エピローグ:【キラキラ★ベリベリキューティーガールズ】はこれからも……
「「「「世界を救うのは我らなり! 我ら、【キラキラ★ベリベリキューティーガールズ】!」」」」
ビシィッとポーズを決めたわたくしたちは、怪物たち――と言っても偽物なのですけれど――に挑みかかっていきます。
そして直後、わたくしの『苛烈な炎』が炸裂し、『桜吹雪』が吹き荒れ『地割れ』が起こり、『聖水の弾』が降り注ぎ、一瞬で怪物を倒してしまいましたわ。
すると襲われていた……という設定の女の子がわたくしたちの前にやって来て、おどおどしながら言いました。
「あ、ありがとう、戦隊さん」
「戦隊として当然のことをしたまでですわ」
「そう。世界の平和を守るのが、私たちの役目だから!」
「それがヒーローなのよ!」
「じゃあ、鮮やかに撤退しますね〜」
そう言って舞台を立ち去るわたくしたち。
「カット!」との声が聞こえ、今日も撮影が終わりました。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
『魔王』を倒したのがわたくしたちだとバレてしまったのは、予想外のことでした。
顔も隠していたのに、あの場にいた警察関係者がたくさん調べ上げたのか、わたくしの足取りがすぐに掴まれてしまって正体が世間に露見しましたの。しかも『魔王』騒動の翌日に、ですわ。
わたくしが財前家の娘というのが痛手でしたわね。テレビなどに出たことも一度や二度じゃありませんでしたもの。
それから新聞記者に追われ、変な研究組織に絡まれる毎日を過ごすことになってしまって。
気づけばとある映画監督に声をかけられ、こうして特撮戦隊ものに出演する羽目になっていたのですわ……。
しかも本物の異能力を使って戦えだなんて言うものですから驚いてしまいますわ。
まあ、相手の怪物はロボットではなくただの模型ですから危険はありませんが、わたくしたちの名はあっという間に国中に広まり、お茶の間で『リアル戦隊』として楽しまれるようになったということです。
「こんなはずじゃありませんでしたのに……」
「でもいいじゃない? 一応学園には何事もなく通えてるわけだし。私は満足だよ?」
「そうよ。それに、ヒーローだって言われて崇められるのは悪い気分じゃないでしょ。いつまでもぐずぐず言ってんじゃないわよ」
「【キラキラ★ベリベリキューティーガールズ】がこれからも続けられるって素敵じゃないですか。アズサ、もっと喜ぶべきだと思いますよ〜」
仲間たちはそうおっしゃますけれど、この問題、そう簡単じゃないと思いますのよね。
わたくしの平穏はいつ戻ってくるのでしょう。もう戻って来ないのかしら……。頭を抱える反面、今も彼女らと一緒にいられることを嬉しく思う自分が不思議でならないのでした。
一体この先どうなることやら、ですわ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ははは、面白いねぇ。公にその姿を晒すなんて。僕の見込んだ乙女たちは、やはり本物のヒーローだったようだ」
とある檻に囲まれた一室に少年の声が響く。
彼は静かに笑いながら言葉を続けた。
「……さて。そろそろここでの暮らしに飽きたことだし、もう一度彼女たちに挑みに行くかな。ああ、楽しみだ」
牢獄の鉄柵を破り、外へ。
また面白い遊びを始められると考えると胸が躍る。彼は薄暗い廊下を伝うようにして歩き、久方ぶりに外へ出た。
看守の生首を手にしたその少年は、彼女たちの元を目指して進み続ける。
まもなく彼――『魔王』の第二の遊びが、また幕を開けようとしていた。
これに完結となります。ご読了、ありがとうございました。
続きを匂わせるようなエンドですが、続きはありません!(断言)
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