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記憶喪失の癒し姫と白金の教育係と紅髪の護衛騎士  作者: おうぎまちこ
第3部 大地の章

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第89話 洞窟にある部屋

皆さんいつもありがとうございます♪

投稿がいつもより、スローペースになってしまいまして申し訳ありませんでした。

久しぶりにたくさん読んできました~♪

このサイトには、良い作品がたくさんありますね♪

その中で、この作品にたどり着いて読んでくださっている皆様には、本当に感謝しております♪

では、どうぞよろしくお願いいたします♪




 気を失った後、ティエラは夢を見ていた。


「姫様、最近いつも憂いていらっしゃいますね」


 ティエラが振り返った先。

 周囲から、月の化身と評される婚約者の姿があった。


「え……そうかしら?」


「ソルが気になりますか?」


 そうルーナが言うと、ティエラの頬にさっと朱がさした。

 彼女は婚約者から視線をそらす。


「……いつもソルとは一緒にいたから……怪我したりしてないかなって……」


 逆光でルーナの顔は見えない。


「彼は、剣の神器を継承しております。無事だと思いますよ」


 ソルからもらったペンダント。

 ティエラは気づいたら、それを握りしめていた。


「そうだと良いけれど……」


 ペンダントを持つ手に力が入る。

 ティエラの頭元に影が差す。

 ルーナがティエラに近づいてきていた。

 彼は、彼女の亜麻色の髪をいつものように一房手にとる。それに、彼の唇が触れる。

 そうして、ルーナが口を開いた――。




※※※




 ティエラは、はっと眼を覚ました。

 記憶が戻るようになって、時々ルーナの夢を見ることがある。

 だが、いつも何かしら肝心なところで終わってしまうのだ。

 いつも、ルーナの表情がわからない。


 ティエラの背中は汗でぐっしょりと濡れていた。

 彼女はゆっくりと息を吐く。


(薄暗い……ここはいったい……)


 少し離れたところに、ぼんやりと灯りがあった。

 横になったまま、彼女が手を伸ばすと、ごつごつとした石に触れる。


(そうだ。私は、セリニさんについてきて……)


 ティエラの意識がはっきりしてきた。


「起きたか?」


 石が触れた方とは反対側を見ると、そこにはソルがいた。彼は、ベッドの近くに椅子を置いて腰かけている。


「ソル……私は……」


「怪我人に魔術を使いすぎたんだろ。あんたは、話の途中で倒れたんだ。早めに休ませるべきだった。悪かった」


 ソルに謝られてしまう。

 近くに彼の大きな手があった。ティエラは、彼の指にそっと触れる。


「大丈夫よ、ありがとう……」


 いつもの癖で、ソルがため息をついた。


「せっかくだから、朝まで寝ろよ」


「うん。ただ、ちょっと服が汗で濡れちゃって。交換してから、また寝ようかな」


「ああ、アルクダが荷物持ってきてたな。ちょっと待ってろ」


 そう言うと、ソルが荷物をとってきてくれた。

 彼には一旦部屋の外に出てもらい、待ってもらうことにする。

 部屋は石で出来ているからか、ひんやりしていた。

 濡れた下着を脱ぐと、肌寒い。


 新しい衣類に取り替えようと、彼女が衣類に手を伸ばした時――。


 ティエラしかいないはずの部屋の奥から、視線のようなものを感じた。


 彼女が振り返ると、ぼんやりとした光の下、人の目のようなものが見える。


「きゃあっ!」


 ティエラは思わず叫ぶ。

 ソルが部屋の中に、勢いよく入ってきた。


「どうした?!」


「目、目が…」


 狼狽えながら、ティエラがソルに言う。


「目――?」


 二人で奥を確認すると――。



「絵だな」



 ――それは人ではなく、人物画だった。


 ティエラが人の目だと錯覚したのは、そこに描かれた人間のものだったようだ。


「驚かせんなよな」


 ソルが、今日何度目かのため息をつく。


「ごめんなさい」


 ティエラが言うと、ばさりと頭に何かが掛かる。ソルが自分の上衣を脱いで、彼女に掛けてきた。


「寒いから、早く服を着ろ」


 そう言われて、ティエラは、はたと気づいた。

 何も身に付けていないのだった。

 彼女は、その場にうずくまる。


「前も言ったが、あんたの身体は見慣れてる。気にするな」


 そう言われて、ティエラはますます顔を上げれなくなった。



 ――ティエラの後方。


 彼女が驚いた人物画には、銀色の髪をした三人の少年らが描かれていた。




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