



「邪魔になるようなら、要らないな……」



 己を殺した決断では、私に刃は届かない。


 ルーナは一人、朝陽を見つめていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