333話 新たなバタバタの始まり5 -謁見は終わりましたね-
マルコが物凄く輝いてる!
「なにやってんだ俺は」
亮二と一緒に謁見の間に残っているマルコは頭を抱えながら呻いていた。マルコによるハリセン乱舞のイベントが終わるまで一時間近く掛かっており、あの場にいた者以外にも騒動を聞きつけた騎士や魔術師達が詰めかけていた。
「人数にしたら一〇〇人以上はいたんじゃないか?」
「なにも言うな。あの時の俺はどうかしてたんだよ」
含み笑いをしながら語りかけてきた亮二に、マルコは苦り切った顔で亮二の言葉を遮るとアイテムボックスから飲み物を取り出して一気に飲み干した。
亮二もストレージから飲み物を取り出しつつ、土属性魔法で机と椅子を作り出すと、その上に食べ物やスイーツなどを置き始めた。
「おい、おい! ちょっ! お前! 謁見の間でなにやってんだよ!」
「えっ? マルコが飲み物飲んでるから、俺も休憩しようかと……痛ぃ!」
亮二が机を創りだした事に呆れた顔で止めようとしたマルコだったが、更にその上に食事を置き始めたので慌ててハリセンでツッコみながら止めにはいろうとすると、扉が開いてマルセル達が謁見の間に入ってきた。
「よい。謁見の間で食事をするのも雰囲気が変わっていいかもしれん」
「しかし! あまりにも非常識……分かりましたよ。王命とあれば」
ハリセン攻撃を受けながらも準備を続けている亮二を止めようと、ミスリルのハリセンと魔剣を変形させたハリセンを両手に構えたマルコに対してマルセルから制止が入った。
謁見の間に食事の場を用意する亮二の非常識さにマルコが抗議しようとしたが、マルセルは鷹揚に頷きながら笑顔で問題ない事を伝えると、渋々ハリセンをアイテムボックスに収納した。
「ああ。せっかくマルコ殿の進化した二刀流のハリセン術が見れると思ったのに! さすがのイオルス神も二刀流は使っていなかったでしょう。つまりマルコ殿は神を越えようとしている! そ、そうなれば私はどちらを信仰すれ……痛ぃ!」
「どちらを信仰とかじゃなくて! イオルス神に全てを捧げろ! ラルフ枢機卿。最近、リョージの影響を受け過ぎておかしくなってないか?」
ラルフ枢機卿が残念そうにマルコがハリセンを収納するのを見ながら、歌うように誰とは言わずに語りかけていると、内容を聞き取ったマルコがミスリルのハリセンを取り出して叫びながら全力で打ち下ろすのだった。
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「で、順番待……」
「ないですからね! もう順番はないです! そこ! マルセル王は立ち上がって下さい!」
「じゃ、じゃが、さっきは儂は最後の最後で、全く力強さが感じられない駄マルコなツッコミじゃっ……痛ぃ! そう! それじゃ!」
ヘルマンが勢い良く並ぼうとするのをマルコはハリセンを収納して止めた。それを聞いたマルセルが崩れ落ちたが、マルコから立ち上がるように言われると渋々と従いながらブツブツと恨めしそうに呟いていた。
中年が口を尖らせながらブツブツと言っているのに我慢しきれなくなったマルコは、再度ミスリルのハリセンを取り出し「黙れ」と言いながら振り下ろして茶番を終了させた。
「取りあえずは食事でもしながら話をしましょうか。リョージ達も食べてますしね」
「仕方ないの。マルコをからかうのはこれくらいにして本題に入ろう。そこで優雅に食事を始めているリョージとエレナ様。特にリョージには頼みたい事があるんじゃ。で、なにを食べているんだ?」
「簡単に食べられる物がいいかなと思いまして、おにぎりに春雨スープと唐揚げにしました」
いい匂いがしている事にハーロルトがのどを鳴らしながらメニューを確認すると、亮二は嬉しそうに説明を始めた。各自、席に着きながら唐揚げと春雨スープはフォークで、おにぎりは手で掴んで食べる事を勧められると風変わりな食事を楽しみながら会話を始めるのだった。
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「では最初に。リョージはエレナのためにレイピアを作ってくれ。少なくともマデリーネ姫へ渡した魔剣よりも立派なのを頼むぞ」
「ええ。それは構いませんが。ちなみにエレナは希望とかある?」
マルセル王からマデリーネに渡した魔剣よりは立派な物を作るようにと命じられた亮二は頷きながらエレナに希望を訪ねた。しばらく首を傾げながら考えていたエレナだったが、輝かんばかりの笑顔で手を打つと亮二に希望を伝える。
「では、基本的には建国王の奥様だったエリナ様と同じように風属性で竜巻が連続で作れるようにして頂いて、それ以外にもリョージ様と同じように雷を纏えるようにして欲しいです! 装飾やその他についてはリョージ様が考えて下さいますか?」
「おう! 任せろ! エレナに相応しいレイピアを用意するよ」
亮二が力強く胸を叩きながら請け負うのを嬉しそうに見ているエレナに、マルセル達は安堵のため息を吐くのだった。
「それで、俺がここに残ってるのは意味があるんですか?」
話は終始、亮二とエレナの話題になっており、自分がなぜここにいるのか首を傾げているマルコに、マルセルは懐から勲章を取り出すと机の上に置いて厳かな声で伝えた。
「汝、マルコ=ストークマンに子爵を授ける。これは王命であり拒否は受け付けぬ。領地は渡さぬが権限は存分に渡そう」
「分かりましたよ。我、王国の剣となり盾となって全ての者を守らん」
マルセル王から勲章を渡されたマルコはため息を吐きながら跪くと誓いの言葉を述べるのだった。
マルコも貴族の仲間入りか。




