192 好中球
富士が、どうなった……
降下訓練を終えた俺たちの所にやってきた東中尉が口を開く。
「富士駐屯地が大変なことになっている!」
普段から落ち着いた物腰の中尉が、これほど慌てているとは、よほどの事態に巻き込まれた可能性がある。
もしかして敵襲か?
確かに俺たち肉体労働者が総出で習志野まで来ている間に、外敵の攻撃を受けていたら、少々考え物かもしれえない。
だが、その点に関しては、さしたる心配をする必要はないだろう。富士には、美鈴、フィオ、カレンの3人が残っているのだ。この3人が揃って待機している以上は、どれほどの敵であろうとも必ず撃退してくれるに違いない。
ましてや、あの司令官まで残っている状況では、むざむざ何らかの攻撃を受けるとは考えにくい。としたら、東中尉の口から出た『大変なこと』とは、一体なんだろう?
俺の脳裏は、その疑問で埋め尽くされる。もちろん俺だけではなくて、他のメンバーもどうやら同じ考えのようだ。人の話を聞かない、あの妹でさえ、東中尉の次の言葉を待っている。
「中尉、富士で何事が起きたんでしょうか?」
「楢崎訓練生、他の人員もよく聞いてくれ。特殊能力者部隊でインフルエンザのパンデミックが発生した。能力者の数人と一般隊員の3分の1が、すでに感染している」
なんだって! 俺たちの部隊は総勢約500人だから、そのうちの150人以上がインフルエンザでダウンしているというのか!
これは思いもよらない深刻な事態かもしれないな。駐屯地の機能がマヒ状態に陥っている可能性がある。
中尉は不安な表情の俺たちに向かって、話を続ける。
「幸いなことに、この場の全員は、健康状態に関して異常は見当たらない。そこで感染防止のために、習志野に留まれという指令が通達されたんだ」
それはそうだろうな。普通の判断ならば、俺たちを感染から守るために富士に戻さない措置を取るだろう。だが、大事なことを忘れているぞ。この場で中尉に進言しておこう。
「中尉! 俺と妹は〔状態異常完全無効化〕のスキルがあります。伝染病も完全に無効化しますので、富士に戻ります。万一の際の魔力砲のオペレーションがありますから!」
「そうだよ、中尉ちゃん! 私たちはインフルエンザなんて、全然怖くないから大丈夫だよ!」
俺と妹の意見に、東中尉は考え込んでいるようだな。さらに追い打ちを掛けるかのように、勇者とタンクが発言する。
「俺にも同じようなスキルがあるから、インフルエンザ程度は問題ないぞ」
「俺も勇者と同じだ。伝染病には罹らない体質だ」
さすがは帰還者だな。二人ともスキル持ちだったのか。そういえば、この二人の能力に関しては、詳しいことを全然聞いていなかったな。今度機会があったら、正確なところを聞いておこうかな。
「ボス! 我々5人はボスについていきます!」
「インフルエンザなんて、気合でぶっ飛ばしますから、私たちに任せてください!」
「上等だぜ! 風邪ぐらいで倒れていたら、ボスの親衛隊が務まるかってんだ!」
怖いもの知らずの親衛隊は、気合で乗り切ろうとしているが、あまり無茶をするんじゃないぞ! それから美晴! お前は、風邪とインフルエンザの区別がわかってないのか?
こいつらは、本当に大丈夫なんだろうか?
