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異世界は幸せ(テンプレ)に満ち溢れている  作者: うっちー(羽智 遊紀)


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326話 戦後処理の始まり2 -恩賞を渡し始めますね-

自分の配下に恩賞を渡します。見学者が多いです。

「なんで勢揃いしてるんだ? 身内の恩賞授与だぞ?」


「そりゃ、お前さんが作った恩賞が気になるからだろう」


 アライグマ騎士団への恩賞授与式にサンドストレム王国と、ガムート帝国の重鎮達が集まっている事を疑問に思った亮二が問い掛けると、マルコから当然とばかりの返事がきた。

 亮二がアラちゃんに魔剣を渡した話は諸侯軍だけでなく、帝国側にも伝わっていた。特に武官の多いガムート帝国からすると、魔剣を作れる亮二の恩賞は興味の対象だった。


「魔剣を持っているのは騎士団長の彼か?」「マルコ殿も魔剣と神具と言われている武器も持っているそうだぞ?」「魔剣はリョージ殿が作られたとか。彼の能力は底無しか? 古龍も無傷で倒したとか?」「なぁ! もう一回、戦おうぜ!」


 帝国で名だたる将軍や大臣達は亮二やアラちゃん、マルコ達を見ながら盛り上がっていた。戦いたそうにしていたロジオンはクヌートに耳を引っ張られて黙るように説教をされていた。


「まあ。見たいんだったら構わないけど、欲しがってもやらないぞ? これは部下に対する恩賞なんだからな」


 亮二はマルコとの会話に軽く答えていたが、アライグマ騎士団の面々は緊張した表情に包まれていた。普段から気さくな感じで接している亮二とは違って、雲の上の存在であるはずの自国の皇族や伯爵を始めとする者達の視線が自分達に集中しているのである。

 さらには帝国側からも王以外の重臣達が集まっており、なぜか期待に満ちた子供のような顔で身を乗り出さんばかりにしていた。


「なあ。あの人達って、やっぱり伯爵の恩賞に興味津々って感じか?」


「そりゃ、そうだろ。魔剣まで作れる伯爵だぞ? そのリョージ様が一日かけて作った恩賞だぞ? 俺もなにをもらえるか楽しみにしてるんだよ」


 したり顔で説明している兵士にアラちゃんが近付いて笑いながら話しかけてきた。


「もらえるつもりなのか? あの程度の活躍で?」


「そりゃないぜ団長! 俺が投げた槍の一撃でドラゴンの動きは鈍ったじゃないか。あれで恩賞が出ないんだったら団長を恨むぞ」


 アラちゃんの台詞に憤慨した騎士の一人が顔を(しか)めながら言い返してきた。


「冗談だよ。一〇人一組で、班長が見てるんだから安心しろ。戦いで活躍した分はしっかりと評価されているぞ」


 アラちゃんは笑いながら謝罪して評価は間違いなくされている事を伝えると、評価者の一人として亮二がいる場所に向かうのだった。


 ◇□◇□◇□


「では、さっそく恩賞の授与を始めます! 名前を呼ばれた者は順番に壇上に来て下さい」


 カレナリエンが大きな声で開会を宣言すると、騎士団から鬨の声と間違わんばかりの大歓声が上がった。なぜか王国と帝国の重臣達からも同じように大歓声が上がっていたが。


「では、最初に二番目に働いたと評価された方から呼びます! これはリョージ様からの発案で『最後に一番を呼ぶのはテンプレだけど、いきなり二番はなかったろ?』だそうです」


 亮二の考えと聞いた一同から苦笑が起こった。確かに今までは下から順番に呼び上げられて居たからである。


「相変わらず変わった事を考えるな。お前さんは」


「だろ! じゃないと面白くないじゃん」


 ドラゴン討伐に一緒に参加し、評価者として授与式に参加していたマルコは亮二の隣に立っていた。そして慣例を無視する亮二の相変わらずな行動に呆れながらも、騎士団達のテンションの高さに驚いていた。


「ほら。ここで名を呼ばれれば大歓声が上がるだろ? いつものような順番だと二番の奴が勘違いして『俺の方が凄いのに!』と一番の奴に嫉妬するかもしれない。それを回避してるんだよ。今、思いついた言い訳だけどな!」


「だと思ったよ!」


 亮二とマルコが小声で掛け合い漫才をしている間に二番目に評価をされた男性が壇上にいた。さきほど、アラちゃんにからかわれていた男性で、槍の攻撃でドラゴンに魔剣以外で初めて傷を付けた騎士だった。


「汝、ドラゴンとの戦闘においてマルコ、アラちゃんに続いて傷を与えし者として評価する! 報奨として金貨五〇枚に、俺が鍛えた槍に魔剣と領都に帰ってから屋敷を与える!」


「ははっ!」


 槍に魔剣と金貨が入った袋に土地の権利証を恭しく受け取った男は亮二から槍の説明を聞くと、顔を輝かせて壇上から仲間達に向かって槍を掲げた。


「この槍は長さが調整できる魔槍だと! 手入れいらずで、魔石を埋め込んだら火と水の属性が付与出来るんだと!」


「おぉ!」「やっぱり二番目だと恩賞も豪華だよな!」「すげぇ! 屋敷が貰えるのか!」「明日から火起と水汲みはお前の仕事だぞ」「金貨は飲み代だ!」


 仲間からの祝福や軽い嫉妬が入った声に、槍を持った男は満足げな表情を浮かべるのだった。


 ◇□◇□◇□


「では、次に……」


 カレナリエンは恩賞を渡す者を順次呼び始めた。一〇〇名いる騎士団の一人一人を呼ぶには時間が無いため、亮二は何グループかに分けて恩賞を渡し始めた。次に呼ばれたのは継続的に攻撃を続けていた者達だった。その次に呼ばれたのは後方から魔法攻撃を続けてドラゴンの気を逸らしていた部隊が表彰された。


「お前達にも金貨一〇枚と魔剣だ。魔剣の性能は機能を制限しているから寂しい感じがするが、手入れ不要と属性は一つ付けられるから後で希望する属性を言ってくれ。これで九〇名近くの人間に恩賞を手渡したな。残りの者は壇上に上がってくれ!」


 そしてグループとして最後に呼ばれた者に亮二は恩賞を手渡しながら話しかける。


「お前達が回復や防御を頑張ってくれたお陰で前線の者達は十分に働く事が出来た。俺はお前達こそが、ドラゴンとの戦いで勝利した立役者だと感じている! お前達への恩賞は金貨五〇枚に魔剣と俺が作った勲章と一ヶ月の休暇だ。今、盤面の森に作っている保養所にお前達を招待してやる! 家族も連れて一緒に来い!」


 授賞式が始まり直接の戦いに参加出来ていなかった者達の表情は優れなかったが、壇上に呼ばれて亮二から最も活躍したとの言葉を聞くと、徐々に歓喜の表情を浮かべだし仲間同士で抱き合って涙を流しながら喜びを爆発させていた。


「お前達がアライグマ騎士団の生命線だ! これからも頼むぞ!」


「はっ! これからもアライグマ騎士団の盾となって皆を守っていきます!」


 防御を中心にする部隊のリーダーが代表して答えると、周りから盛大な拍手が巻き起こるのだった。

これで騎士団全員が魔剣持ちになりました。

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