退治
いっぱい殴っていたらやっと大人しくなった、まいったか!
暴れてる様子もないしボクの勝ちだ、トカゲリオンめ!
よし戻ろう、えっと、・・・・・・・・・オコジョになーれ、オコジョになーれ、むむむむうー。
ボクは念じるとオコジョになれた
もうこんなネチョネチョはイヤだ、さっさと出ようとしたらネチョネチョに浮く赤い玉があった。
あれ、これって学校の大講堂でエリーをいじめた奴にお腹パンチしたら吐き出したもの?
とっても似ているから持って行こうかな
欠片でもアランがお手柄だって褒めてくれたから、こんなに大きいの持っていったら凄いよね?
玉を持って元来た道を戻る
狭い所もあったけどスマートなボクには関係ない
ちょっと歩きにくいけど、なんか咥えるのはイヤだ。
「キッ!?」
あっ、閉じてる
服も無くなっちゃってるし、どうしよう・・・
ううう。
ボクが困っているとそよそよと新鮮な空気を感じた、もしかして!
ぐるりと歯の周りを辿っていくと1箇所だけ欠けていた、そう言えば殴ったら結構脆かったね。
最初食べられた時も中から歯殴れば良かったかも・・・
もう二度とお腹には入らないけど。
歯の隙間を通って外へ出る
ふー、中は生温いし生臭いしネチョネチョでヌメヌメしてるし気持ち悪かったよ。
「キウッ!」
どう!? おっきい玉取れたよ!
赤い玉を持ち上げた、でも周りはみんな静かになっていた。
あれ? アランは?
ぐるりと周囲を見渡すと盾を持った騎士さんの後ろにアランは居た、鎧がドロドロで手がプラプラしている。
「キウッ!?」アラン!?
こんな玉なんてどうでもいい
ボクは放り投げるとアランに向かって走った。
「あっ!結晶は被害者の治療に必要な物だ、受け止めろ!」
「ぉ?」
「おおっ」
「良し!届いた」ねちょ
「うえっ・・・」
「うわ・・・」
後ろで何か聞こえたけど関係ない、アラン!
ボクが近くに走り寄るとアランはホッとした顔になって地面に座り込んだ。
「キキッ」アラン大丈夫?
「ああ、大丈夫、大丈夫だよマロン・・・」
本当に?
手がぶらぶらして顔色も悪いよ?
「コレは、慣れないことをするもんじゃないな・・・、マロンこそ無事で良かった」
うん、ボク頑張ったよ。
ボクが頷くとアランは左手でハンカチを取り出してゴシゴシと顔を拭いてくれた、ありがとう。
「副隊長、後は頼みます」
「了解した、アラン殿は治療を、貴方が1番大怪我だ」
「はい」
「急げ!時間との勝負だ、ありったけの鎖と縄、鉄丸を持ってくるんだ! 工作部隊に杭を持ってこさせろ!」
副隊長さんはアランと話し終わるとほかの騎士さん達に指示を出し始めた。
ボクは終わったんだと安心すると突然眠気が襲って来た
身体もなんか重いし、瞼も開けてられない。
おやすみぃアラン・・・
「マロン?」
アランの呼ぶ声、遠くからはクロスケが走って来る音も聞こえる。
ボクはそのまま眠りについた、くう・・・。