「教官殿! 高所恐怖症を克服した自分に、怖い物などありません! 胸を張って富士に帰還いたします!」
滝川訓練生までが、同調しているな。こいつらは、妹に感化させられすぎだろう。こっちのほうが、なんだか心配になってくる。
こんな俺たちの態度を見て、中尉はどうしていいのやらと、頭を抱えているぞ。いつもながら、ご苦労をお掛けいたします。この先、ますます頭が上がらなくなるな。
「仕方がないから、もう一度司令と連絡を取ってみるよ」
そう言いながら、スマホを手にして、しばらく話をしている。
気の毒に、電話をしながら何度もペコペコと頭を下げているよ。中間管理職の辛い立場が滲み出ているな。
ようやく通話を終えた中尉は、俺たちに振り返る。その表情には、タフな交渉で生じた疲労の影がくっきりと残っている。あの司令を相手にしていたんだから、胃に穴が開かなかっただけでも儲けものかもしれない。
「君たちの意見を、司令が認めてくれたよ。全員、富士に帰還する」
こうして俺たちは、インフルエンザが蔓延している富士駐屯地に、敢えて帰還することとなった。もちろん自分たちの意思で決めたのだから、責任は各自で負うと重々承知の上だ。
富士駐屯地に戻った聡史たちは……
夕方近くになって、俺たちが搭乗するヘリは富士駐屯地のヘリポートに着陸した。もう3月だから、真冬の頃と比べてずいぶん日が長くなったな。6時近いにも拘らず、まだ明るさが残っているぞ。
「兄ちゃん! お腹がペコペコなんだよ!」
妹よ、お前が腹を減らしている件は、毎度のことだから、いちいち断らなくていいぞ。面倒だから、早く食堂に行ってこい!
ダッシュで走り去る妹の後姿を追うように、俺たちも食堂に向かっていく。
「聡史君、お帰りなさい」
「聡史、お疲れさま」
俺が食堂に入ると、美鈴とフィオがいつもの席で食事中だった。二人は食事の手を止めて俺に笑顔を向けて、その横では、すでに妹が2枚目のトレーに箸をつけている。
「二人とも、ただいま。インフルエンザのせいなのか? 食堂にいる人が少ないようだが」
普段は何百人も収容している広い食堂だが、今日は半分くらいしか座席が埋まっていない。俺たちが留守にしていた3日間で、これほどまで急激に感染が拡大したのか?
「富士駐屯地の中でも、インフルエンザの蔓延はこの特殊能力者部隊に限定されているのよ。外に広まらなかっただけ、まだマシよね」
「すでに感染者数は、一般兵を中心に200人近くにまで及んでいるわ」
……そうだったのか。それにしても、この部隊内だけで感染が広まるというのは、ずいぶんピンポイントなパンデミックだな。
「主なメンバーで罹患しているのは?」
「この場にいない人たち…… ああ、カレンは看病に当たっているわ。天使にはインフルエンザも通用しないから」
そうだったのか…… カレンが看病してくれているんだったら、一安心だな。回復の光で一気に治癒するのは、可能なのかな?
それはともかくとして、この場にいるのは、美鈴とフィオに、レイフェン、天孤、玉藻の前、妹、親衛隊、滝川訓練生、勇者、タンク…… そこに俺を含めると全部で14人か。
ということは、アイシャ、リディア、ナディア、明日香ちゃん、マリアが、揃ってダウンしているんだな。あとでナディアの様子を見に行こうか。無事に戻ってきた俺の姿で安心してくれるからな。
「ところで、なんでこの部隊だけにインフルエンザが広がったんだ?」
「感染源がはっきりしているのよ。この部隊にウイルスを最初に持ち込んだのは、明日香ちゃんですから」
「明日香ちゃんが5日前に休暇で家に戻ったら、小学生の弟さんがインフルエンザに罹っていたそうよ。自己申告するのをすっかり忘れてくれたおかげで、一気に感染が広まったのよ」
やってくれたな、明日香ちゃん! 我が部隊の機能の半分を奪うとは、恐れ入ったぞ!
