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〜STORY 35 4月16日 弐 〜

手を繋いだまま二人は陽子の待つ場所へと向かうのだが、当然道中にも同じ様にお花見をしている人たちが大勢いる

その中で葵は何度も酔ったおじさんやナンパしてくる人から絡まれてしまいイライラを募らせていた


「(もぅ!折角優君と手を繋げている幸福に浸っているのにおっさん達のせいで気分が半減しちゃうじゃない!!これだから優君以外は嫌なのよ!!)」


「あの……ごめんなさい葵さん。おじさん達に絡まれている時に助けれなくて……」


すると葵の後ろにいた優希が申し訳なさそうに謝ってきた

本人からしたら女性を守れなかったという自責の念が湧き上がっている様だ


「ううん、優君は何も気にしなくていいの。それに私の方こそごめんなさい。でも私は優君がいてくれるおかげで私は何も怖くないから!!」


落ち込む優希を葵は励ます様に優希の頭を撫でる

すると優希は落ち込んだ表情からパァッと笑顔に変わった


「(あぁ……可愛い。私がず〜っと優君を守ってあげるからね!!)」


葵の気分もまた上昇したが、オーバーヒート寸前であった


「それじゃ、行きましょうか!!」


「はい!!」


気分が高揚し、周囲の視線など御構い無しにスキップをする葵とそれについていく優希

話しかけようとする男達を優希に見せない様一瞬だけ鋭くさせ瞬時に笑顔に戻すのを何十回も繰り返した


「あ、来た来た!お〜い!葵〜!!」


河川敷の道を歩いて数分下あたりで葵たちに気づいた陽子がこちらに手を部分と振っている


「あっ、もしかしてあの人が葵さんのお友達の方ですか?お綺麗な人ですね〜」


優希は初めて会った陽子に興味がある様だ

当然面白くは無い葵は表面は平静を保ってるように取り繕っているが内心は苛立ちを見せ始めている

肩に抱えているバックを握る力が強くなり、離すとシワシワとなっていた


「君が葵が家庭教師やってる優希君だね?私は葵と同じ大学に通ってる入澤陽子って言うの。よろしくね!」


「初めまして!葵さん家の近所に住んでます北条優希と言います!こちらこそよろしくお願いします!」


陽子が軽く手を差し出すと優希は両手で陽子の手を握りギュッと手を握る


「(わぁ〜少し歳下なのにすごい礼儀正しいし、笑顔も可愛いなぁ〜。確かに葵がこの子に固執するのも分かるかも…と言うよりめっちゃ好みな子だなぁ……)」


「…………」


「はっ!!?」


後方から冷たい視線を感じた陽子は恐る恐る後ろを振り返るとそこには腕を組み、光を失った冷たい目で陽子を見下ろす葵が立っていた

すぐさま手を離し、苦笑いをするがそれでも葵の目は全く変わらず陽子の全身から冷や汗が吹き出してきた


「葵さん?どうかしましたか?」


「うぅん!なんでも無いの!」


葵と陽子が見つめ合っている(優希からはそう見える)事を不思議に思い、尋ねると葵は優希にヒラヒラと笑顔で手を振って答えた

陽子から優希へ視線を変える瞬間わずか1秒足らずで目に光が灯る所を目撃し、陽子は葵の優希への愛の深さを改めて知った


「それじゃあお花見始めましょうか。優君、先に座って?」


「あ、ありがとうございます!」


ニコニコと楽しそうに話してる二人はとても楽しそうにしてる

そんな二人を見て陽子も話に交わりながら花見を始めた

…ただ陽子は気づかなかったが葵は時折陽子に冷たい視線を送っているが一瞬のため分からないのも無理はない


「ん!この唐揚げとっても美味しいです!!」


一口サイズに作られた唐揚げは口に運ぶ際に漂う生姜とニンニクの香りが食欲を増進させ、醤油と肉本来の味旨味がぴったり合ってとても美味い


「ほんと!?よかった〜!!」


アスパラベーコンや肉巻きおにぎり、少し甘めの卵焼きなど、どれを食べても絶品で優希の箸が止まることがないほど夢中になっていた


葵は自分の料理をたくさん褒めて貰ったことで朝早起きして作ったかいがあったと涙ぐみながら喜んだ

そして、欲を言えば少し前に妄想していたことも出来ればと欲張りたいが横には友達の陽子がいて正直出来ないでいた


葵は手元に携帯を忍ばせて素早く陽子にメールをしてすぐにバックへと戻した

メール着信の振動に気づき手に取る陽子


「『優君と二人っきりになりたいの』」


送られてきたメッセージを見た陽子はすぐさまバックを手にする

横にいる葵からの眼で訴える圧力に耐え切れないからだ


「ご、ごめんね〜二人とも。私ちょっと教授に呼ばれちゃったから先に帰るね。葵、シートの片付けとかお願いしても平気?」


「分かったわ。今日はありがとね陽子!(早く二人っきりにさせて頂戴)」


手をついて感謝の言葉を述べる葵だが陽子からは裏の声も聞こえたようでそそくさとその場から離れていった


「あ〜怖かった。葵ったら普段は優しくて可愛いけどあの優希って子が絡むと途端に豹変しちゃうのよね〜。……まっ、いっか!今度の合コン楽しみだなぁ〜!」


離れた場所で陽子は一人ブツブツ言った後、出店に赴き磨り減った神経の補給の為に大量に買い食いした


一方二人きりになったは良いが陽子がいて良い具合に緊張がほぐれていたらしくそれでいて平静を保っていたようだがその陽子がいなくなってしまった今、途端にぎこちなくなってしまった葵


「はい、葵さん!あ〜ん」


「ふえ!?」


突如目の前で食べていた優希が目の前まで近づき葵に唐揚げを差し出していた

突然のアーンに驚きを隠せず間抜けな声をあげた葵に対し優希は


「陽子さんがいなくなって寂しいかもしれませんが気にしてもしょうがないですよ!二人で楽しみましょうよ!!」


と言っているが少し恥ずかしいのか首元が赤く染まっていた

カッコつけたいけどやっぱり恥ずかしいようだ


「ありがとう。優くん」


それでもその優しさが嬉しかった葵は優希が差し出した唐揚げを頬張った

味は味見の時に食べた味となんら変わらないはずなのだが、その唐揚げは何十倍も美味しく感じた

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