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異世界は幸せ(テンプレ)に満ち溢れている  作者: うっちー(羽智 遊紀)


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310話 アラちゃんの奮闘 -頑張ってますね-

アラちゃんとの模擬戦中です。

「惜しい。もう一息だったな」


死角からすくい上げるような下段からの攻撃を察知した亮二は、風属性魔法を体全身にまとわせると大きく飛び上がった。想定外な回避をされたアラちゃんが慌てて迎撃の体勢を取ろうとしたが間に合わず、亮二に背後へ回り込まれて首筋に剣を突き付けられるのだった。


「良い線はいってたぞ。詠唱省略して魔法を放って、同じ軌道でナイフを投げた上に、体勢を低くして死角からの斬撃。戦っているのが俺じゃなかったら、間違いなくアラちゃんが勝っていたぞ」


「分かっている。だが、俺は伯爵に一撃を入れたいんだ。もう一回頼みます!」


「ああ。いいぞ。熱い奴は嫌いじゃない。好きなだけ付き合ってやろう」


亮二の褒め言葉にアラちゃんは苦い顔で歯を食いしばり、絞り出すような声で再戦を申し込んだ。目が死んでおらず闘志を漲らせているアラちゃんを見た亮二は、満面の笑みを作って了承すると開始線に移動して再びミスリルの剣を構えるのだった。


◇□◇□◇□


亮二とアラちゃんの模擬戦は三時間を超えていた。


「頑張れ!」「そこだ! 団長!」「リョージ様! 節度を持って闘って下さい!」「伯爵容赦ねえな」


二人が模擬戦を始めたのに気付いた騎士の一人が、大声で人を集め始めた。最初は団長を茶化しながら見ていたアライグマ騎士団のメンバーだったが、アラちゃんの真剣さと亮二の容赦のない攻撃が交差する模擬戦に徐々に熱が入り始め、負けても挑んでいく団長の応援をカレナリエンと一緒に始めていた。


「ぐっ! これも届かないのか!」


「諦めろって。俺に勝とうなんて十年早いんじゃないか?」


様々な技を駆使して攻撃をしてくるアラちゃんを、嘲笑うかのように亮二は攻撃を軽々といなしていき、その勢いで攻撃に転じて次々と勝利を決めていた。


「よし! これで俺の三十連勝だな」


「もう一回!」


魔法は躱され、剣技を駆使しても通用せずに負け続けていたが、アラちゃんの口元には笑みが浮かんでいた。自分が闘っているのはドリュグルの英雄と呼ばれているサンドストレム王国最強の戦士であり主君でもある。そんな歴史に名を残す人物が自分のワガママに付き合って闘ってくれている。それに部下たちも無様に負け続けている自分に対して応援を続けてくれている。


「俺は幸せ者だな」


「負けているのに喜んでいいのか? これ以上は時間が無いから、次で最後にするぞ」


アラちゃんの呟きを聞いた亮二は苦笑しながら、ミスリルの剣に雷属性を三重に纏わせると開始線に移動し始めた。ミスリルの剣から雷が踊るように弾けているのを見たカレナリエンは、大きく目を見開いて亮二に注意を始めた。


「リョージ様! それは駄目です! ミスリルの剣がその状態になっているって事は、二つ首ドラゴンを倒した時に使った属性付与ですよね? そんな攻撃をアラちゃんさんが受けたら……「構いません! 伯爵お願いします!」」


カレナリエンの台詞に周りの騎士たちが騒然となっていたが、アラちゃんはカレナリエンの台詞を途中で遮ると剣を構えて亮二に向き合うのだった。


◇□◇□◇□


「よし! その心意気は称賛に値する! 全力で闘ってやる!」


「お願いします!」


アラちゃんが力強く答えた瞬間に、亮二の雰囲気が変わった事にカレナリエンを始めとする周りの者も気付いた。いつもとは違う亮二の視線を受けたアラちゃんは、恐怖で膝が抜けそうになるのを歯を食いしばって耐えていたが、全身からは汗が止めどとなく流れていた。


「行くぞ」


「えっ?」


亮二が軽く声を掛けると同時に、アラちゃんを襲っていた恐怖感が掻き消えた。それと同時に亮二の姿も消え、気付いた時には正面から剣が振り下ろされる状態だった。


「お疲れ。これで模擬戦は終わりだ。剣がそんな状態だったら、これ以上は戦えないだろ?」


正面からの攻撃にアラちゃんが思わず目を瞑りながら剣で防ごうとしたが、剣に衝撃はなく風だけが過ぎていった。アラちゃんが呆然としていると背後に居た亮二から声を掛けられた。アラちゃんの剣は鍔の部分から先が無くなっており、足元には千切りにされた刀身が落ちているのだった。


◇□◇□◇□


「俺の勝ちだな。俺を相手にこれだけ闘えるんだから自信を持てよアラちゃん。カレナリエンもそう思うでしょ?」


「ええ! 流石はアラちゃんさんですよね! リョージ様の威圧を受けても立ってられるんですから」


亮二とカレナリエンから賞賛の声が上がったが、アラちゃんは一太刀も入れられなかった事に苦い顔をしていた。しばらく黙想していたアラちゃんだったが、首を振って気を取り直すと決意を込めた目で亮二を見ながら話し始めた。


「伯爵! またお願いします! 次は一太刀を入れて見せます!」


「アラちゃんからの挑戦を楽しみに待っていてやろう」


亮二はアラちゃんの決意に笑顔で応えると、見学に来ていた騎士達に向かって叫んだ。


「お前ら! 騎士団長がここまで根性見せたんだから、王国に戻ったら覚悟しろよ! アライグマ騎士団をサンドストレム王国最強の騎士団に仕上げるからな!」


「「「おぉ!」」」


亮二の宣言に、アラちゃんと亮二の模擬戦を見ていた騎士たちは興奮気味に大きな声で応えた。


「よし。よし。これで遠慮無く鍛える事が出来るな」


「何回も言いますが、遠慮して鍛えて下さいね。リョージ様基準で普通に鍛えるだけでも精鋭部隊が出来上がりますから」


騎士たちがテンション高くしている事に亮二が満足気な表情を浮かべながら頷いていると、カレナリエンから呆れたような表情で軽い牽制が入るのだった。

最強の騎士団が作れそうです。

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