「隊員全員が、ワクチン注射を受けていたにも拘らず、わざわざ型の違うウイルスを持ち込んでしまったらしいのよ。さすがとしか言いようがないわね」
美鈴が溜め息をついているぞ。大魔王様に溜め息をつかせるとは、明日香ちゃんはとんでもない大物かもしれないな。もちろん、彼女の数え切れない遣らかしは、俺たちの間では知らない者はいない。しかし今回は、その中でも最大級の遣らかしに違いないぞ。
「幸い感染者には、早めに治療薬が処方されたから、重傷者は今のところ出ていないわ」
「それは不幸中の幸いだったな」
こうして駐屯地の現状を二人から聞き終えた俺は、自分の夕食を取りにカウンターに向かう。そこには、いつもと全く変わらない姿で、複数のオバちゃんが白衣姿で働いている。
「あら、しばらく顔を見なかったけど、寝込んでいたの?」
「俺たちはよその駐屯地で訓練を受けていました。食堂の皆さんは大丈夫なんですか?」
「私たちは全然平気よ! 普段から鍛え方が違うからね!」
オバちゃん! ここは世界中にその名を轟かせる国防軍の特殊能力者部隊なんだけど…… 鍛え方が違うって…… いや、確かにそうなのかもしれない。
この人たちは、一年365日、毎日汗一つかかずに大勢の食事を用意しているんだぞ! この駐屯地で最強の鉄人は、間違いなくこのオバちゃんたちだ! 俺が責任もって認定しようじゃないか!
その頃、食事を終えたさくらは……
「ふう、お腹がいっぱいになって満足したよ! ポチとタマはこのあとどうするのかな?」
「我は久しぶりに主殿とご一緒にキツネうどんを食したので、満足でございますぞ」
「妾も満足なのじゃ! 今宵は祠に戻りて、ゆるりと休むのじゃ!」
そうなんだね! 二人とも満足しているなら、よかったよ! ポチはキツネうどんを3杯も食べていたし、タマはチョコレートパフェをお代わりしていたからね。
さて、この後はお風呂に入って寝るだけだね…… そうだったよ! なんでも話によると、明日香ちゃんが風邪で寝込んでいるらしいんだよ!
これはお友達としてお見舞いに行くべきだよね! きっと喜んでくれるはずだよ!
そうと決まったら、明日香ちゃんの部屋に行ってみようかな。お見舞いの品は、大好物のクリームあんみつにしようね! きっと喜んでくれるよ!
さくらちゃんは、カウンターでクリームあんみつを注文すると、アイテムボックスにしまってから、明日香ちゃんの部屋へと向かうのでした。
同じ時、さくらの体内では、免疫機構が厳戒態勢に入って……
「緊急要請! 皮膚に多数のウイルスの残骸が付着! 樹状細胞に調査を要請する!」
体内の免疫機構の司令塔となるヘルパーT細胞から指令が伝わると、潜んでいる樹状細胞が皮膚表面に触手を伸ばして、異物の毒性の有無等の危険性を判断し、その結果が全身の免疫細胞に伝達される。
「異物は、インフルエンザウイルスの残骸と判明した。すでに不活性化しており、危険度はゼロと判定する。各員はウイルスの侵入に備えて、警戒を強化せよ!」
樹状細胞は、ウイルスの抗原を適応免疫系のT細胞に伝達する。これによって、司令塔がどの異物を敵として攻撃するかを初めて認識するのが、抗体反応の仕組みだ。
だが、実は、すでにさくらの体内で、強力な免疫が活動を開始していた。それは、血管に存在する白血球の大軍団だ。ウイルスの有無に拘わらず、常に体内を監視しながら、異物を飲み込んでは無力化する実に頼もしい細胞である。
「おい! 大量に胃に入ってきた食物のスキャンは終わっているか? 異物が侵入してくる気配があるから、モタモタするなよ!」
白血球はT細胞とは違って、数の暴力で細菌やウイルスを捕食していく。これらは後天的に得た免疫とは違って、生物が生まれ持った免疫機能といえる。
通常の人間では、白血球は仲間のマイクロファージと協力してウイルスを捕食するのだが、さくらの場合は機能が大きく変異している。
