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異世界は幸せ(テンプレ)に満ち溢れている  作者: うっちー(羽智 遊紀)


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358話 最後のカレナリエン登場 -神都へは順調に進んでますね-

帝国から帰ってきました。

「そろそろ俺に領土を渡すのは止めた方がいいと思う」


 帝国から戻ってきた亮二が疲れた顔をして呟いていた。マデリーネとの婚約が正式に決まった事で結納として、帝国の領土が送られたのである。そんな亮二の疲れた顔にマデリーネは不思議そうな顔をしながら話しかける。


「そうですか? お父様も『結納と言ったら領土だろ? 婿殿には帝国を救ってもらった恩もあるしな』と嬉しそうに命令書を書いてましたけど?」


「領土が飛び地で増えていくから管理が大変なんだよ。それぞれに代官を置かないと駄目だし、うちには武官は多いけど文官は少ないから大変なんだよ。ん? マデリーネって帝国側の領地経営担当だよね?」


「えっ? そ、その通りですが……」


 嫌な予感にマデリーネの語尾が濁っているのを確認した亮二は、満面の笑みを浮かべながら爽やかに言い放った。


「よし! 新しい領土もマデリーネの管轄になるから、代官を探しておいてね。今度の領土は海沿いって話だからカツオ節に、かまぼこに、海鮮BBQに、養殖や塩作りもしたいな。漁師さんの元締めも探しておいてね」


「えっ? 塩作りですか? それでしたら山から取っていますが?」


「海からも取れれば、そこで色々と保存食も作れるじゃん。山から運ぶのも一苦労だしね」


 海水が塩辛いのを知ってるマデリーネだが、岩塩の方が安価で採掘できる事を亮二に伝えると嬉しそうな顔で説明を始める。


「今は岩塩の方が安いかもしれないけど、海水から塩が取れたほうがいいと思うよ。だって、海水からなら気にせずに大量に作り続けることが出来るからね。代官の人選と、塩田に適した場所の候補を探すのと、漁港の整備だろ。それと輸送も早くしたいから街道整備もお願いしとくよ。他には……」


「ちょ、ちょっと待って下さい! リョージ様は自分が対応しない時は無茶振りが多すぎます! まずは代官を探しますから!」


 亮二の説明とお願いの多さに、自領が発展すると最初は目を輝かせて満面の笑みを浮かべながら聞いていたマデリーネだったが、お願いが徐々に増えていくごとに愛想笑いに変わっていき、最後は汗を浮かべながら必死で亮二の話を止めに入るのだった。


 □◇□◇□◇


「そして本命の私が登場です!」


「おぉ。気合が入ってるな。カレナリエン」


 いつもの冒険者装備ではなく、よそ行きの格好でやってきたカレナリエンに亮二は目を細めた。髪の毛はポニーテールに結んでおり、耳にはイヤリングが付けられていた。


「あっ! 俺が作ったリボンをさっそく使ってくれてるんだね」


「そうですよ! それと服装も頑張って可愛いのにしたんですから、そっちも見て欲しいです」


 その場でくるんと一回転して微笑んでいるカレナリエンに思わず息を呑んだ。膝丈のスカートが遠心力で浮き上がり、健康的な太ももが亮二の目を刺激した。


「ずるいわよ! カレナリエン! 色仕掛けなんて!」


「ずるくないです。婚約者会議で私を悪者にして最後にしたエレナがずるいんですぅ! どうですか? リョージ様?」


 エレナの抗議にあっかんべーをしながら答えたカレナリエンは、亮二に向かって再度微笑みながら服装の評価も求めた。しばらく呆然としていた亮二だったが、頭を振って我に返ると嬉しそうな顔で答える。


「完璧! 俺のためにここまでしてくれて嬉しいよ。そのイヤリングも服も俺がプレゼントしたやつだよね?」


「そうです! 覚えて下さってて嬉しいです! リョージ様からもらったのでお洒落して、二人きりになりたかったんです。武器はアイテムボックスに入ってますし、防具もペンダントの中に収納していますので大丈夫ですが、なにか有れば守ってくださいね」


 エレナの抗議や他の婚約者達の「しまった! その手があったか!」との表情を見ながら、カレナリエンは甘えた声で亮二にお願いをするのだった。


 □◇□◇□◇


「よし! じゃあ、出発するか。皆もそれぞれにお願いしている事をよろしくね」


 亮二が御者に声をかけるとユックリと馬車が動き出した。婚約者達は亮二から依頼されている内容を遂行するために、転移魔法陣に乗って移動を開始したが、エレナは歯軋りをしつつカレナリエンに小声で「覚えてらっしゃい!」と呟き王都に、マデリーネは難しそうな顔をしながらブツブツと呟きつつ帝都に向かっていった。


「俺のお願いの中で、マデリーネの代官探しが一番難しいだろうね」


「文官さんって本当に居ないですからね」


 馬車が動き出してから二時間ほどが経過していた。自分のお願いを他人事のように呟いている姿をカレナリエンは眺めていたが亮二の隣りに座ると、もたれかかるように軽く体重を掛けて小さく呟いた。


「よし! ここまで来れば邪魔は入らない」


「聞こえてるよ! カレナリエン! 聞こえてるからね!」


 呟きを聞いた亮二が慌てて距離を取りながら叫ぶと、カレナリエンは爽やかな笑みで両腕を広げながら近付く。


「ダイジョウブデスヨ。ナニモシナイカラコッチニキテクダサイヨ」


「いや! なんで片言なの! 怖いよ。カレナリエンはちょっと落ち着こうか! なんか昔と逆になってるし!」


 初めての出会いを思い出したかのように叫んだ亮二に、カレナリエンも思い出したのかクスクスと笑い出しながら柔らかい笑顔になった。


「そう言えばそうでしたね。確かリョージくんが初めて私を見た時に『エルフ? エルフさんですよね! 初めましてリョージです!』って言ってましたね」


「おっ? 久しぶりに『リョージくん』って言ってくれたね」


 二人は昔話に花を咲かせつつ、ゆっくりとした時間を過ごすのだった。

こっちに来てから1年以上経ってるんですね。

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