373話 教会でのイベント終了 -中盤イベント終了ですかね?-
アーリーのテンションが高いです。
「リョージ様! 恥ずかしいじゃないですか!」
亮二がアーリーを紹介するためにソフィアを呼んだが、紹介される本人は恥ずかしそうにしていた。
「面倒くさっ! さっさと自己紹介しろって!」
「そんな事を言わないだくださいよ! サンドストレムすいーつ普及研究所の二代目所長のソフィア様なんですよ! 奇跡が産んだ王国の至宝ですよ! 人々が望みし世界の礎ですよ! 幸福の神の顕現ですよ! そんな方に気安く挨拶なんて……」
「なに? そのパワフルさ? どんだけスイーツに取り憑かれてるんだよ! えっ? 早く紹介しろって? どっち? 謙虚なの? 強引なの? 別に良いけどさ。彼女が俺の婚約者でもある二代目所長のソフィアだよ。ソフィアも挨拶をして。多分だけど、自信はないけど怪しい人じゃないと思って信じてるから」
「は、はい! 初めまして。アーリー様。えっ? 『アーちゃんって呼んで欲しい?』そ、それはちょっと。初対面の方をいきなり愛称で呼ぶなんてのは……。ちょ、ちょっと近いです。ふえぇぇぇ。近いです! リョージ様! 助けてください!」
亮二から挨拶するように言われたソフィアが自己紹介を始めると、目を爛々と輝かせたアーリーが抱きつかんばかりの勢いで近付いてきた。得も言われぬ危機感を覚えたソフィアは、アタフタとしながら慌てて亮二の背後に隠れるのだった。
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「ちょっとは落ち着いたか? このままだったら時間だけが経って話が進まないんだよね。ほら。信徒さん達も全員帰ったぞ」
ソフィアとアーリーの自己紹介は思った以上に難航し、気付けば1時間近くが経過していた。集まっていた信徒達は亮二たちからお土産のクッキーをと、紅茶葉を受け取ってほくほく顔で帰っており大聖堂は亮二達やアーリー、空気と化しているヴェンダーだけが残っていた。
「はい。すいません。ちょっとだけ暴走してしまいまして」
「お、おう。アレを『ちょっと』と言い切るアーリーさんは俺的にはいいけど。じゃあ本題に入るけど、アーリーさんは今回のオルランドの嫁候補の件はどう思ってるの?」
亮二の質問にアーリーは肩をすくめながら問題ない事を伝えてきた。元々、ヴェンダーに半分以上は強制的に参加させられていた事。信徒達の評判を考えても、二人の仕草を見ていてもオルランドとエリーザベトとの間に入る隙間は見当たらない事を伝えてきた。
「二人には早く結婚して欲しいですよね。私はお父様に頼まれたので参加しましたが、さっさと決着が付いて、傷心旅行と称して王都ですいーつ巡りを敢行したいのです!」
「そうなの? じゃあ、『エリーザベトさんを応援します。二人の幸せに満ち溢れた結婚を望んでおります』って一筆くれたら、王都で優先的に席を取れる証明書を作ってやるよ。領都にあるスイーツ店でも利用可能だし、これから出店予定の神都でも使っていいよ。希望するなら俺が作ったスイーツを食べてみる? ソフィアにスイーツを教えてたのって俺だから師匠みた……」
「はい! 良いです! 今すぐ書きます! お父様! なにを空気みたいになってるんですか! 早く紙とペンを!」
亮二がスイーツ巡りの後押しをする提案を行うと、台詞を遮るかのような勢いでアーリーが返事をしてきた。追い立てるように紙とペンを取りに行かされたヴェンダーが戻ってくると、引ったくるように奪い取り亮二の提案をそのままに記入し、自らのサインと父親であるヴェンダーにもサインをするように求めるのだった。
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「ちょ、ちょっと待て。なぜ私までサインをせねばならん。しかも認めていない内容の物にサインなど……」
「はっ? は? なにを言ってるんですか? 王都、ウチノ大公の領都、それに将来的には神都に出来るすいーつ店巡をするのに必要な優先権が貰えるのですよ? それにすいーつ界の究極であり至高であるソフィア様の師匠であるリョージ様がすいーつをご馳走してくださるのですよ! さっさとここにサイン!」
勢いに飲まれたヴェンダーがサインを行い、それをアーリーが嬉しそうに眺めながら書き終えた物を亮二に手渡した。
「これでよろしかったですか?」
「ああ。完璧だね。『プレートを所持するアーリーの為に特別席を用意し、希望するスイーツを渡すように』と書かれたプレートをプレゼントするよ。王侯貴族用の店で利用してくれ。それとプレートは俺のサイン付きでミスリルで作ってるよ。あとはアーリーさんがここに魔力を流してくれたら盗難防止も完璧だよ」
アーリー達が一筆書いている最中に亮二もプレートを作っていた。ミスリル素材で、盗難防止対策として所有者から一定の距離が空くと真っ黒になる加工も施していた。アーリーが魔力を流しているのを眺めていた亮二だったが、ヴェンダーに視線を投げると話し掛ける。
「それと、ヴェンダー枢機卿。分かってるよな?」
「はい。今回の件からは完全に手を引きます。オルランド教皇には信徒を利用していた件を含めて、今までの事情を説明して枢機卿も辞する予定です」
憔悴しきった顔で項垂れているヴェンダーに亮二は頷きながら、当面はアーリーと一緒にスイーツ巡りに付いて行くように命じた。亮二からスイーツプレートを貰ったアーリーは、嫁候補を辞退するとエリーザベトやオルランドに別れを告げてヴェンダーと一緒に王都に旅立つ準備を始めるのだった。
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「じゃあ、お世話になりました! これからもお世話になります!」
「おう。テンション高いね。道中の費用も支払いも俺が持つから気にせずに満喫してくれ! それと、改善点等が有ったら遠慮なく従業員に伝えてくれると嬉しい」
「お気遣い有難うございます! リョージ様にイオルス神のご加護を!」
亮二からスイーツフルコースをご馳走され、幸せ満開の表情で馬車に乗り込んだアーリーが別れの挨拶をしているとヴェンダーが亮二に近付いてきた。
「一からやり直すつもりでアーリーと旅をして参ります」
「ああ。反省が終わったと感じたら俺を尋ねに来い。俺の領地では神官が足りないからな」
亮二の言葉にヴェンダーは深く頭を下げると、手紙を渡してから馬車に乗り込むのだった。
一区切りがつきました。




