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〜STORY 57 5月10日  〜

5月中旬

春らしい穏やかな気候がある中で少しずつ雨が増え次第に梅雨へと近づいている

優希達は高校2年生となって1ヶ月が経過していた

窓際に座る優希はザーザーと降っている雨をぼーっと眺めていた


「ずっと雨を眺めているけどどうかしたの優希?」


後ろの席に座る璃玖は読んでいた小説をバックに戻し優希の背中をツンツンと突き訪ねた


「ん〜?特にないよ〜?」


視線を外に向けたまま答える

心ここに在らず

今の優希にはその言葉がとてもよく似合っていた


「あまり黒くなった空を見ないほうがいいですわよ優希様(あるじさま)?」


横から現れたの晴菜は制服であるブレザーではなく白のカーディガンを着ていた

晴菜のチャームポイントである銀色に輝く髪によく似合っている

この時期の女子は色々な制服の着こなし方をするのでとても新鮮であった

……男子がワンパターンになってしまうのはその人のセンスが原因かもしれないが


「確かに黒い空を見ると心も黒くなっちゃうもんね〜。」


優希は外を見るのをやめ窓を閉めて机に突っ伏してしまう

いい角度が決まらないのかゴロゴロと位置をずらしていき


「…………【ジーッ】」


「あ、あまりジッと(わたくし)を見ないでくださいませんか優希様(あるじさま)?」


次第に視線が晴菜に向けられると照れてしまった晴菜は頬を赤く染めた


「ん〜?だって暗い空なんか見たってつまらないしそれよりも美人な晴菜さんをずっと見てる方がいい気持ちになるじゃないか」


「もう…褒めても何も出ませんよ?」


晴菜はそっぽを向いてしまったがその表情は決して嫌がってはいなかった

寧ろ心底嬉しそうなのは璃玖にしか見えていない


「…………【ムスッ】」


そんな嬉しそうな顔をしている晴菜を見て璃玖の表情が曇った

優希がボーッとしているから出た言葉なのは璃玖も理解している

これはただ単に自分のヤキモチだという事も……


「………ん〜?どうかしたの璃玖〜」


「!?い、いや、なんでもないよ優希……!」


いつの間にか優希は後ろの席である璃玖の方を向いていた

それだけでも驚きだったのだがその優希の顔が璃玖の顔とあと数センチでくっつくほどの至近距離だった事だ


「あはは〜璃玖ったら顔真っ赤にしてどうしたのさ〜。まるでトマトみたいだよ〜?」


優希は璃玖の頭にポンっと手を乗せるとそのままスリスリと撫でてくる


「あ、ははは…そんなに赤いかな〜(し、心臓に悪すぎる〜!!)」


照れている璃玖が珍しいのか璃玖のファンの生徒達が黄色い声をあげるのだが今の璃玖にそれを機にする余裕はまるでなかった


「…………【スッ】」


その光景を見ていた晴菜は嫉妬心よりも優希に撫でてもらいたい気持ちが上回ると

優希と璃玖の間に入るように頭を机に乗せた


「あ〜、晴菜さんも眠たくなっちゃったの〜?ヨシヨシ〜♪【なでなで】」


なるべく撫でてもらえるようにと寝顔を作ってから実行したことが功を奏し結果として晴菜の希望通りになった


「(あぁ…優希様……これぞ天国!これこそまさに天へと昇る気分ですわ!!)」


「ちょっと!なに僕の領域に勝手に入って来ているのさ!ここは僕と優希だけの領域だよ?【ヒソヒソ】」


自身と優希との間に入られたことに頬を膨らませて怒った璃玖は優希から見えない角度から晴菜の頭を突くように攻撃する


優希様(あるじさま)がいる場所が(わたくし)のいる場所ですわ?そうでなければ踏み入れたりなど致しませんことですの【ヒソヒソ】」


反撃するかのように晴菜は璃玖の足を蹴って応戦する

優希の聞こえず見えない程の決闘が繰り広げられていた

その優希も頭を上下にし船を漕いでいて今にも寝てしまいそうだ


「「…………【ゴクリ】」」


二人は喉を鳴らすと決闘をやめお互いを見る

おそらく考えていることは同じなのだろう


「(ここは休戦と致しましょうか)」


「(もちろん。今すべきことがあるからね)」


二人はゆっくり頭を降ろし頷くと自身の携帯やカメラを取り出し共同撮影会を始めた

その光景を担任の寺田はただ眺めて流ことしか出来なかった



読んでいただき誠にありがとうございました!


もし良かったら高評価、ブックマーク頂けたら幸いです!


あと感想や作品についての意見など頂けたら作品力向上に繋がるので是非お願いします!!


では次回もお楽しみに!!

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