白血球の半数以上を占める好中球が、索敵と攻撃を同時に展開可能なのだ。常に体内でサーチアンドデストロイを実行しており、免疫機構の中の最強部隊となっている。
しかも好中球は、通常はマイクロファージが発見したウイルスを1対1で制圧するのだが、さくらの場合は10本以上の触手を伸ばして、一度に多数のウイルスに対処可能となっているのだった。しかも、この好中球軍団は、非常に気性の荒い連中だ。
「おい! 久しぶりの獲物が来やがるのか? これは、滅多にない大暴れの機会だぜ!」
「早く来ねえかな! ひとまとめにして、血祭りにあげてやるぜ!」
「この前、侵入を企てやがったノロウイルスは、呆気なかったからな。ぜひとも歯応えのある相手がいいぜ!」
好中球軍団は、飼い主であるさくら同様に、好戦的な性格で、その合言葉は『ヒャッハー! 異物は消毒だぁぁ!』…… これはたぶん間違いないだろう。
虎視眈々と体内の免疫軍団が牙を研いでいるさなかで、さくら本人は……
「おーい、明日香ちゃん! 具合はどうかな?」
優しいさくらちゃんは、お見舞いの品を携えて、明日香ちゃんの部屋のドアを開いたんだよ。当の明日香ちゃんは、おデコに冷えピタを張り付けて、薄っすらと目を開いてこっちを見ているね。
「さくらちゃん、ゲホゲホ! 病気が移りますよ」
「大丈夫だよ! 病気なんか気合で撥ね返すからね! それよりも、ご飯を全然食べていないんだね。これじゃあ、元気が出ないよ!」
「熱が39度もあるんですから、ゲホゲホ…… ご飯なんか喉を通りません」
明日香ちゃんが、普段の5割増しのボケっとした表情で答えるよ。咳が出てしゃべるのも苦しそうだね。仕方ない、優しいさくらちゃんが、お見舞いの品を披露してあげようじゃないか!
「そんなご飯を食べられない明日香ちゃんに、素敵なプレゼントだよ! ジャーン! 大好物のクリームあんみつだぁぁ!」
「さくらちゃん! ゲホゲホ…… それなら何とか喉を通りそうです!」
ほらほら、明日香ちゃんは急に元気になっているよ! このさくらちゃんの目論見通りだね!
ベッドから起き上がった明日香ちゃんにトレーを手渡すと、パクパク食べ始めるよ。これでもう、元気になるのは間違いなしだね!
この時、さくらの体内では……
「やれやれ、ようやく別の生物の体に乗り移れたぜ! 野郎ども! 増殖を開始しろ! 思いのままに蹂躙するんだ!」
「「「「「「おう!」」」」」」
明日香ちゃんの咳と一緒に飛び出して、さくらの体内に入り込んだインフルエンザウイルスは、喉の粘膜に取り付いて増殖を開始し始める。
だが、血管を泳ぎ回りながら監視を怠らない例の軍団が、その暇も与えないうちに次々に現場に駆け付ける。その数は、あっという間に数百万単位に上った。
「おうおう、俺たちの縄張りで、ずいぶん好き勝手なことを始めているな!」
「わざわざ出向いてくれて、ありがとうよ! 精々楽しませてくれよな!」
「好きなだけ抵抗してみろよ! 時間を計ってやるぜ!」
「いい声で鳴いてみせろよ!」
ヒャッハーな軍団がこれだけ集結しているにも拘らず、ウイルスは全く相手にしないで、ひたすら増殖に励んでいる。
「バカめ! 高々好中球がいくら集まろうと、俺たち最強のインフルエンザの敵ではないわ! 無力を噛み締めながら、俺たちが増殖する様子を眺めているんだな!」
ウイルスは、この時点で何も気が付いていなかった。高々好中球だとナメていたのを、さぞかし後悔するだろう。
「御託を並べるのはお仕舞か? よし、一斉に掛かれ!」
「ヒャッハー!」
「駆逐だせぇぇぇ!」
「消毒してやる!」
好中球は、次々に触手を伸ばして、ウイルスの体に突き刺していく。その先端からは、ある種の毒性を持ったタンパク質が注入されており、瞬時にウイルスは、その体を保てなくなって、バラバラの残骸となっていった。
「なぜだ! なぜ好中球風情に我々が敗北するのだ!」
