2話
俺たちはまずプライベートジェット機の現場に赴いた。
鑑識はまだ終わっていないが、ちょっとだけ覗くことは許可された。
「うっわ。こりゃひでえ」
中は凄惨たる状態であった。あちこちに血が飛び散り、小物が散乱し、そして遺体が機内後方で散らばっている。
「ふーん。散らかっていて傷も付いているが、それだけだな。不時着にしては、キレイな方だ」
そう言うと、鑑識の一人が食いついてきた。
「ええ、そうなんですよ。どうも機内の傷はそこの防火斧で傷つけたものみたいで」
「ふーん。じゃあ犯人がやったわけだ。あれか? 殺害している最中に他が起きそうだったから、中断して不時着のせいでこうなったと見せかけたかったのか」
「はい、そうだと思います」
鑑識が俺の意見を肯定した。
「あー、小田切さん!」
刑事の一人が、俺に駆け寄ってきた。
「白銀館のすぐ近くに地下の部屋がありました。そこの電話線も抜かれていたそうです」
「そこも?」
「ああ、白銀館に設置されてある固定電話の線も、抜かれていたんですよ」
山田が補足する。俺は少し考え込んで、そして尋ねた。
「その地下の部屋は、見つけ難い場所にあった?」
「ええ、そうですね。だから発見が遅れました」
刑事が俺の意見を肯定した。だとすると、妙である。
「黄島はこの島に詳しいのか?」
俺は山田に尋ねた。
「いえ、詳しくはないと思いますけど。どうしてですか?」
「流れとしてはこうだ。プライベートジェット機から抜け出した、黄島、赤矢、青谷の三人は偶然にもこの館にたどり着いた。そして黄島は、誰よりも早く館内の電話線を抜き、そして誰よりも早く地下空間を見つけ、そこの電話線も抜いた」
「ああ、なるほど。ここに詳しくないと、難しいかも知れませんね」
山田は俺の言いたいことを汲み取って納得した。
「それで、どうしますか?」
と山田。
「ふむ。とりあえずは白銀館に行くとしよう」
「わかりました。ではこっちです」
俺と山田は白銀館に向かった。




