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ポメラニアン転生 〜俺が望んだのはこっちではない〜  作者: しゅーまつ


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手触りが良さそうだ

朝イチってこんなに薬師錬金ギルドって混んでるんだな。


受付がめっちゃ忙しいそうなので声をかけずに上に上がった。


コンコン


「入れ」


「こんちはー」


「おぉ、ポンタ。アポが取れたぞ。来週の日曜日だ。これぐらいの時間に来てくれ」


「教授も付いてきてくれんの?」


「当たり前だ。今日はどうした?」


「引っ越したからその連絡。店はまだ出来てないけど宿を取ってる期間が終わったから」


「そうか。なら用事があればそちらに使いを出そう」


「教授は個人の通信魔導具を持ってる?」


「あるぞ」


「なら、これが俺の連絡先」


「通信機を買ったのか?」


「他国に手紙を送ることが多いからね。店にも必要だろうし」


「そうだな。魔石は大丈夫か?」


「たくさん持ってるから大丈夫。ズーランダでいっぱい貰ったんだよ」


「ならいいか。遠慮なく送らせて貰おう」


「用事のある時だけにしてね」


わかっていると横を向かれた。良かった先に釘を刺しておいて。


「プーアンにも教えていいか?」


「いいよ」


「服は前ので行くのか?」


「いや、新しく作ったよ。せっかく買ってもらったけどやっぱりスカートはねぇ」


「ならいいか」


「なんかあったの?」


「最近似たようなファッションで歩いている女の子達を見たのだよ」


「え?」


「貴族街の流行になるかもしれんぞ」


「スカート短いの?」


「年配者には不評だが若い者はそんなのどこ吹く風だ」


元の世界でもそうだったな。


「あと、お前の目元みたいな化粧をしているものも居たぞ」


「えーっ、そんなのされたら俺も化粧しているみたいに思われんじゃん」


「しょうがあるまい。規制する訳にもいかんだろ」


なんてこったい。まぁ、貴族街に行く事はないからいいか。そのうち付けケモミミとか流行るんじゃないだろうな?


用件は済んだので帰りがてら街を見て回る。あれだけ濃密だった日々が嘘のようにすることがなくなってしまったのだ。


別に今必要な物は無いので見てるだけだ。ちょっと王都の反対街の冒険者向けの店まで行ってみよう。


てくてくてくてく


広いな王都街。どこまで歩けばいいのだろうか?


2時間歩いた所で後悔する。まだ辿り付けてないのだ。これ10キ近くは歩いたよな。誰かにあとどれぐらいか誰かに聞いてみよう。


「あのすいません」


「なんだい?獣人のお嬢ちゃん」


お嬢ちゃん…


「港街と反対側にある冒険者ギルドに行きたいんだけど、あとどれぐらい歩いたら行けますか?」


「あー、それならもう少しだよ。連れてってあげようか?ちょっと付き合ってくれたらの話だけど」 


げっ、


「大丈夫です。ありがとー」


ポンタは走って逃げた。こっちまで来るとバチの噂は広まってないからな。


それから30分歩いてようやく発見。


中で店の場所を聞いてみよう。


「すいません」


「はい、依頼ですか、それとも登録ですか?」


テンプレだなこれ。


「冒険者向けのお店がこちら側にあると聞いて来たんですけど場所が分からなくて」


というと場所を教えてくれた。ここも受付はウサギ族だ。垂れ耳じゃなく立ち耳で濃いグレーのキレイな髪の毛をした人だった。ロップはカワイイ系、こっちは美人系だな。


髪の毛が手触り良さそうだなと思って見ているとどうかしました?と聞かれた。


「あ、ごめんなさい。キレイな髪の毛で手触り良さそうだなとか思っちゃって」


「ふふふ、触ってみます?」


「いえ、セクハラとか言われたら困るので」


「女同士でそんなことは言いませんよ」


「俺は男なんですよ。こう見えても」


「えっ?お化粧とかされてますよね?」


「これ模様なんです。良く間違われますけど」


「そうだったんですか。さっきのはナンパですか?」


「ちっ、違います。港街側の冒険者ギルドも受付の人がウサギ族だったので、王都のギルドはウサギ族が多いのかなぁとか」


「港街側?」


「はい。E級ですけど俺は冒険者なんですよ」


「もしかしてロップのことですか?」


「あれ?知り合いですか?」


「はい。私はレッキスと言います。ロップとは友達ですよ」


「そうだったんですか。俺はポンタです」


「もしかして良く手紙を送ったり送られたりしてる人?」


「はい。もう個人で通信機を買いましたのでギルドにお願いすることは無いと思いますけど」


「そうだったんですね。ロップに食事を誘ったきりだから拗ねてましたよ」


やべぇ、バレてる。


「ちょっと引っ越しと店の開業でバタバタしてまして。帰りにでも顔を出して来ます」


「付き合ってるんですか?」


「ちっ、違いますよ。いつも色々と教えてもらってるのでお礼に食事に誘ったんです」


「へぇ、冒険者なのに店をですか?」


「ポーションの資格が取れたのでポーション屋です。店はもうすぐ出来ますけど、販売はまだ先ですね。保存魔法の資格の事を知らなくて結果待ちなんです。その間他の物を売ろうとは思ってますけど」


