表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/170

デート

「お買い物?」

「はい」


朝一番のミーティングでメイリースさんに

明日ボクはおやすみで身の回り品を買いに行きなさいと言われた。


「ボクお金ないから・・・」

「夕食後にお給金を渡しますので、是非アラン様とお出掛けに」

「給金?」

「はい、初めてのお給金です」




どんな話にも裏があるもので

今回は同僚、特にマロンを日頃着せ替えをしたり自主的にお世話したりする侍女らの訴えから端を発していた。


「メイリース様!マロン様にお給金を、わたくしは耐えられません!」


侍女らは切々と訴えた

マロンの服が少ない、下着が少ない、日用品もだ

お飾りするアクセサリーも、何もかもが足りない、と。


メイベル侯爵家に来た当初に侍女達からマロンへ譲られた衣類

ワンピース2着、ブラウス1着、スカート2着

下着が上下4セット、ソックス6足、タイツ3足、靴が2足

そして黒と白のネグリジェが2着とショッキングピンクのスケスケなベビードールが1着である。


全て春物で冬物はない、日中は侍女服で過ごしているとは言え、年頃の女の子としては不足も不足。


ある夜、マロンに宛てがわれた部屋で女子会ならぬ侍女会を開くことになったのだが

皆、厚手のネグリジェにカーディガンを羽織った格好に対してマロンはシーツにくるまっていた。


どうしたのかと問う侍女に「服が無いから」と、シーツの隙間から覗かせる胸元はスケスケのベビードール。


鼻血を流す侍女が1人、お似合いですねと褒める侍女が1人

誰が渡したんだと怒る侍女が1人

サッと部屋を見回して殺風景過ぎる部屋に涙する侍女が数人と、混沌とした場になった。

いつもなら当たりの強いレナでさえも

次の日にヘアブラシと髪紐、部屋着で使う上掛けを譲るくらいである。



ということで、マロンは休日と給金を貰い買い物に行く事となった。

1人で行かせるのは流石に不安、屋敷で働き始めてからはあまり話せていないからと誰ともなく気を利かせてマロンとアランは出掛けるはこびとなった。



——————————————————————————


「妖精ですわ・・・」

「ええ、」


ふう、とやりきった表情を浮かべる侍女に

ほう、とうっとりマロンに見蕩れる侍女


ワンピースを着たボクは侍女(みんな)に着飾られた

デートにオシャレは必須と凄い勢いで口を挟めない

タチアナが譲ってくれたのは真っ白なシルク製で

繊細な刺繍とレースが使用された肌触りのいいワンピース。

5年前、タチアナが10歳くらいの時に着ていたもので

襟は広めに開いていて、スカートの丈も短め

年齢的に露出が多いからとクローゼットの肥やしになっているからあげるわ、とのことだ。


「いってきまーす!」


小さな桃色の茶巾に給金を入れてボクは外へと急いだ

準備に結構時間が掛かっていて、先にアランは外の馬車の所で待っている。


みんなに「いってらっしゃい」「いってらっしゃいませ」と言われて外へと向かった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