報告
「・・・という訳で、マロンを保護しました」
「そうか、アランご苦労だったな」
「・・・・・・・・・・・・・・・ええ」
レオンに昨夜得た情報について全て報告を挙げた
勿論、マロンとの不本意な誤解のあれこれは除いて
レオンは「動物が人になる」という有り得ない奇跡も素直に受け入れた。
自身の片腕アランを信頼している
そんな嘘を言う人間では無いと知っていたし、王家のとある文献の中に似通った存在が示唆されていたからである。
その名は「賢獣」または「神獣」と呼称されていた。
「エリザベス様にマロンの事は・・・」
「現状では言わない、いや伝えられないといったところか」
「言わないのですか? あれだけ慈しんでいたので心配していると思うのですが」
マロンの事をエリザベスに伝えない
レオンの判断にアランは疑問を持った、レオンも知っている筈だエリザベスとマロンの仲はとても良いのだから。
「・・・・・・・・・、会えないんだ」
「? 王妃様の宮に居られるのでは?」
レオンは苦笑しながら答えた
エリザベスが狙われた事を考え、昨夜の内にレオンは母である王妃にエリザベスの保護を申し出ている。
王妃の宮へ出入り出来る人間は基本国王のみであるが、レオンも出入りして問題無いはずである。
「昨夜、母上に保護をお願いしたんだが、」
レオン、この件については解決するまでエリザベスちゃんは私の元に置くわ
そう言って、宮に篭ってしまった
ついでとばかりに王太子の婚約者である姫も連れて・・・
王妃教育もあるし丁度良かったわ、エリザベスちゃんには話し相手になってもらいます。
義理の娘同士仲良くして欲しいし
王妃はそんな事を言いながらニコニコと立ち去ろうとする
レオンが慌てて止めようとするも、
「いいこと? 今回襲われたのは王家の馬車で、エリザベスちゃんはただ乗り合わせていただけ」
「!」
王妃の言葉に固まるレオン
捕らえた賊らの尋問の情報については未だ確認していなかったが、既に王妃の耳には届いているようだ。
素直にエリザベスが狙われたと告げれば、余計な不安を与える事になる
エリザベスを怯えさせるのはレオンも本意ではない
ならばレオンが狙われた事にした方が精神的に良いだろう。
レオンが狙われたと伝えてもエリザベスは不安がるが、そこは婚約者の腕の見せ所だった。




