〜STORY 83 6月3日 弐〜
『……すか!?…………大丈夫ですか!?』
「ん…んぅ………」
耳元に問いかける声が遠くから聞こえたのに気が付いた私は徐々に意識を覚醒させる
ぼやけていてはっきりとしていなかった視界が徐々にクリアになっていく
「あっ!気が付きました!?よかった〜〜!!」
私の目の前にいた男の子は顔を近づけ私の意識があることを確認し安堵したのかその場にフラフラとへたり込んだ
よく見ると男の子の顔や腕には無数の痣を形成していた
「あの……その痣は……?」
「あっ、これですか?実はさっき階段から落ちちゃって……あはは〜」
男の子は頬っぺたに出来た痣を指差すと明らかにわざとらしく笑った
私は周囲を見回すと周辺には人だかりが出来ており、すぐ近くからは警察が来たのであろうパトカーのサイレンが鳴り響いていた
「(服…意識が途切れる前の破れた状態じゃないし明らかにこのワイシャツは私のじゃないわよね……)」
私の学校の制服やスカートなどのものは全て学校の校章が刺繍しているので私の物ではないということは簡単に分かった
それに男の子は制服を着ているようなのだがワイシャツを着ておらず肌がさらけでていたのだからこの男の子の物だって判断できた
「そっか…やっぱりあれは夢じゃなかったんだね……君が助けてくれたの?」
男の子を覗き込み真相を聞こうとすると男の子は最初は誤魔化そうと作り笑いを浮かべたのだが次第に少し沈んだ表情に変わった
「助けた…とは言えないですよ。僕はただあなたをあの人から引き剥がそうとして結局助けを呼ぶだけで精一杯でしたから……」
「でもそれでもあなたは私を助けてくれたのは事実よ?」
「ひたすら殴られただけですよ……」
男の子は肩をふるふると震えさせていた
助けようと立ち向かったのに結果自分では何もできなかったことが腹正しいのだろうか
男として悔しいのだろうか
でも……その時の私はそんな男の子がとってもかっこ良く映ったの
口だけは達者だったり表面上は親切そうにしても見ず知らずの人に救いの手を差し伸べ赤の他人の為に一生懸命になれる人はそうはいない
「ありがとう……助けてくれて本当にありがとうね」
私は男の子の前でしゃがみ込み手を取って感謝の礼を述べる
震えが収まり男の子は顔を上げると、頬を少し赤く染め照れながらぎこちない笑顔を作った
先程見せた作り笑いなんかよりもとっても素敵な笑顔を…
「(この子…なのかもしれないな……)」
私は密かにある決意をしたのだった
今はまだこの男の子の事をほとんど知らない
助けてもらった事以外では彼との繋がりすらない
それでも私のとってはその繋がりだけでも充分だと勝手に解釈をしてしまった
「あの…お礼をしたいからその……連絡先交換しない?」
これがまず私の第一歩
私の大好きな優希君への最初の勇気
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では次回もお楽しみに!!




