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王妃の宮 4

騎士は負けた

手も足も出ないままに負けた

けしかけた王妃が同情する程に徹底的に負けた


マロンに手心は無い、寧ろ大好きなエリザベスの傍に立つ手段なのだから勝つ事は至上命題とも言えた。


一応、剣は使っていないという言い訳は立つものの

素手であろうが何であろうが、そもそもマロンを捉えられないのだから剣を持っても変わらないだろう・・・


「くっ!」

「わ、っと」


騎士はとっくに手加減などしていない

思い切り拳を振っても当たらないと気付いたのは随分前のことである。

繰り返された光景、軽やかに躱したマロンはふわりとドレスをたなびかせバルコニーの手摺り上に着地するつもりで軽くジャンプした。


「あ」

「え」

「ちょっ」

「っ!?」


「わー」


この王妃の宮のバルコニー、伯爵家のバルコニーより若干低い。

いつもの感覚でバックジャンプしたマロンは、ひゅーんと手摺りを飛び越えて落ちていった。

皆一様に口を開け放心した


「マロンっ!?」


エリザベスは慌てて立ち上がる

テーブルに膝をぶつけて音を立ててしまう程に動揺していた。


「なに?」

「「「ええっ!?」」」


ぴょーんと下から戻るマロン


「マロン大丈夫? 怪我は!?」

「大丈夫だよ、ちゃんと着地したから」

「着地って、そんな高さじゃ・・・」

「えへへ、間違って落ちちゃった」

「・・・」


落ちちゃったって、そんな階段2、3段軽く踏み外したみたいにと絶句するエリザベス。


「キャー!凄いわマロンちゃん!」

「むぎゅ」

パチパチパチ


王妃様が突然抱き着いてきた

エリーの後ろからは王太子妃さんが拍手していた。



***



王妃は考えた


予想外に騎士が相手にならない・・・

違うわね、マロンちゃんが予想外に強過ぎるわ

うーん、この空気どうしましょう

このままだと弱いものいじめしたみたいで嫌だわ。


けしかけたのは王妃なので責任をもってこの場を収めるべきであった。

のんきに考えていた所、マロンが落下していった。


ここだわ!

マロンちゃんが落ちて、え、落ちた? え? 大丈夫よね?

あ、大丈夫そう、おかしいわこの子どうなっているの?

じゃなくて!


王妃はチラリと侍女に目配せする

侍女は小さくため息を吐くと、仕方なさそうに動いた


「キャー!凄いわマロンちゃん!」


王妃がマロンに抱き着いたと同時

侍女は騎士にお疲れ様でした持ち場に戻って下さいと言って部屋からさっさと追い出した。

負けまくった騎士の面子を有耶無耶にしたのである。

まあ、騎士自身は茫然自失の体でトボトボと出て行ったので副騎士団長に言ってアフターケアをすれば良い、筈。

騎士ロレンスは王妃付きの侍女にも上から目線で「守ってやってる」感を出していたので、寧ろいい薬だとも思われた。


尚、この事を聞いた騎士団幹部と息子

特に王太子にはネチネチと説教をされて落ち込む王妃がいたとか・・・






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