オコジョ episode 2
ある日出会った、神肉に。
エリザベスの誕生会の日だった
対外的に客を呼んで行われた誕生会とは別に、身内のみの誕生会が公爵邸では開かれる
エリザベス(オコジョ)の誕生会である。
公爵、夫人、エリザベスの三人が参加
主催はエリザベスでオコジョとの出会いを祝うものだ
正確な誕生日が分からないのでエリザベスの誕生日の次の日と決められたのだった。
オコジョの食事は基本的に肉
日頃口にする肉でさえ公爵家で取り扱う肉だ、とても美味しい。
それでも誕生会のメインディッシュは別格の物が用意された
骨付きリブ
レア派のマロンに合わせた絶妙の焼き加減のそれは
最後の晩餐に何を食べると問われれば考える余地の無い至高の肉である。
ガツガツ・・・
バキッ、バキッ!
普段は行儀良く食すマロンでさえ、食欲という名の野性に取りつかれ一心に貪った
明日死んでもいい、そんなふうに思える程のご馳走
「もっと食べる?」
食べるーー!!
野良オコジョ時代は特に飢えとの闘いで、マロンは知っている
食べられる時に存分に食べる!
「ふふ、ケーキもあるよ」
食べるーー!!!
誕生会という名目だ、無論ケーキもあった
甘いものは別腹
生クリームたっぷりのケーキも限界まで胃に詰め込んだオコジョは誓った。
公爵家に絶対の忠誠(餌)を・・・
尚、後日ポッテリと太ったオコジョは
お腹を床に引き摺ってそこだけ毛が薄くなった
お腹を禿げさせたマロンはとても不格好
エリザベスはケラケラ笑ったが
丸いマロンも可愛いと気にしなかった
逆にマロンは慌てた、太るのはいい、いやダメだけどまだいい
でも、お腹を引きずって禿げたのだけは許せなかった
エリザベス付きの侍女エマリーに至っては、肩を震わせて後ろを向いてピクピクしていたのだから
飼い主の欲目に甘えていてはダメだと我に返ったのだった。
そして・・・
中庭にある噴水にて
必至に泳いでダイエットに励むオコジョが居たのは、また別の話である。




