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昆虫ダンジョンインセクト 8

 エアコンに当たり外れがあるなぁと思う今日この頃。

 同時期に同じ型を購入したにもかかわらず、一つは修理二回目、一つは一度もなし。

 購入してから六年目と考えると、一度も故障しない方が優秀なのでしょうか。

 新しい物を購入するか、修理を依頼するか検討中です。

 一回の修理に三万円とか持っていかれる場合があるのですよ。

 


 アントのドロップ品を全て回収して、腰を伸ばす。

 顎、外郭、触覚の三点セットは、砕いて粉末にしたものを装備品に振り掛けると、僅かだが耐久力が上がると説明を受けた。

 手間はかかるがお金のない冒険者が少しでも装備品を長く保たせようと使用するので、需要は常にあるらしい。

 さすがに顎をそのまま使うとか言われたら、何に使うのか疑問に感じたと思う。


「ん? 良い匂い?」


「フラワービー五体がやってきたの。多めのパーティーなの。しかも例によって例のごとく攻撃意思がないの」


「じゃあ、捕獲でいいよね。責任を持って可愛がってくれる人に引き合わせるから、一緒に来てもらえるかな?」


 なんと羽が花びらでできているフラワービーがパーティーでやってきてくれた。

 良い匂いがするし、目がくりんとしていて可愛らしい。

 依頼分として連れて行くつもりだが、本人たちが拒否したら、蝶々たちと一緒にスライム内の花畑で遊んでもらうのもありだろう。


 そんな話をすれば、全員快諾してくれた。

 楽しそうにスライム収納へ入っていく。

 可愛らしいモンスターだから、可愛がってくれる人が依頼したと信じたい。

 ペットとして飼うにしても問題ないサイズ感だよね。

 バスケットボール大。


「もし嫌な依頼主でしたら、逃げてくるように教えればよろしゅうございます。依頼も果たせますし、可愛い子たちが仲間に増えますし……ええ、むしろその方がよろしゅうございますわねぇ?」


 リリーがいない分、真っ黒成分はローズが引き受けているらしい。

 黒さは引き受けなくてもいいのにと思いつつ、お嬢様口調で腹黒とかツボすぎて困ってしまった。

 己の業の深さが憎い。


「こほん! 捕らぬ狸の皮算用です。でも、避難場所があるのは賛成なので、ギルドで渡す前に説明しましょうね」


「賛成なのです。可愛くて良い匂いとか、最高なのです」


 サクラもお気に入りらしい。

 桜の花びらっぽい羽の子もいるしね。

 親近感が湧くのかな?


『気をつけてくださいませ~。クイーンアントがこちらへきますわ~』


『フラワービーの羽を食べると、アント蜜の味が良くなるので、匂いにつられたのですわ~』


 どうやらアント系との相性はよくないらしい。

 あんな可愛い子たちを狙い撃ちとか許せませぬ。

 蟻の巣観察とか面白くて好きなんだけどね。

 蟻の生活アプリとか、ちょっとやってたから、相性がよくないのはちょっぴり寂しいんだけどね。

 まぁ、そんなこともあるわ。


「クイーンアントは眷属召喚を使うのです。ドロップ数を稼ぐなら、召喚させるといいのです。アントハニーは酸味があって、通好みなのです」


「へぇ、こっちでは蟻の蜜を食べるんだ?」


「ん。一般的なの。酸味がある甘さは大人の女性に人気なの」


「あーなるほどねぇ。それなら私も食べてみたいかも」


 向こうでも食べる地域はあったが一般的ではない。

 酸味のある甘みなら、食欲がないときにも良い気がする。


「来ましたわよ!」


『眷属はおまかせくださいまし~』


『同士討ちにして差し上げますわ~』


 蝶々コンビが強い。

 名前をつけるべきだろうか?

