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勢い

アランは悩んだ、クリスを仲間に引き込めれば心強い

未だに解決の糸口が見えない王家襲撃もワーナード家の情報力が加われば捜査も進むし、事件解決に至ればエリザベスも王妃の宮から出られる。

そうなればマロンとも顔を合わせられる近道になる

エリザベスが人になったオコジョだと信じてくれるかどうかは分からないが、案外顔を合わせたら気付きそうな気もする。


アランは社交から遠ざかっていたので、切れる手札はあまり無かった。

クリスは最高の切り札だが、商会代表だけあって絶対に対価を求められそうだ、その対価が金銭で済まないと予想が立つあたりアランは二の足を踏む・・・


「ま、いいわ、ワタシの力が欲しい時は言って、いつでも貸すわよ

「・・・いいのか?」

「良いも何もそんな眉間にしわ寄せてられちゃ無理に聞かないわよ、アランのイケズ!」


ゴズンッ!!!


「ぐあっ!?」


つれない子ね、もう!とクリスは人差し指でアランの額を小突いた。

骨に響く威力があるのはいつもの事で、久々に会い油断していたアランは身構えることもなく食らって悶絶した。


「ぐ、・・・」

「さ、て、中に入りましょ!うふふ、やるわよ~、あんな極上な子なんて久しぶり、腕がなるわぁ!」


その場から動けないアランをよそにクリスは歩き出した

扉の前で止まると


「あ、そうそう、お代は勿論アランよね? まさかエスコートした女の子に払わせるなんて事はしないでしょ?

後、そこの子」

「は、はい!」

「もう帰って良いわよ、服はウチが届けるし、アランとマロンちゃんはそのあとデート、いいわね?」

「はい!」


キースを勝手に帰す指示を出したクリスは「本日貸し切り」の札を提げて、スキップで店内へと消えた。


「アラン様・・・、なんかワーナード伯爵ってすげーすね」

「ああ・・・」


——————————————————————————


サリーについて行くと、他にも店員さんが10人くらい集まって来た。


「「「「「いらっしゃいませマロン様」」」」」

「よ、よろしく・・・」


目をキラキラと輝かせている光景はどこかで見覚えがあった


「さ、マロン様、こちらで採寸させて頂きますね」


奥の方にあるカーテンで仕切られた場所に来ると、プチプチと背中のボタンを外されてワンピースを脱がされた


「「「キャー!!なんて綺麗なお肌なの!!」」」

「あ」


ボクは思い出した、これは侯爵家の侍女(みんな)と一緒の・・・


ワンピースに続いて下着やらタイツをスポンと剥き

手際良く採寸を始める店員にマロンは何をするのも諦めた

あまり着飾る事に執心しないマロンだが、下手なことを言うと「とんでもない!」と恐ろしい形相で延々と美について語られることを既に経験していたからである。




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