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昆虫ダンジョン インセクト 12

ふと秋の歴史企画のテーマを見てネタを思いついたのですが、まとまりません。

飛脚=女忍者設定の苦労話。

短編ならいけるかと思ったんですけどね……。

  

 


 冒険者ギルドからダンジョンへとんぼ返りする。

 イケメン門番が笑顔で近付いてきたので、さくっとスルーして違う門番に通してもらう。


「美形嫌いたぁ、珍しいなぁ」


 と苦笑しつつ素早い手配で、イケメンが再度話しかけてくるのを回避してくれた門番はなかなかのイケオジ。

 イケメンとは別系統の、そう、実力でのし上がってきた渋みが出て風格がある感じ。

 ビダルが抜けた分の補充要員かな?

 今後も是非担当してほしい。


「あらそう? 酸いも甘いも噛み分けた男性の方が魅力的に感じるだけよ」


「ははは! あんがとよ!」


 軽く肩も叩かれたが悪い気はしなかった。

 イケオジから性的な感情を察知できなかったからだろう。


 隠蔽魔法に合わせてモルノフォとブルーアゲーハが鱗粉を散らす。

 冒険者とすれ違いざまに散らせば、冒険者は一瞬だけ酩酊状態になりこちらへ干渉しにくくなるらしい。

 やる気に満ち溢れた悪意満載の輩には、ローズの完全防御が発動しているので、離れた距離から何か仕掛けてきても昏倒するだけだ。

 女性の三人パーティーが一度に昏倒して、周囲の冒険者たちに漁られていたのは自業自得だよね?


「ふぅ! やっとこさ四階だよ」


「宝箱は惜しいけど仕方ないのねー」


「あれだけ犯罪者を拘束しているのに、懲りずに仕掛けてくる輩が多すぎるのです」


「自分たちだけは大丈夫だと思っているのですわ」


「ん。犯罪者あるあるなの」


「う。セーフティーゾーンもスルーするのよ。フラグが立ちそうなのよ」


 四階まで走り抜けてきたので、入り口付近のセーフティーゾーンでお茶くらい……と考えていたけれど、サイがフラグ成立の可能性を告げてきたので諦める。


「人気のないところで、ちょっとお茶したいんだけど、どうよ?」


 マップが展開される。

 四階はセーフティーゾーンがあるせいか、需要のあるモンスターがいるからか冒険者が多い。

 青冒険者と赤冒険者が半々くらいいる。

 後ろ暗いことを画策しているのか、休憩できそうな場所には赤冒険者がたむろっていた。

 標的は私だけでもないのだろう。


「ん。諦めて五階まで頑張るのが無難なの」


「どうしてもの場合は、赤冒険者を捕獲して休めばよろしいでしょう」


 捕獲か……休憩の度に誰かを捕獲するのも面倒そうだけど、時間が経てば移動するかもしれないしね。

 その辺は臨機応変でいいかな。


「四階ではプリンセスアブブの捕獲を一匹以上です」


「う。ウォーターアブとファイヤーアブのドロップアイテムは需要が高いから、多めに駆逐したいのよ」


「へー。そうなんだ?」


「ウォーターは水玉、ファイヤーは火玉をドロップしますのよ? 冒険者も一般人も気軽に消費しますわ」


「なるほどねー。あ、話をしてれば来たみたいよ」


 蝶々コンビのお蔭で視界に入った途端に同士討ちなんだけどね。

 今回は団体様御一行だった。

 アブって群れたっけ?


「はいはい。はぐれている子はワンプッシュの餌食になってもらいましょうね」


 時々変則的な動きをする個体がいるので、そちらで試してみる。

 相変わらずワンプッシュ即死でいけた。


「おー、体の大きさと同じなんだね」


 転がった玉を手に取る。

 サイズは直径十センチくらい。

 感触は水風船。

 ぷにょりと柔らかく熱はない。

 鑑定結果はこんな感じと教えてもらう。


 ウォーターアブの水玉

 玉の中には飲める水が入っている。

 大きめのカップ一杯分。

重さは感じない。

 