 この世界結構名付けは重要だしなぁ……。

 うん。

 本人たちが希望するまでは待とう。


 角を曲がって現れたクイーンアントは、大きかった。

 よく角を曲がれたね? と突っ込みを入れたくなるサイズだ。

 クイーンアントに押されて、そこそこの巨木が幾つも倒れていく。


「ダンジョン破壊になりそうね」


「この程度ならダンジョン修復機能が働くからいいのです。ただ、ダンジョンの意思として、大食らいのクイーンアントは駆除してほしいモンスターなのです」


 ダンジョン自ら生み出したはずのモンスターを、率先して駆除してほしいとはこれいかに。

 個体の性質にまで干渉できないのだろう。

 せっかく生み出したモンスターをかたっぱしから捕食されたんじゃ、困るよね。

 特に可愛らしいフラワービーの絶滅とか嫌だわ。


「きしわあああああああ!」


 妾の糧を返却せよ! と耳につらい異音が言葉に変換される。

 クイーンが人語を操れるのか、私の言語機能が頑張っているのか。

 食に狂ってはいても、さすがはクイーンとだけいっておこう。

 

「返還は不可です!」


 顎が伸びて攻撃を仕掛けてくる。

 三段階に渡って伸びてきたからびっくりした。

 某エイ○アンのようだ。


 バックステップで回避しつつ眷属召喚を待つ。

 ここまでの大きさで狂気に満ちているモンスター相手には、ワンプッシュ即死は望めないだろう。

 試してみようかなぁ、と思いつつ、万が一にも倒してしまったら困るので我慢する。


「ぎゅしゅうわ!」


 こしゃくな! ですか。

 はいはい。

 御託はいいです。

 一人じゃ無理だと悟って、さっさと眷属召喚してくださいな。


 一撃必殺を信じていたのだろうクイーンアントが失敗して、地団駄を踏む。

 ダンジョンの天井に頭が届きそうなサイズの地団駄。

 地面が揺れている気がする。

 震度三くらい?


「じゅうじゅうぎゃ!」


 これでもくらうといいのです! とな?

 そして空間から生み出される数多のアント。

 やっと待ち焦がれた眷属召喚だ。

 今度こそ勝った! と思ったクイーンアントの顎が、がっくーんと外れたかのように開かれた。

 よほど驚いたようだ。

 恐らく普段より頑張って召喚したらしい眷属は、愛らしい蝶々の舞を前に同士討ちを始めてしまったのだから。


「うぎゃ! ぎわわわ!」


 そんな馬鹿な。

 妾の眷属が、同士討ちなぞとは!

 

 ん?

 アゲーハコンビの特殊攻撃って、あまり知られていないのかな?

 クイーンアントの驚きは想像以上だ。


「クッソ! クッソ!」


 今度は変換の必要もない罵声を浴びせながら、さらなる眷属召喚を行うクイーンアント。

 しかし結果は同じだ。

 数が多い分、より凄惨な同士討ちが展開されてしまったのだ。


「マダダ! マダ、終ワラヌ!」


 クイーンアントが憎々しげに喚きながら眷属召喚を続ける。

 アントの死体が吸収されるより、山となる方が早かった。

 百は軽く超えただろう。


「ヌゥ! マ、待テ、貴様ラ! 妾ヲ誰ダト!」


 アントの山の上へ召喚された眷属に間違いないそれらが、今度はクイーンアントに向かってその牙を剥く。

 本来はあり得ない行動らしい。


「クイーンアントはレア種だよね? そこまで出現しないと思うから、今のうちにぷしゅっとしちゃおうか? アントの攻撃で弱っているみたいだから」


「狂乱状態は維持されていますから、迷いますわ……でも検証は優先いたしましょう。補佐はお任せくださいませ」


 ローズの体が私を乗せて巨大化する。

 クイーンアントの顎に対峙する位置取りで、しっかり足場を固めてくれた。


 ぷしゅ!


 私は顎に向かってワンプッシュをした。


 クイーンアントがびくんと巨体を震わせる。

 次の瞬間、どうっとその巨躯を横たえた。

 群がっていたアントたちも同じようにびくりと体を震わせて動かなくなった。

 召喚元が死ぬと、眷属も亡くなるパターンらしい。

 アントたちに多少削られていたからかもしれないが、想像以上に呆気ない結末だ。


「ん。クイーンアントもワンプッシュなの。この巨体にワンプッシュはしみじみ優秀なの」


「狂った個体、巨体でも効果が変わらないとわかって、二重の喜びなのです!」


「いいえ。三重の喜びですわ!」


 ローズが足元を指さした。

 アントハニーを含む、大量のドロップアイテムが転がっていたのだ。


『これだけたくさんあると大変ですわ~』


『私たちで一箇所にまとめますので、離れた場所でお待ちくださいませ~』


 この蝶々たち、幾つ特殊技能があるのだろう?