「それは、貴様らが弱いからだ!」
粘膜に取り付いて増殖を開始したウイルスは、次々に現れる好中球の触手に討ち果たされていき、その場は、まさに死屍累々の惨状を呈している。
「逃げろぉぉ! とにかく外部に逃げるんだ! ぶふっ!」
「こんな地獄は見たことがないぞ! とにかく外へ…… ごがあぁぁ!」
逃げようとして背を向けるウイルスに、容赦なく触手の槍が突き刺さっていく。ウイルスたちは、無様に敗走するしか、生き残る道はなかった。
ウイルスが追い詰められているその時、さくらは……
「ヘェェクショイィィィ! なんだか鼻がムズムズしたよ!」
「さくらちゃんにも、もしかしたら移ったかもしれませんよ」
「大丈夫だよ! 気合があれば病気にならないからね」
ちょうどその時、ウイルスたちは……
「今だ! 外に飛び出せるぞ!」
「逃げろぉぉ! 逃げるんだぁぁ!」
「そう簡単に逃げ出せると思うなよ」
「地獄の果てまで追いつめてやるぜ!」
さくらのクシャミと一緒に空気中に飛び出したウイルスに対して、好中球の大軍も一緒になって飛び出して、なおも空気中で戦闘を継続している。器用に触手を伸ばして、空中のウイルスを捕獲しているのであった。
「なんだ、なんだ! 外には死に掛けのクソ虫どもが大勢いやがるな! 1匹残らず始末するんだぞ!」
「うおぉぉぉ! こんな入れ食いは、2度と経験できないぞぉぉぉ!」
「ハハハハハ! 周りは全部敵だ! 狙いなんかつける必要はない! 触手を打ちまくれ!」
もはや、体内を守る免疫という肩書はかなぐり捨てて、ウイルス虐殺マシンと化したさくらの好中球が、大気中にバラ撒かれた。そしてその一部は、明日香ちゃんの体にも入り込んだ。
「貴様らは何者だ? 突然現れて、何をしにきたのだ?」
「ああ? なんだお前らは? ずいぶん貧相ななりをしているが、どうやら同じ好中球のようだな。邪魔だから、下がっていろ!」
「オラオラ! 怪我したくなかったら、どいているんだよ!」
「待て! ここは俺たちが管理する……」
「うるせえぇぇ! 邪魔するんじゃねえ!」
必死で制止しようとする明日香ちゃんの免疫細胞を吹っ飛ばして、さくらの好中球は傍若無人にウイルスに躍りかかっていく。その姿は、まさに血に飢えたオオカミのごとく……
数分後……
「おう、邪魔して悪かったな! あのクソ虫共がいなくなったから、別の場所に移るわ!」
「はあ、どうもありがとうございました」
明日香ちゃんの免疫細胞に見送られて、さくらの好中球たちは再び体外に飛び出していく。
その頃、さくらたちは……
「さくらちゃん! なんだか気分がよくなってきました! もしかしたら、インフルエンザが治ったのかもしれないです!」
「ふむふむ、やっぱりちゃんと食べると元気が出てくるんだよ! 明日香ちゃんは、親友であるこのさくらちゃんに、感謝するんだよ!」
「今回だけは、感謝します!」
「むむ、相変わらず挑戦的な態度だね!」
「だって、親友のさくらちゃんですから!」
こうして、多少元気を取り戻した明日香ちゃんの部屋に、しばらくの間笑い声が響くのであった。
この時期に、このネタを描くのはどうかと、散々迷いましたが、思い切って掲載させていただきました。新型コロナで亡くなっている方も出ているさなかに、小説でウイルスを扱うのは非常識ではないかという批判も、覚悟の上です。
あえて掲載した理由は、人間は必ずウイルスに勝てるという願いがこもっているからです。
もちろんファンタジー小説ですから、現実がこの通りになるはずがありません。しかし、いつの日か、必ず有効な治療法が発見されます。
その日を願って、ウイルスを気持ちの上でもぶっ飛ばそうという意味で、この192話をお届けいたしました。
誤解が生じないように、作者の意図をあえて述べさせていただきました。もし、何かご意見があれば、お寄せください。




