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クロード 4

「ところで君は随分力持ちのようだが、それはクスリの力かい?」

「勿論だとも、これまで実験に使用した()()()()効能に留まらない、私の完成品だ!」


一時的?

これまでの実験?

という事は、リオンやその他の被害者達が戻る可能性があるのか。

王太子様はそれを聞いて見るからに安心していた


「これまではドラゴンだったけど、今回は何を使ったのかな」


まあ気になるよな、答えはわかりきっているけど。

玉座を前にして既に手に入れた気分なのか、アイツは答えた。


「なんだったか、リオンと戦った娘の血だ」

「マローネ嬢の?」

「ああ、そんな名だったかな、彼女は使徒なのだろう? 人の身ながら恐ろしい身体能力、流石に力を手に入れられるとしてもトカゲや獣になどなりたくないからな」


「ん?」

「え?」

「あ・・・」


その言葉に王太子様は固まり、王太子様の隣に控えていた壮年の宰相もピクリと反応した。

俺とレオンも顔を見合わせる、もしかして・・・


「もうひとついいかな、使徒とは何かな」


使徒

男が説明したのは帝国に伝わる伝承らしい

神の遣わした人ならぬ人、まあ簡単に言えばチート持ちの転生者のような存在だ。

男がこれまでベースにしていたのは動物化をする人間の血液

これで動物化して力を得られるのなら、その人ベースの超人の血を使えば、人のまま力を得られるという結論らしい。

だからリオンと戦うマロンを見て血を盗る事にしたのだとか、マロン自身のことはあの男爵令嬢から聞いていて、リオンを生身で相手取る化け物より、血判から血を採った方が安全だからと判断した。



だけど、その仮説は間違っている

だってマロンは・・・


「ふ、ふふふ・・・」


王太子様が不意に笑いだした

隣の宰相も情報を共有しているのか、察しているようで肩が震えている。

俺も大体想像出来たし、レオンも同じ考えになったのか冷静になったみたいだ。


「何がおかしい」

「いや、何でもないよ、ふふ、ああ最後に言いたいことはあるかな」

「最期、だと・・・、うっ、」


そしてその時は来た、男は苦しみだした

捕まっていた騎士はその隙に逃れる。


「なんだこれは、私の身体が、何が起こったんだ!」


指先、顔と露出している肌に毛が生えてきた

黒い髪の毛に()()が混じる。

うわ、こうしてみると人が変化するのって絵面がヤバイ、周囲に構えていた騎士も驚愕の顔をしていた。



「ギウッ!!?」


服は足下に全て脱げ落ち、そこには黒い毛と栗色の毛が斑に混じり合った汚い柄のオコジョが居た。

ですよねー、だってマロンはオコジョの獣人だ

人型超人じゃなくて、オコジョ型超人

トカゲ型の血を使って恐竜化させたなら、オコジョ型の血を使えばそうなるわ。

そして、あの男は言っていた完成品だとクスリの効果が切れても戻らない。

なんとも馬鹿らしい幕引きだけど取り敢えず脅威は去ったってことで良いのかな?


と、汚いオコジョが自身の変化に固まっている所へレオンが駆け出した。

俺もその意図に気付き続く


「よし!」

「ギヒッ!?」


レオンがガッチリとオコジョの首根っこを捕まえると持ち上げる。


「レオン?」

「はは、兄上、知らないでしょう!」

「ん?」

「オコジョは意外と素早く、捕まえるのに苦労するんですよ!」


レオンは自慢気に王太子様に言った、そうだよな俺も黒猫時代にマロンと鬼ごっこしたりしたけど

猫の瞬発力と互角だし、なんなら爪はとても強いから壁も登っていくし、顎は骨付き肉を砕くくらいの恵まれた身体能力を持っている。

実際逃げられたら大変なことになるだろう、見た目はオコジョでもマロンのように中身は人間だ、器用にクスリを再生産される恐れもあった。

汚いオコジョはハッとしたがもう遅い

短足をジタバタさせるがレオンの手に届かないし、クネクネと暴れてもどうにもならなかった。


「ああ・・・、流石にそれは知らなかったよ」


王太子様は肩の力を抜くと先程敵に見せていた胡散臭い笑顔ではなく、弟に柔らかい笑顔を向けた。






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