6話
館に着いて、私はハッとした。そうだ、すり替えトリックは条件が合わないと成立しない。
すなわち、全員がTシャツを着ていなければならないのだ。
聡はともかく、私と黄島さんは血まみれだ。着替えていないとおかしい。しかし着替えてしまえば、後に発見される私の死体がTシャツを着ていることが不自然になる。
私は急いで黄島さんを呼んだ。着替えさせてはならない。
私は無防備になるから、といった適当な理由でなんとか黄島さんが着替えるのを阻止した。
そして三人がバラバラになったら、急いで私は機内に戻った。
防火斧で桃瀬さんの首を切断し、館内に運んで、私の服を着させた。
その後、大声で悲鳴を上げた。すぐに私は隠し持っていた4つ目の鍵で玄関を施錠し、その場を去った。
翌日。黄島さんは自分の部屋を移し替えていて、見つけるのが大変だった。
しかし彼女はしっかりと施錠されていて、それが逆に彼女がいる場所だと分かった。
私はマスターキーでドアを開け、彼女を確認する。そして紐で首を締める。途中で目覚めてしまったようで、激しく抵抗されてしまったが、なんとか殺すことに成功する。
しかし絞殺のせいで、彼女から体液が漏れ出した。
私は慌てて椅子を用意し、縄を天井のフックに掛け、そして彼女を吊るした。
慌ててやったので、つい素手で作業をしてしまったことに気がついた。
私はハンカチで指紋を念入りに拭き取り、ようやく首吊の作業を終えた。
そして最後に、聡を殺害する。同じミスをしないよう、今度は手袋をつける。
聡。君を最後にするのは、ずっと決めていた。
あなたは私のことを好きになってくれなかった。だから殺すのだ。
聡は自室の部屋の椅子に座っていた。画材が用意されていて、正面には大きなキャンバスがあった。彼には意識があったが、私に対して一切の反応がなかった。
どうも、茫然自失といった感じであった。途中まで思い出したのかも知れない。そんな中で黄島さんと喧嘩をしたら、こうなってしまうのだろう。
私は構わず、近くにあった椅子を両手で握る。大丈夫。手袋はつけている。指紋はつかない。
ボーッとしている聡に、椅子を振り上げて、殴りつけた。
動かなくなった聡。これで私の復讐は終わった。後は後始末だ。




