決戦 1
エリーと一緒に王妃様の宮に住んで数日
ボクはエリーと同じ部屋で過ごしていた。
公爵家の部屋ではないけど、一緒に寝て、一緒にご飯を食べて、屋敷を出てからの話を沢山した。
アランがすぐに迎えに来てくれた事、とても嬉しかった
侯爵家で普通の人の生活をした事、友達も出来た
アランとデートした事、クリスと仲良くなった
先生がママになった事、ピリっとした先生が本当は優しかった。
エマリーに話をすると最初は驚いて信じられないと言っていたけど、オコジョしか知り得ないエリーのプライベートな話やエマリーの事を言うと信じてくれた。
公爵に話す時もオコジョしか知らない事を言えばボクがオコジョだったって事を信じてくれる筈だ。
公爵は秘密がいっぱいある、ボクは知ってるんだ!
「おはよ、マロン」
「おはよう、エリー」
いつかの、いつもの朝と同じ
おはようのキスをして、ご飯を食べて、ゆっくり紅茶を飲む。
「本日はとても天気が良いですね、王妃様から庭園での茶会のお誘いが来ておりますよ」
エマリーが窓を開けた時だった
・・・・・・・・・・・・ォォン
空気が震えた気がした
ボクはテラスに出ると耳を澄ます
「マロン?」
「・・・エリー、王妃様の所に行って」
「え?」
「多分、来た」
「来た? 何が? どうして分かるの?」
「トカゲ、多分、勘だけど」
ボクが言うとエマリーが部屋の前に居る騎士に話をした
ガチャガチャと駆けていく音が聞こえる。
王妃様の宮自体、堅固に作られているから此処に大切な人が集まっている。
特に王妃様の部屋へと続く通路と階段の一部は狭く
万が一あのトカゲが来て騎士が負けても辿り着けないからこそ遠くに避難ではなく、この宮に留まっているとか。
「レナ、クリスから貰ったアレ出して」
ボクはクリスから届けられた女性用戦闘服を着ることにした。
何となくだけど城の方が危ない気がする
城にはアランとクロスケ、レオンも居るから大丈夫かな?
***
4階、この階層は王妃様専用の階層だ
いざと言う時には三重の鉄扉が閉じられる
食糧も大量に保管されていて、最大1ヶ月は補給無しで生活出来るらしい。
昔の王妃様が夫婦喧嘩した時に王様の顔を見たくないからと改造したとか。
「王妃様、少し大袈裟では?」
ボクの話を聞いた王妃様が指揮を執った
宮の出入口は閉じられボク達は4階に全員集まった。
1人につき2人の騎士が付けられていたけど、部屋の前に2人と階段前に2人を配置、残りの4人は宮の警備に回された。
「そんな事はないわ、人の移動と戸締りをしただけなんて大した事じゃないのよ、それに私は勘というものは馬鹿にできないと思うの、特に女の勘はね」
王妃様はそう言うとボクの頭を撫でた
ボクはレナの手を借りてクリスから届けられた服を着ていた。
ドレスは真っ黒で独特の編み目模様の生地だ
とても丈夫な素材らしくて、かあぼんというクリス開発の新素材。
ドレスの上には、これもまたクリス開発のちたん合金という硬い金属で出来た胸当てや小手を着けている。
ちたんは青みの強い虹色に光っていた
ドレスと防具なのに重さは全然感じないし
立体裁断という技術で動きを邪魔しないように作られているとクリスからの手紙には書いてあった。
「王妃様!アレを」
侍女の1人がお城の方を指さした
お城からは赤い煙が上がっていた。
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