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異世界は幸せ(テンプレ)に満ち溢れている  作者: うっちー(羽智 遊紀)


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290話 初戦の前奏曲4 -援軍に到着しましたね-

マルコとユーハン伯がアマンドゥスの応援に向かって爆走中です。

「あ、あと、ど、どのくらいは戦えそうだ?」


『もう魔力残量はありません。鞘に残っている魔石を使えば少しは戦えますが、防御のサポートが出来なくなります』


 息も絶え絶えな状態で大剣を振るっているアマンドゥスの問い掛けに、魔剣は冷静に答えた。殿(しんがり)を務めていた騎士団を撤退させてから3分以上が経過していた。アマンドゥスは魔剣の回答に獰猛な笑みを浮かべると、近寄っていた虚ろな目の兵士達を横薙ぎの一撃を放つと膝をついた。


「どうやら、ここまでのようだな」


『まだ少しなら戦えますが?』


 魔剣の言葉にアマンドゥスは苦笑を浮かべ、膝をついた状態で剣を振り回していたが、力尽きたかのように倒れこんでしまった。


『ますたー! 立ち上がることを推奨します! このままでは敵に殺されてしまいます!』


「ほう。お前でも焦ったような声は出せるのだな」


 焦った声を出している魔剣の声に笑い声を上げようとしたが、引き攣ったような音しか出なかった。体力と魔力が尽きそうな中、霞む視界と遠のく意識を奮い立たせて視線を前方に向けると、自分に向かって来る集団に気付くと安堵して意識を手放すのだった。


 ◇□◇□◇□


「アマンドゥス騎士団長!」


 ユーハンの声にアマンドゥスではなく魔剣が応えた。


『マスターは無事です。ただ、魔力と体力がほぼ尽きているのと、皆さんに気付かれて安堵して気絶されました。マスターの救護を早急にお願いします!』


 魔剣の切羽詰まった声にマルコがアイテムボックスからポーションやマナポーションを取り出して近付いた。アマンドゥスにとどめを刺そうとしていた虚ろな目の兵士達の攻撃は、ユーハン率いる騎士団が強固に築き上げた防御陣を突破できずに個々で攻撃を続けていた。


「なんだ、こいつら? 生気がないぞ?」


『彼らはゾンビ化している兵士達です。多少の攻撃では勢いが衰えません』


 虚ろな目をした兵士達に攻撃を仕掛けていた騎士達は、攻撃に対して防御もせずに反撃してくる事に戸惑っていたが、魔剣からの情報を得ると攻撃が続けられないように腕や足、首を斬るなどの部位破壊をし始めた。


「その調子で、防御陣形を保ちながら敵の攻撃力を減らしていくぞ! それにしても、ワイバーンを討伐したのはアマンドゥス騎士団長か? あんな巨大なワイバーンを分断するとはな」


『マスターと私の力を合わせたら、ゾンビ化したワイバーンなんてイチコロなのです! なので、早くマスターを治して下さい。マルコ様! さぁ! 早く! 早く!』


「なんか、お前さん。段々と饒舌になってないか?」


 魔剣から話し掛けられているマルコは、その饒舌さに呆れながらもアマンドゥスの傷にポーションを掛けると鎧を緩めて楽な姿勢にする為に身体を起こした。


「さっきから気になっていたんだが、あそこで動かずにジッとしているワイバーンはなんだ?」


『接敵するまでは動いていました。それにしてもマルコ様。その台詞は管理者のリョージ様曰く「フラグってやつじゃない?」ではありませんか?』


 魔剣の言葉が終わると同時に動き始めたゾンビ化したワイバーンは、マルコとアマンドゥスに向かってユックリと近付いてくるのだった。


 ◇□◇□◇□


「お前が、余計な事を言うからワイバーンが動き出したじゃねぇか!」


『それは心外です。マルコ様の言葉で動き始めたのだと推測されますし、それを強く推奨します』


 マルコと魔剣が不毛な会話をしている間もワイバーンはユックリと近付いてきていた。マルコはアマンドゥスを再度横にして剣を引き抜くと、ワイバーンに攻撃を仕掛けるために走りだそうとした。


「仲間のピンチに登場するのはテンプレ! 俺が来たからにはもう大丈夫! あとは任せておけ! マルコのツッコミに変わって俺がお仕置き…… 痛ぃ! なにすんだよマルコ!」


「なにんすんだよじゃねぇよ! 遅いんだよ! もっと早く来いよ」


 突然、大量の風と共に颯爽と現れた亮二が決めポーズを取りながら登場するのを見たマルコは、台詞の途中で剣からミスリルのハリセンに持ち替えると背後から全力で振り下ろした。決め台詞の途中で叩かれた亮二は口元を尖らせながらマルコに文句を言ったが、それ以上の剣幕でマルコに怒鳴り返されるのだった。


「お、おぅ。それは悪かったよ。マルコ。それで、こいつらなんなの? 動きが気持ち悪いんだけど?」


『マルコ様に代わって私がリョージ様にお答えします。ワイバーンも虚ろな目をした兵士達もゾンビ化した魔物に分類される者達になります』


「おぉ! ゾンビ! くさった死体! 攻撃されたら感染してゾンビになるのか?」


『そのような話は聞いた事はありません。リョージ様の国ではそうなるのですか?』


 魔剣の問い掛けに亮二は「俺の国ではそうだね」と言いながら魔剣を手に取るとワイバーンに向かって歩きながら、マルコにアマンドゥスの治療を続けるように指示をだすのだった。


 ◇□◇□◇□


『リョージ様。どうして私を使って戦われるのですか? ミスリルの剣をお持ちのはずですが?』


「ちょっと、お前の戦いの知識をかさ上げしておこうかなって。この戦いを記憶しておけばアマンドゥスのサポートもしやすくなるだろ?」


 亮二は魔剣を担くと火属性の魔力を通しながらワイバーンに近付いた。魔剣は炎を纏いながら光り輝くように発光を始め、剣の周りを炎が踊るように飛び跳ねていた。


『魔力の量が多過ぎて耐久力が落ちます! もう少し手加減をお願いします』


「えっ? まだ二重も掛けてないぞ? やっぱり、この戦いが終わったら少しだけ(・・・・)調整が必要だな」


 亮二は呟きながら魔力の量を調整すると、ワイバーンに向かってファイアアローを16連とウォータボールを撃ち出して霧状にして、風属性を纏って跳躍しながらワイバーンの頭上に現れると大剣の重みを利用しながら振り下ろし、一刀両断にするのだった。

後は虚ろな目をした兵士達だけになった!

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