伯爵と伯爵夫人 2
先生はずっと手を引いて屋敷の中を案内してくれた
図書室、応接室、客間、執務室、キッチン、食堂にボクの部屋
「さあ、ここがマロンのお部屋よ」
部屋には侯爵家から移動した物が荷解きされていた
ソファーには真新しいクッションと一緒にボクのクッションが、テーブルにもエリーから貰った赤い首輪が置いてあった。
淡いピンク色の壁紙、ピカピカのデスク
可愛い花瓶に生花、真っ白なレースカーテン
衣装室には侯爵家で貰った服の他にも沢山のドレス、スカート。
天蓋付きのベッドはエリーと眠ったベッドにとても似ていた。
先生はボクの部屋の紹介もそこそこに手を引く
隣りは先生の、その向かいはホランドさんの部屋らしい。
「ひと通りは見たかしら、私の部屋でお茶にしましょうか」
「そうだね」
「うん」
先生の部屋で丸いテーブルを囲む
侍女さんがティーセットを準備して来る
「下がっていいわ、私が淹れるから」
「え、・・・あっ、はい、かしこまりました」
侍女さんは先生に言われると意外そうな顔をしたけど
すぐに何か察したようにボクを見て笑顔で下がっていった
「先生がお茶淹れるの?」
「ええ」
「久しぶりだなぁ、イリア手ずからなんて何時ぶりだろう?」
「ふふふ、さあ何時ぶりでしょうね」
コポコポとお湯を注ぎ始めた先生はとても上機嫌だった
1杯飲み終わってボクがお返しに淹れたらホランドさんは驚いていたけど、そうかそうかとボクを撫でて飲んでいた。
先生とホランドさんの3人で沢山話した
ボクのこと、先生のこと、ホランドさんのこと。
お昼、軽食のサンドウィッチが運び込まれてくるといつの間にかボクはホランドさんの膝の上に居て・・・
「はい、あーん」
「先生、ボク普通に食べられるよ? 」
「良いから、ね? マロン」
「あむあむ・・・」
先生は本当にニコニコとしてボクに食べさせてくれたり
「今だけだから付き合ってくれないかなマロン」
と、ホランドさんもニコニコとボクを撫でていた
やっぱりお返しに先生にもホランドさんにもあーんを返すと2人とも笑顔になった。
なんかとてもむず痒くて落ち着かないけど、サンドウィッチは美味しかった。
ボクに両親という存在が居たらこんな感じだったのかな?
あ、そう言えばお兄さんはどうなんだろう・・・




