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第10話 冒険者ギルド

町の中は思ったよりも活気に満ちていた。


門をくぐって真っ直ぐ進むと商店街が立ち並び曲がった先には広場や露店も並んでいる。


わくわくする気持ちを抑え、ひとまず教えて貰ったギルドへと向かう。


注意しなければいけないのは冒険者ギルドと商業ギルドの2種類があること。(ファンタジーって感じ)


冒険者ギルドは登録が無料だが、商業ギルドは登録料がかかるらしい。


商業ギルドは料金は必要だが、その代わりに商品の売り買いの時の値段がお得になったり、商売についてのアレコレが色々とあるらしい。


私は無一文なので、まずは冒険者ギルドで身分証を発行して、手持ちの薬草等を売ろう。



『ヌシ様、ここじゃないですか?』


ベルが少し先の建物の前でクルクルと回っている。


確かに、しっかりとした作りの大きめの建物に看板も付いている。


剣のマークに冒険者ギルドと看板が付いている。


不思議な事に字は読める。

ベル曰く、魔法陣の仕様らしい。(超便利)



ドキドキワクワクしながら大きめの木の扉を開けて入ると、そこは正に『冒険者ギルド』と、言ったイメージそのままの造りになっており、思わず感動で震えそうになった。


入って真っ直ぐ進むとカウンターがあり、受付の窓口っぽいのがある。


受付には素敵なお姉さんもいる。

スタイル抜群でボンキュボン。


髪は肩までのミディアムボブで、ヘソだしミニスカのちょっとカジュアルな感じが冒険者達の人気者であろうと想像する事が出来る。


とっても良い。


ちょっと先の横の方には掲示板の様なボードがあり、あそこに依頼が貼ってあるのだろう。


今は人が少ないが、朝の時間には混んでいるに違いない。


奥には飲んだり食べたりする食事処のようなスペースもあって、もちろん昼間から飲んだくれてるおじさん冒険者達や若い男女もいる。他にも1人で食事をしている人もいるようだ。

私もあそこで食事をしてみたい。


カウンターには食事処のマスターもいる。

マスターはきっと隠れた実力を持っているはずだ。

酔っ払いの揉め事など包丁片手に簡単に沈めることが出来そうだ。(*勝手なイメージです)


やばい、興奮する。


これぞ求めていたファンタジー!


勝手な妄想を広げつつ、私はウキウキとした気持ちを隠し落ち着いた感じで受付へと向かう。


もちろん、あの素敵なお姉さんの受付だ。


「こんにちは。

本日はどのようなご用件ですか?」


受付の素敵なお姉さんがなんだか優しい笑顔で声をかけてくれる。


「あ、あの、冒険者の登録と薬草の買い取りをお願いします。」


ドキドキしながら、定番のセリフを言ってみた。


冒険者の登録なんてワクワクしかない。


「…冒険者の登録ですね。では、こちらの紙にご記入をお願いします。

…字は書けますか?

よろしければ代筆も出来ますが…?」


素敵なお姉さんは性格も良いらしい。

見た目に反して丁寧な言葉遣いと落ち着いた声をしている。

そして(幼く見える)私を心配してくれているようだ。


「大丈夫です。…(多分)書けます。」


ニコっと笑うと少し安心した様子でにこっと笑い返してくれる。


「買い取りは登録が出来たらご案内しますね」


「ありがとうございます」


字はちゃんと変換して書けた。


記入事項は名前、年齢、出身地だが、年齢を書いたところで少し驚かれ、出身地は名前がわからないと言ったら空欄でも良いと言われた。


属性や技能を書く欄はわかるようなら書いた方が良いけど、こちらも最初は空欄でも大丈夫と言われ、何も書かなかった。


属性や技能系は書くと受けられる仕事や依頼料が増えたりもするので判ったら更新することを勧められた。


まるで資格のような扱いだな。


「では、少しお待ち下さい。」


お姉さんは紙をもって奥へと行き、何か手続きをするとカードを持って戻ってくる。


「では、ここに魔力を流して下さい。」


魔力を流す…



どうやって?


「…」


とりあえず、カードを受け取り念じてみた。


流れろ流れろ流れろ…


「…」


ピカッ


あ、光った。


「はい、大丈夫ですよ。

これであなたの魔力が無事登録されました。」


無事に手続きできたようだ。


…良かった。


それにしても、私にも魔力ってあったんだな。


その後、冒険者ギルドについての簡単な説明をされる。


想像通り、冒険者ギルドとは依頼や任務を受けたり、情報を交換したりする場所であった。

冒険者たちは依頼人からの仕事を受けて報酬を得ることができる。


そして、安全な道程や魔獣等の情報交換の場としても機能している為、世界でも中心的な巨大組織の一つとして位置づけられているようだ。


奥には資料室もあるらしく貸し出しはしていないが、簡単な調べ物等は出来るようになっているらしい。


また、定番だが冒険者にもランクがありF〜Sまであり、ランクによって受けられる依頼が変わってくるみたいだ。


ランクを上げる程、依頼の受けられる幅が広がる。


ただし、Fは15歳未満の働かないといけない事情のある子供への特別枠のようで、逆に高ランクでは受けられない依頼等もあるらしい。


私はギリギリEランクからのスタートとなった。


因みに実力があれば15歳未満でもランクを上げる事は可能だ。



「では、続いて買取に移りますね。」


お姉さんは特に気にした様子もなく微笑ましげに私をみている。


「持ち込みは薬草ですか?こちらでも受け付ける事もできますが、嵩張るようなら奥のカウンターも利用できますよ」


「あ、じゃあ、ここでお願いします。」


そんなに量はないと思うので、カゴから薬草と木の実を取り出す。


「…あら。」


「?」


お姉さんは薬草を手に取り少し驚いた様子を見せた後なにやら考え込む。


チラッと私を見て、また薬草へと視線を戻す。


しばらく薬草を色々な角度から観察した後に木の実に視線を向け少し驚く様子を見せた。


「…。 …少々お待ちいただけますか?」



お姉さんは私の取り出した薬草と木の実を一部手に取って何やら奥へと行ってしまった。



あれ、ベルさん。この薬草と木の実って何かあったりするの?


ベルは特に気にした様子もなく物珍し気にフワフワとギルド内を漂っている。


しまった…資料室にて先にこの薬草達を調べてから持ち込むべきであった。


しばらくしてお姉さんが戻ってきた。

後ろには厳ついおじさんがいる。


あれ、こうゆうパターン読んだことある気がする。


「…お待たせしてごめんなさいね。

…もし良ければ奥で、ちょっとだけお話聞かせて貰える?」


少し困った様子を浮かべつつお姉さんは私を奥へと案内し始めた。


まだ何も換金出来てない為、無一文の私は断る事も出来ず後に続く。


『ヌシ様、どこに行くのですか?』


ギルドの観察をしていたベルが、急いで横に戻ってきてふわふわと付いてくる。


むしろそれは、わたしが聞きたい。



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