 ファイヤーアブの火玉

 玉の中には燃えさかる炎が入っている。

 たき火的に使えば燃焼時間は一時間程度。

 攻撃的に使えばファイヤーボール程度の効果。

 重さは感じない。


「重さがないし、玉にはそれなりの衝撃を与えないと割れないから、持ち運びにも便利なのねー」 


 なるほど。

 他にもいろいろな用途に使えそうだ。

 しかし多種多様のアイテムがあるよね。

 これだからダンジョンは面白い。

 虫は慣れないけどね。


「ん。角を曲がったところに宝箱があるのっ」


「了解。回収していこうね」


「良いアイテムがあるといいのねー」


 リリーがフラグを立てた。


「罠はないのです。触ればぱかりと開くのです」


 少し古びた感じの宝箱。

 大きさは三十センチ程度。

 宝箱だけ見れば外れに見える。

 ぱかりと開けた。

 中に入っていたのはティアラが一つ。

 金色のティアラ。

 中央には大きなルビー。

 他にも小さなルビーが鏤められている。

 実に豪奢なティアラだった。


 プリンセスアブの宝冠

 ランク レジェンド

 寿命で死んだプリンセスアブが残す遺品。

 魅力が大幅に上昇する。

 一度上がった魅力は下がらない。

 長時間かぶっていると、逆に魅力が大幅減少するので要注意。

 大幅減少の前に酷い頭痛がする便利機能付。


「……これはまた凄いものが出たわねぇ……」


「ダンジョンモンスターが寿命で死ねる確率はゼロに等しいのねー。だからそれだけ素敵なアイテムになったのねー。たぶん」


 た、たぶんなんですね、リリーさんや。

 

「う。匿名でオークションがオススメなのよ」


「そうですわねぇ。この国の王族に差し出したらよろしいかもしれませんわ」


「え! そうなの?」


「この国の王族は基本善良なのです。教会を通すといいのです」

 

 あぁ、教会の例の人か。

 随分渡す物がたまってきたなぁ。

 アランバルリを重用している以上、私と合う人だとは思うんだけどね。

 何かこう……妙な執着をされそうな予感もあるんだよなぁ……。


「悩むのも無理はないのねー。でも面通しはしておかないとなのねー」


「うーん。わかっているんだけどね。まぁ……ダンジョンを完全攻略したあたりで行っておこうかな」


「良い選択なのです。憂鬱なら御褒美に穀物ダンジョンが待っていると考えればいいのです」


 御褒美に穀物ダンジョンか……それなら頑張って会わないとね。

 変なフラグが立たないように祈っておこう。


 宝冠をそっと取り出して、丁寧に収納してもらう。

 スライムたちに頼んでおけば、いい感じに整理整頓してしまっておいてくれるからね。

 安心なのです。


「ダンスフライとニードルフライがやってきたわ。気をつけてくださいまし」


 ダンスフライ五匹にニードルフライ五匹。

 四階は団体様が多いのかな?

 冒険者がたむろするのもわかるよね。


「ふお!」


 きーんきーん、こーんこーんといい音がする。

 ニードルフライがニードルを打ち込んできたのだ。

私たちが反応するより素早い動きに驚かされる。

 まぁ、ローズのおかげで当然のノーダメージなんだけどね。


『御主人様に攻撃など許すまじなのですわ~』


『ドロップアイテムをたくさん落として死にさらしませ~』


 怒りの蝶々コンビが容赦なく同士討ちへと誘う。

 しかも加減を覚えたのか、ダンスフライとニードルフライが一匹ずつこちらへやってきた。

 混乱しているのか、ニードルフライはニードルを打たない。

 ダンスフライは……うん。

 ブレイクダンスのドリルをしてた。

 しかも高速。


 思わず拍手をしそうになったけど、ぐっと堪えてプッシュをしておく。

 ドリルがぴたっと止まって落下した。


 ドロップアイテムはこんな感じ。


 ダンスフライのフライ

 食べるとダンスが少しだけ上手になる。

 からっと揚がっており、つい手が出る絶妙な塩味。


 ダンスフライの羽

 ダンス用の靴に忍ばせると、ステップを間違えにくくなる。

 

 ダンスフライのプライド

 ダンスフライがモチーフのピンバッジ。

 つけていると姿勢がよくなる。

 レアドロップ。

 

