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デート 9

()()()()を見てからも、アランと一緒にあっちこっちと見て回ったらいつの間にか日が暮れ始めていた。


「帰ろうか」


アランと初めてのデートはとても楽しかった

ただアンドレアス達と遭遇してから考えていた事がある。


「アラン今日はありがとう、楽しかったよ」

「俺も楽しかったよ、久しぶりにここまで遊んだな」

「久しぶり?」

「ああ、レオン様についてからそんなに暇は取らなかったからな」

「そうなんだ、そうだねいつもレオンと一緒に居たもんね」

「今回は静養期間に、ついでに休めと長めに言い渡されたからな、父にも母にも真面目なのは良いが全く休まずに従者をする必要は無いと言われたよ」

「そう言えば前にレオンが従者増やすかって、ポツリと言ってたような」

「それは・・・」


アランは苦笑した

確かに全く休んでいなかったが特に苦にした覚えはなかった、それでも主であるレオンに気を遣わせている事には申し訳なく思う。


「これからは適度に休むよ」

「アランは偶に凄く眉寄せてる時あるもんね、エマリーでさえ定期的に休んでいるのに・・・」


エリザベスの侍女エマリーも専属ではあるが人員のやり繰りをして、それなりに時間は貰っている。

アランは約10年、ほぼ休みなく従者として仕えているのだからレオンも心配になっていた。

しかも自分達が結婚するまでアランは女性を近づけないと言って引かないのだから余計に。



だからボクもこのままではいけないと思うんだ

みんな出来ることをしている、ボクは・・・



「・・・アラン、今日はね、本当にありがとう、服も、他のことも」

「ん?」

「ボク頑張るよ、少し待っててね、きっと返すから・・・」

「返すって、」


チュッ


ボクはアランの首の後ろに手を回し、体を持ち上げてキスをした。

昨日の夜、タチアナと侯爵夫人(おかあさま)の3人でデートについて色々と話している時に「どうしても御礼したいと言うのならキスのひとつでもしたらいいわ」と言われたからだ。


「なっ、マ、お・・・」

「へへへ、口と口のキスってドキドキするんだね知らなかった、ほら!」


アランの手を取ってボクの胸に当てる

凄いドキドキしてる、ほっぺとかおでこにキスはいっぱいした事あるけど口と口のキスは初めてだった、何でだろう?


「っ! 待っ・・・」

「アランは?」


アランに抱きついて胸に耳を当てると

ドッドッドッドッ・・・

同じくアランもドキドキしていた。


「アランもドキドキしてるね」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「アラン?」








「・・・ああ」


漸く絞り出した返事はたった一言でアランは固まっていた

不意をつかれてキスされた上に、胸に手を・・・

しかも抱擁も併せてだ。


アランは現在20歳に至るまで令嬢を躱し続けた

あの手この手で抱きついたり、二人きりになろうとする令嬢の猛攻を。

しかしマロンに対してガードは薄く、人化した時にも不意はつかれたが数週間経って油断していたのだった。

キスは油断、手を取られたのは素早く、抱きつこうとして来たのは一応阻止しようとしたのだが、マロンはナチュラルにガードを掻い潜ってギュッとしたのである。



「見て、夕焼けでワンピースもオレンジに染まってる!」


アランの前ではスカートの裾を持ってクルリとターンをするマロン、ふわりとスカートが広がり膝まで見えた。

貴族の感覚では足と脚を晒すのは夫だけと言われている

次から次へと食らった事の無い色仕掛け(本人はそのつもりは無い)にアランは閉口した。


夕焼けに染まる時間、アランも赤く焼けて見えた・・・






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