表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
113/170

乙女の秘密 EX

「ん・・・」


朝方、まだ日はのぼりきっていない時刻

胸元にごそごそと擦り寄るマロン

何度か一緒に寝たことで慣れてきたのか最近ではイリアに甘えるようにピタリと抱きつくようになっていた。


可愛らしい娘の行動を愛しく思うイリアは優しく抱きしめた。

ふわりと柔らかい毛の感触と長細い形に、おや? と目を開ける。



「キウ・・・、キウ・・・、スピッ・・・」

「・・・」


目の前には栗色の美しい毛並みの、公爵家で家庭教師をしていた時によく見た姿が・・・


「いやだ、寝ぼけているわね・・・」


ほわほわと温かく細長い娘を構わず抱きしめるとイリアはまだ起きるには早いと寝直した。

公爵家の家庭教師時代、エリザベスの部屋で毎度見たマロンの姿を娘になってから夢で見るなんておかしな夢ね、と微睡みに身を任せた。







朝日がカーテンの隙間から差し込み、ゆっくりと起き上がるイリア

隣にはまだ夢の中にいるマロンがすぅすぅと寝息をたてていた。

穏やかな寝顔をずっと眺めていたい気もするが


「マロン」

「んー・・・」


イリアに起こされたマロンは上半身を起こして目を擦りながら周囲を見渡す


「・・・」


ポケーっとするマロンをイリアは微笑ましく思いながら

優しく頭にキスをする


「おはようマロン」

「おはよお、せんせー」


マロンもイリアのほっぺにおはようのキスを返す

イリアはマロンの頭を無言で撫でてから、化粧台の前へと座らせヘアブラシで髪を梳かす。

さすがに着替え迄は手を出さなかったが、朝いちマロンの髪を梳かして寝癖を直すのはイリアの役割になっていた。




着替えは侍女の手を借り、モーニングティーを飲み干す頃にはマロンも意識がハッキリしてくる。

そうして伯爵家の一日は始まるのだった







ホランドがイリアとマロンを迎えに来て一緒に食堂へと移動していく。

そして入れ違いに寝室のベッドメークが始まるのだが

イリアとマロンが寝ていたベッドのシーツには数本の栗色の短い毛が落ちている事には誰も気が付かなかった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 結婚式の夜、緊張したアランが寝室へ行くと 「キウ・・・、キウ・・・、スピッ・・・」 「・・・」
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