「何を売るんですか?」


「回復ドリンクはまだだな…、塗るポーション…もまだだめだな。えー、黒砂糖とはちみつかな」


「色々取り扱うんですね」


「まぁ、ズーランダに知り合いが多いので物が手に入りやすいんですよ。岩塩もギルドに買い取り出してたりしますし」


「あー、なんかちょこちょこ問い合わせありますよ」


「そうなの?」


「はい。全部港街の方に問い合わせは回してますけど」


「こっちまで問い合わせが来るんですね」


「聞きづてでギルドに問い合わせるからだと思いますよ」


「ここにも買い取りを出しましょうか?」


「あ、ぜひお願いします」


「いくつ必要ですか?」


「大きさはどれぐらいです?」


「500gに統一してます。売りやすいかなと思って」 


「え?」


「塊なんですけどね、粒になった奴の方がいいならそれもありますけど水を吸ってビチョッとしてくるでしょ?」


「あ、はい。では塊を10お願いします」


というので渡して7万Gを現金で貰った。


「その赤いカバンはマジックバッグですか?」


「一応」


「可愛いですねぇ。やっぱりあっちの方が良いの売ってますよね。次の休みに遊びに行こうかな」


「ここまで歩いてくるの大変でしたよ」


「普通は馬車に乗りますよ。冒険者なら歩くかもしれませんけど」


乗り合い馬車があるらしい。料金は片道500G。帰りはそれに乗ろう。


仕事でもないのに話し込んでしまった。


「ゴメンね、時間取らせて」


「はい、またのお越しをお待ちしております」



冒険者向けの店になる入るとそれらしき客が多い。コディアでランガスと入った店よりずっと大きいや。アウトドアショップという感じだな。


参考までにマジックバッグを見ると、ズタ袋みたいな物や肩掛けカバンみたいなのが多かった。確かに可愛いさは無く実用性重視なんだろう。俺も元々イメージしていたのはあんな感じだ。決してランドセルではない。容量だけで比較するとあの店よりずっと安い。


「ちょっと聞いていい?」


「え?あ、はい」


俺と同じくらいの背丈の女の子に声を掛けられる。杖持ちだから魔法使いかな?


「それマジックバッグ?」


「一応そうです」


「どこで売ってるの?」


「港街側の魔導具ショップだけど、一点ものだからもうないよ」


「残念。ちなみにいくらするの?」


「1000万ぐらい」


「あなた高ランクなの?」


「Eだよ。冒険者としては採取ぐらいしかしてなくて、あとは物を売ったりとかしてるから」


「そうなんだ。ありがとう」


なんか淡々とした子供みたいな娘だったな。あの娘ならこれ似合うかもしれない。


魔導コンロを売ってるけど一口タイプばかりだから二口タイプをウィリアム達の店で買うか。


寝袋やテント、鍋や重ねられる食器とかまんまキャンプ用品だ。懐中電灯みたいなものとかまであるんだな。あ、塩ケースなんてあるんだ。へぇ、蓋の裏が卸金になってるからこれでゴリゴリするんだ。


500の塊だと大きいのかな?300くらいなら入るかな?


おっ、ぴったり。


「塩入れが珍しいのか?」


「わっ、びっくりした」


声を掛けて来たのは犬獣人。頭に白い筋が入った黒犬だ。獣度2ってとこか。


「いや、冒険者ギルドに岩塩の買取してもらったんだけど、大きかったなと思って。これ、300gぐらいのが入るんだよね?」


「そうだ。大体1ヶ月分ぐらい持つぞ」


なるほど。


「ありがとう。次から冒険者ギルドには300ぐらいのを卸すよ」


「色々な大きさのをもってるのか?それとも割って調整すんのか」


「そう。自分でも使うから調整して売ってる」


「へぇ、面倒くせぇことしてんだな」 

 

「まぁ、使う人が便利な方がいいからね」


俺も自分で削るならやらん。


「いくらで買取なんだ?」


「500ので7000Gだよ」


「高っけぇぇ。そんな塩あんのかよ」


「料理人には人気なんだよ。ギルドも冒険者じゃなくて違うところから引き合いがあるんじゃないかな?」


そう考えると300のは作らなくてもいいかもしれん。遠征の時にそんな高い塩使うこともしないだろうからな。


「普通とのそんなに違うのか?」


「まぁ、肉とか焼くのには旨いよ」


「そうか、旨いのか…」


「気になるならギルドの買取価格と同じで売ろうか?」


「いや、流石に塩にそんなに払う気はねぇな」


「うん、こだわらないならその方がいいよ。違いがわかんなかったらもったいないからね」


「俺を味音痴だといいてぇのか?」


「いや、解る人の方が少ないかも知れない。職業柄意識して味わう人とかじゃないと」


「こう見えても俺は飯にはうるさいんだ。7000G払うから寄越せ」


いいのかな?


「じゃあ、はいこれ」


「これが7000Gの塩か…」


「卸値だから普通に買うともう少し高いよ」


「わかった。今夜これで肉を焼いて食って試してやる」


「うん、7000Gの価値があるといいね」


こんな所で塩が売れるとは思わなかったな。


ジャガーが遊びに来たらこの店に連れてこよう。なんか欲しい物があるかもしれん



ポンタは小柄な女の子と威勢の良い冒険者に声をかけられた後、乗り合い馬車で港街方面まで戻ったのであった。



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