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4章5節 汝、魔力蜷局ニ足ヲ踏ミ入レ 2


 2日目。初日は殆ど探索できいなかったのにも関わらず、チェインメイデン教団の士気は非常に高い。

 そりゃぁね。赤蓮、結構な量取れたし、相変わらず俺が寝ずに作業し続けて精錬作業も大体終わった。赤蓮砂糖、グラムして大体6500強くらいかな。この砂糖のグラム単価が金と近いと考えてみましょう。ね?思わずニッコリできるでしょう?しかもこの砂糖魔力もたっぷりだから更に付加価値が付くんですよ奥さん。ニコニコしすぎて頬肉が痙攣しちゃうよ。この魔力蜷局、当たりじゃない。超大当たりだ。


 といっても、高頻度で暗殺を目論むカエル擬きや攻撃的な虫、あの主クラスの猪とまではいかないけどチラホラ現れる獣たちを撃退できる実力があっての話だ。ゴールドラッシュならぬ魔力蜷局ラッシュは現実だとそう簡単に実現しない。


 あとあの猪ね。良い部位だけ取って後は儀式の道具や供物にしました。人間ですら食べていた時が懐かしい。因みに、魔力蜷局で変質化した生物は俺なりに翻訳すると『魔物』って呼称します。普通の生物とは色々と違うのよね。魔力が多いので魔法使いが食べると魔力の回復が早まります。それと魔法で色々と加工してバッグにもしてみました。猪さんありがとう。それに胃や腸の中身を調べたお陰で調査も進んだ。動物が何を食べているかって情報の山なのよね。俺と一緒にイヨカが検分してくれた。それが昨日の話。

 

 今日も今日とて朝日も見えない様な時間から朝食を頂き、士気向上の名目で砂糖を試食。というか女性陣も目が怖かったので食べさせました。ちょびっとだけなのに幸せそうな顔しとりましたよ。地球に連れってってお菓子作りの際に使われる砂糖を見せたら絶叫するんじゃなかろうか。もう少し食べてもいいけど、とは言ったが皆遠慮している。ウチの子たちは自制心も強いなぁ。


 2日目も活動拠点は池。まだまだ赤蓮はございます。魔力蜷局化に伴い栄養があふれて異常繁殖したのだろう。砂糖化してしまえば滅多に腐らないし場所も多く取らないので可能な限り回収しておきたい。入れ物も猪のお陰で沢山できたしね。

 さーて、皆さん、勤勉に活動しましょう。




 そこから俺たちは毎日魔力蜷局に通った。

 3週間くらいな。ほんとに池周りから基本的に動かなかった。てか途中から池周りを切り開いてテント張った。このテント、魔法で色々と細工して空間が広くなっている特性のテントです。本来だと滅茶苦茶お高いですよ。ケテトもそんなものまでできるのかと驚きを通りこして呆れが入ってた。けど魔法を教えてあげたらすぐに手の平―クルーですよ。可愛いヤツめ。


 砂糖を生成し、更には油を搾りだせる植物も発見したのでこれも処理。てかこれのせいで長引いた。砂糖も塩も物々交換じゃどこを相手にしても確実に高値で取引できるからな。最優先で確保したい物品である。


 おかしいな。元はケテトの使い魔を作るはずだったのに、QOLを上げる方にケテト含めて全員の思考が寄っている。でもこの池が本当に金の山の様な場所だから動けなくなるのも仕方ない。3週間かけて砂糖と油を満足する分作り上げ、俺たちはようやく魔力蜷局の探索に思考を戻した。

 言い訳をすると、別に作業ばっかしてたわけではない。カエル擬きやタガメ、ザリガニみたいな池で捕獲した魔物を、作った油と、池周りでとった芋みたいな物を粉状にした物をまぶして揚げた物を食べてみるとか色々面白いこともやってたのよ。揚げるって偉大だなって思ったよ。うまい。野菜も池の周りに栄養豊富な物が色々生えてたので回収して食べました。栄養バランスも万全です。この3週間、皆の顔色も凄くよくなりました。

