大地を統べし者1
ちょこちょこ過去編が挟まってわかりづらくて申し訳ございません。
「太陽の追憶1」からの続きに近い話になります。
三人称だけど、国王視点に近い話です。
どうぞ、よろしくお願いいたします♪
「ティエラ」
池から帰ってきて、部屋に寝かされていたティエラ。
お世話係を勤めているソルの姉。彼女に濡れた衣服を、綺麗なものに取り替えてもらい、そのまま横になって過ごしていた。
近くの寝椅子には、ソルが控えている。
そんな彼女のもとに、父である国王が尋ねてきていた。
「またソルにわがままを言って、外に出たのかな?」
「ごめんなさい、お父様……」
国王は、ティエラと同じ亜麻色の髪と金色の瞳をしている。亜麻色の髪は肩より長く、さらりとしている。金色の瞳を覆うように、眼鏡を掛けている。表情はいつも柔和で、口調もゆっくりだ。
見た目通り、とても穏やかな人だ。
だがティエラは、今日は――というよりも、今日もソルを連れ出して、無断で外に出ていた。その事で、ティエラは国王に叱られていた。
「決して無断で、外に出てはいけないよ」
怒鳴られたりすることは決してない。諭すように説明されるため、娘の心にはざわざわと罪悪感が沸く。
「でも、女の人が、池に指輪を落としたって言ってたから……」
つい、ティエラは言い訳をしてしまう。
「君のそういうところは、良いところではあるけどね」
国王は苦笑している。
ティエラは、国王を見上げながら問いかける。
「お父様こそ、お身体は大丈夫なの?」
「大丈夫だ」
ティエラから見ても、今日の父の顔色は良いように見えた。
わざわざ会いに来てくれて、心が暖かくなるのを感じる。
「身体は動くようになったかな?」
ティエラは、寝具の中で四肢を動かしてみる。
少しだけいつもより重いが、動きは悪くない。
ティエラが「大丈夫」と伝えると、国王は「良かった」と微笑んでくれた。
「実は、今日は紹介したい人がいるんだ」
ティエラは疑問に思いつつ起き上がり、寝台から出る。
「ソルも、一緒に紹介するからついておいで」
魔術理論に目を通したまま寝てしまっていたソルに、国王が声をかける。
一緒に過ごすことが多いソルだが、わりかし部屋で自由に過ごしているため、いるかいないかわからないような時がある。今日は、本を読んだまま寝てしまっていたようだ。
そうして三人は謁見の間に向かった。




