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懊悩 2

レオンの従者に復帰して数日

朝は早く、夜は遅くまでと仕事に打ち込む

・・・ように見せ掛けて逃げていたアラン。


仕事に取り組む姿勢は元々生真面目であったのだが

あまりの極端さにレオンから今日は休めと登城を拒否された。


初日は久々の復帰で気合いが入っているなと思っていたレオンも毎日そんな様子では言いたくもなった

何があったのかと問うても誤魔化すアラン

有能で真面目なのは良いが、付き合いの長い従者の初めて見る奇妙な様子に休み明けながら心配でもあった処置である。


アランはアランで、主である王子に女性について相談するのも・・・、と二の足を踏んでいた。



「あら? はぁいアラン、今日も良い男ね」

「クリス?」


屋敷の廊下に腕組みしているクリスが居た、ひらりと手を振るクリス。

ワーナード商会の紋章入りスーツを着ているので、今日は商人としての来訪である。


「どうしたんだ?」

「どうしたって、マロンちゃんのドレスの合わせに来たのよ、聞いてないの?」

「ドレス? 先日は買っていない筈だが・・・」

「あの時には買ってないけど、必要になると思ったから夫人にお手紙を出しておいたのよ、そうしたら早速必要だからって仕立てたドレスを合わせに来た訳」

「何故ドレスなんか」

「え、本当に聞いてないの?」

「何がだ?」

「マロンちゃんの養子先との顔合わせ、三日後よ?」

「養子、だと!?」


ギョッと驚くアラン、何で貴方が知らないのよと呆れるクリス。

アランは慌てて部屋のドアノブに手を掛けたがクリスに手首を掴まれて制止される。


「ちょっとちょっと、何故ワタシが廊下に出て待ってると思うの? ドレス用の下着とコルセットを合わせてるんだから入っちゃダメよ」

「あ」


言われてドアノブから手を離すアラン、頬が一瞬で赤く染まりそっぽを向いたのをクリスは見逃さない。


「どうしたのよ、冷静なアランらしくもない」

「いや・・・」

「いやじゃないでしょ、しかも養子の件も知らないなんて何かあったの?」

「・・・いや、別に」


顔を合わせ辛くて避けていた事など言えない

先日から母に話があると言われていたが、この事かと思い至ったアラン。


「もう分かったわ、今夜ウチの酒場に来なさい、飲みながら話しましょ」

「俺は・・・」

「うだうだ言ってないで来なさい! 完全個室だから」

「・・・」

「来いや」(極低音)



こうしてクリスに相談する事になったアランだったが

それはもう生ぬるい目で見られる事になるとは思いもしなかったのである。


渋々クリスに相談する事を決めたアラン

その理由はクリス・ワーナード伯爵は一児の父、もうすぐ二児の父となる妻帯者なので意外と頼りになるからだ。







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