 あと、偶に襲ってきた獣タイプの魔物を倒したりね。戦闘もちゃんとしてましたよ。大体は3人娘の連携でさっくり処理されてましたが。


 池に居たワニみたいなヤツ、アレは旨かったなぁ。香草焼きでも揚げ物でもどっちもイケた。ヘラクルはやはりお肉が大好きなのかテンションの上がり方が凄かった。なんか年相応な感じが見れてとてもかわいかったですよ。

 


「今日こそ探索をします。ケテトの使い魔を作る為、最高級の素材を手に入れましょう」 


 しかしいつまでもバカンスをしてるとそろそろウチの御主神様がドカンと爆発しそうなので自重。3週間の沈黙が怖い。いや、教団に莫大な資産ができたことは今後の行動に置いて非常に大きなプラスになるために無駄ではないのだが、それはそれとして教団員増加活動をさぼっているのは間違いない。一応3人娘からの信仰はグングン上がっている(揚げ物と砂糖で凄い上がったのが解せない)ので教団としてもプラスだけど、質だけでなく数もやはり大事なのだ。


 なので俺も本気だします。3人娘に任せて周囲の警戒維持という名のぼったちが多かったけど俺も積極的に出る。御主神様のお怒りが怖いの。歯向かう奴は御主神様の怒りも恐れぬ不敬な物として処分する。RTAじゃい。


「そいっ!」


 懐かしいなぁ。自分の肉体の変化に馴染めてなくてヘラクル救出の際にとんでもないノーコン投球を披露したあの時が。

 今の俺の投球精度は夜に獣を追っ払う時に何度も鍛えてたので凄い上がってる。日々の練習って大事。夜はみんなスヤスヤなので俺が石を投げてるところを見たことないから、ちょっと驚いている様子。でもやっぱりクソみたいなスピードでぶっ飛んでくる石や硬い骨(大きめの生物の歯とか)ってそれ自体が完全に凶器として完成してるからね。


 あと、フィジカルが強化されて、ゲームの仮想空間でも戦闘には慣れているとはいえ、アマチュアの域を出ないので実地で練習は欠かせない。

 ヘラクル達には見張りを頼み、タイマンを慣行。今回の敵は変異した豹みたいな魔物です。豹と言ってもあくまで原型が豹ってだけで、体長は8m。背中から棘を生やしてなんか黒い靄みたいな物を纏っています。

 わーい、かっこいいー。


 と思ってたら靄がぐにゃッと動いて体を掴んできた。なるほど。こうして捕まえてから狩るのか。しかし効かぬ。俺は普通にパワーで振りほどいた。俺をあっさり捕獲されたアホな獣として飛び掛かってきたところにカウンターの廻し蹴り。顎を凄い綺麗に蹴りぬいた。

 顎関節破壊。及び頭が揺れて脳みそも揺れたのかふら付いている。ゲームだったら今の蹴り間違いなくクリティカル表示だったろうなぁ。


 続けてふら付いているところで膝関節にパンチ。破壊。もう一方もパンチ。破壊。両前脚の膝をおしゃかにされて立ってられず伏せてしまったところで掴んだ岩を頸椎目掛けてダンクシュー!超!エキサイティング!

 景気の良い手ごたえと共に沈黙。クエスト達成です、ってな。


 この体のTUEEEEEE!!レベル上がんねぇかな。いや冗談です。

 御主神様、ありがとうございます。一早く教祖としての活動を再開するのでお許し下さい。


 うーん、この魔物も普通だと相当強いはずなんだけど、物理レベルが高すぎてあっさり倒せてしまった。この魔物なら上級使い魔として十分なスペックなんだが、まだまだ奥がありそうだな。奥に行くほど魔力は濃くなり、強い魔物が出てくる。つまりこの魔力蜷局はもっと強い魔物が存在する可能性が高い。


 多数決の結果、全員一致で更に奥へ進むことが決定。暫く進んだのち、俺達は魔力蜷局の途中で野営をするというなかなかチャレンジャーな選択を下した。






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― 新着の感想 ―
[気になる点] 途中の砂糖も塩も・・・ですが、 塩じゃなくて油かな?
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