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記憶喪失の癒し姫と白金の教育係と紅髪の護衛騎士  作者: おうぎまちこ
第3部 大地の章

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第83話 記憶を失わせた者1



 

 四人はひとまず宿屋へ向かい、部屋を借りて休んだ。

 ソルは指に顎を当てて、考え事をしていた。

 先程本屋にいた魔術師が話していた噂について、グレーテルが切り出す。


「城では、姫様の即位の準備が進んでるみたいですね~~鏡の一族の男子は絶滅してるみたいですし、ティエラ様が次期女王なのは今のとこ確定ですもんね」


「グレーテルさん、絶滅って、もうちょっと言い方が……」


 アルクダがグレーテルを諭す。

 彼女は続けた。


「でも~~剣の一族が、鏡の一族の男子がいるかどうか探してるとか、そんな話じゃなかったですか~~? 遠縁でいいからって。女性が今まで王位に着いたことがない、災いが起きる~~とかなんとか」


 それに、ソルが答えた。


「まあ、一応はな。玉の一族だけが発言権が強いのを嫌ったからってのもある。実際にいないか、色々と当たってみたが、そう言った人物はいなかったみたいだ」


 ソルはそう言って、また考え事に戻る。


(鏡の一族の男子が見つかっていたら、もしかしたら私はソルと……)


 ティエラはそこまで考えたが、それから先は考えるのをやめた。


「ルーナ様は国王様を殺してるわけですよね~~でしたら、ルーナ様はソル様のせいにしたいんですか? だから、今はソル様を捕まえたいってことですか~~?」


 グレーテルの質問に、ソルが答える。


「まあ、大体合ってるな」


「え~~? それって、ソル様と一緒の方が、姫様は危ないですよね~?」


 グレーテルが、今気づいたように話す。

 実際、今分かったのかもしれないが……。


「大丈夫よ、グレーテル。それは分かってて、貴女達と一緒にいるから」


 ティエラがそう言うと、グレーテルは笑って返す。

 アルクダが、ぼそりと言った。


「まあ、バレたら、姫様とルーナ様との婚約は破棄でしょうね……普通に考えたら。国王殺しは重罪ですよ」


「――だからこそだろ? そんな危険を負うまでもなく、ルーナは国王に近い位置にいたんだ。だから、他に絶対に何か理由があるとは思う。それもティエラに関することだ」


 ソルが答えた。

 彼はルーナの事を嫌ってはいる。

 だが、それなりに、ソルはルーナのことを評価しているようだ。


「ソル様が、濡れ衣着せられるのは可哀想ですけど~~でも、国民は知らないんですよね? 最初にソル様連れて、逃げなかった方が良かったですかね~~? 姫様が安全なら、もう全部ルーナ様に任せて、いっそ捕まりませんか~~?」


 グレーテルが提案してきた。

 ティエラは、すぐに返す。


「ダメよ。私に関する何かが理由なんだとしても、お父様を殺す必要や、ソルに罪を着せる理由にはならないわ。それに、人の命を吸う石の事だって……」


 あまり考えたくはないが、ティエラは続ける。


「ルーナだって、私の事を好きなふりをしているだけかもしれない」


「「「それはない」」」


 ティエラ以外の三人が即答した。

 彼女の目が丸く光る。


(三人とも口を揃えるとは、一体どういうことだろう)


「でも――」


 糸目の男アルクダがぽつりと呟いた。


「帰ったら……またルーナ様に、ティエラ様の記憶を封印されちゃうかもしれませんもんね」


 彼の言葉を聞いて、ティエラは困惑する。


(え……?)


「アルクダ!」


 ソルが、アルクダを怒鳴りつけた。

 アルクダは、「すみません!」とソルに謝っている。


「……どういうこと?」


 ティエラが、アルクダに尋ねた。彼は何も答えてくれない。


 彼女を見ながら、ソルは大きなため息をついたのだった。





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