 二人が仲良く羽を羽ばたかせる。

 風がどんどん強くなり、強くなった風は小さな竜巻を発生させ、竜巻は全てのドロップアイテムを巻き上げた。

 羽ばたきを止めると竜巻が小さくなる。

 小さくなってのち、大きな山となったアイテムを残して消えた。


「アイテムのカウントは私に任せてほしいのです。鑑定もついでにやっておくのです」


「ついでに鑑定とか言える、うちのサクラさんが優秀過ぎる!」


「まぁまぁ、悶えている場合ではございませんことよ? 次なる敵……あら? またしても攻撃意思のないパーティーですわ」


 私がサクラの発言に悶えていると、小さな蜂が大量にやってきた。

 たぶんこれがハニービーだろう。

 今まで大きいサイズの蜂ばかり見てきたから、このサイズはそれだけで和む。

 

 基本は爪サイズ。

 一番前にいる個体がリーダーもしくは強い個体といったところか。

 二倍ほどの大きさがあった。


『小さいけど、アントハニーより美味しいのです! アントハニーよりたくさんお持ちください!』


「えぇ?」


 何と、貢ぎに来てくれたらしい。


『養蜂をお望みなら、千匹ほどそちらへ伺います。テイムされなくても、指示には従いますよ?』


「えーと? 貴女たちはそれでいいの?」


『三階へ入られたときから観察した結果、出した結論です。ダンジョンにいるより、幸せに長生きできそうですから』


 納得の理由だ。

 来てくれたら当然大事にする。

 ニードルビーの蜜で満足していたが、ここにきて蜜の種類がどっと増えた。

 養蜂は以前から考えていたので、叶うなら嬉しい。


「では、希望者はスライム収納へ。蜜は……」


「ん。一緒に持って入ってくれれば、きちんとカウントして適切な状態で管理しておくの」


 モルフォが一手に引き受けてくれた。


『それでは、よろしくお願いいたします』


 リーダーが頭を下げた次の瞬間には、背後にいる大量のハニービーも揃って頭を下げる。

 圧巻だ。


「うん。よろしくね」


 手を振れば、千匹どころじゃなさそうな数のハニービーが吸い込まれていった。


「……三階も盛りだくさんだったなぁ……」


「フラワービーと、ハニービー、ベアビーの検証は他の者に任せればよろしいですわ」


「うん。ここまでしてもらったら、即滅のワンプッシュは無理ですぅ」


「それでは、三階に出る敵には一応全て遭遇いたしましたので、宝箱回収にと参りましょう」


「ん。まずは最後に進化をした、クイーンアントの宝箱を回収するの。なかなかため込んでいるの」


「進化してたんだ!」


「話し口調が流暢になったあたりで、進化しておりましたわ。もし生きながらえていたら、このダンジョンに君臨する、まさしくクイーンになりえたと推測いたしますの」


「食欲特化のお馬鹿でしたが、眷属召喚能力と耐久値は、歴代クイーンアントの中でもトップだったようなのです」


 だからサクラさん、それって、どこ情報なの?


『あとは普通の敵ばかりだと思いますわ~』


『雑魚の相手とアイテム回収は私たちにまかせて、宝箱探索に勤しんでくださいませ~』


 最強コンビと言っても差し支えがない気がしてきた二人の言葉通り、その後の三階宝箱探索の最中、彼女らが全て同士討ちをさせてモンスターを駆逐してくれた。

 




 喜多愛笑 キタアイ


 状態 心身ともにリラックス new!!

 


 料理人 LV 4 


 職業スキル 召喚師範 


 スキル サバイバル料理 LV 5 

     完全調合 LV10

     裁縫師範 LV10

     細工師範 LV10

     危険察知 LV 6

     生活魔法 LV 5

     洗濯魔法 LV10

     風呂魔法 LV10

     料理魔法 LV13 上限突破中 愛専用

     掃除魔法 LV10

     偽装魔法 LV10

     隠蔽魔法 LV10

     転移魔法 LV ∞ 愛専用

     命止魔法 LV 3 愛専用

     治癒魔法 LV10

     人外による精神汚染


 ユニークスキル 庇護されし者


 庇護スキル 言語超特化 極情報収集 鑑定超特化 絶対完全防御 地形把握超特化  解体超特化


 称号 シルコットンマスター(サイ)  




 すみっ○ぐらしが十周年らしく、いろいろとイベントがある模様。

 限定グッズとか気になります。

 だいぶ誘惑に負けなくなったんですけどね……。


 次回は、昆虫ダンジョン インセクト 9(仮)の予定です


 お読みいただきありがとうございました。

 引き続き宜しくお願いいたします。 

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