 ニードルフライのニードル

 ニードルガン用のニードル。

 一ダース。

 

 ニードルフライのニードルガン

 ニードルを発射する短針銃。

 レアドロップ。


「に、ニードルガン? 世界観が合わないよねぇ」


「そういう問題じゃないのねー。この世界には銃もあるのねー」


「そうなんだ。意外だわー。っていうかフライとかどうなの?」


「ん。見た目がちょっとグロいけど美味しいの」


 ひょいっと口の中に放り込まれた。

 反射的に噛んでしまえば、しゃくっといい音がする。

 鑑定結果通りほんのり塩味で美味しい。


「見た目を気にしなければ、普通につまみとして食べたいかも」


「お酒のあてとしても優秀なのです。インセクトダンジョンの中でも安心して食べられる一品なのです」


 美味しいだけに、見た目が悔しい。

 まぁ、黒光りするあいつなんかよりはマシかなぁ……。

 

「う。今度はツェツェフライの御一行様なのよ」


 うわぁ……凄く蠅っぽい。

 そして、大きい。

 バスケットボール大の蠅。

 ぶっちゃけキモい。


「ひぃいいい」


「……もっと苦手なのは出てくると思うのねー。これぐらいで悲鳴を上げていては駄目なのねー」


 リリーが肩を竦めている。

 

『安心してくださいませ~』


『御主人様の近くには寄せませんわ~』


「苦手な物は頑張っても苦手ですわ。私が代わってプッシュして差し上げますわよ?」


 私の手から容器を取ったローズが、同士討ちするツェツェフライに向かって、連続プッシュをしてくれた。

 ごん、ごん、ごんと響く音をさせながらツェツェフライが落下する。

 随分と重量があるようだ。


 ツェツェフライの血

 そのまま使うと相手を昏倒させる武器に。

 薄めて使うと睡眠薬になる。

 

 ツェツェフライの夢

 ツェツェフライの形をした置物。

 二十センチ程度。

 置いておくと心地良い睡眠が得られる。

 レアドロップ。


「あ、あら。どっちも素敵なドロップアイテムだわ」


 地面の上に鎮座するスリムなボトルと怪しい形の置物。

 その効果はどちらもなかなかによろしい。


「置物の方は、まだ形を認識できない赤ちゃんがいる部屋に置くといいのねー。夜泣きが減るのねー」


「おお、赤ちゃんの夜泣きが減るとか、設置必須だね」


「レアドロップだから余計に需要が高いのです。商業ギルドに売ると喜ばれるのです」


 ホルツリッヒ村用に、取っておくのもいいんじゃないかな?

 子供ができそうな新しい夫婦も誕生するしね。


「ん。あとはプリンセスアブの生け捕り……誰か来るの……」


 マップを展開しつつ警戒を怠らなかったモルフォの言葉を聞き、私は取り敢えず握り締めていた虫避けスプレーをポケットにしっかりとしまった。





 喜多愛笑 キタアイ


 状態 警戒につき緊張気味。new!!

 


 料理人 LV 4 


 職業スキル 召喚師範 


 スキル サバイバル料理 LV 5 

     完全調合 LV10

     裁縫師範 LV10

     細工師範 LV10

     危険察知 LV 6

     生活魔法 LV 5

     洗濯魔法 LV10

     風呂魔法 LV10

     料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用

     掃除魔法 LV10

     偽装魔法 LV10

     隠蔽魔法 LV10

     転移魔法 LV ∞ 愛専用

     命止魔法 LV 3 愛専用

     治癒魔法 LV10

     人外による精神汚染


 ユニークスキル 庇護されし者


 庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化  解体超特化


 称号 シルコットンマスター(サイ)  

 書いている最中の気分転換にアプリゲームを幾つかやっているのですが、長くやっているアプリの広告が出る度に、詐欺過ぎて失笑。

 今回も広告のようにさくさくできるミニゲームが搭載されたかなぁとやってみるも、当然刻々要素は微塵もありませんでしたとさ。

 えぇいつものことです。


 次回は、昆虫ダンジョン インセクト 13(仮)の予定です。


 お読みいただきありがとうございました。

 引き続き宜しくお願いいたします。 

 

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