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ポメラニアン転生 〜俺が望んだのはこっちではない〜  作者: しゅーまつ


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マジックバッグ

ブクマ、評価、いいね等を頂いている読書様ありがとうございます。お読み下さっている方の反応を頂けるのが書く励みになっております。

ー閉店後ー


「新メニューも好評、酒もよく出て単価も上がったな。客も楽しそうにしてやがったな」


「うん、そのうち地元の人の宿泊が入ると思うよ。頻度が増えたら奥さん連中から文句が出そうだけどね」


「出るか?」


「頻度が増えたらね。文句が来たら奥さん用のプランを作ればいいよ」


「なんだ奥さん用のプランって?」


「俺が塗るポーションを作ってるの知ってるだろ?あれ、売値を一瓶2万Gにしようと思ってるんだ」


「ポーションとはいえやっぱり高ぇな」


「奥様プランはそれをひと塗りサービスとかにしたら?自分では買えないけど使ってみたいとは思うだろ?シミやソバカスは一度で取れるから2ヶ月ぐらいはもつと思うんだよね。宿には無料であげてもいいけどどうする?」


「いや、お前が店を持ったら甘える訳には行かねぇ。ちゃんと仕入れる」


「なら業者価格ということで半額で卸すよ」


そいつは助かると言われたので初回は1万G、次回からは中身補充で2000Gぐらいもらえばいいか。瓶代がいくらになるかまだわからんからな。


「ポンタ、あんた品のいい客と長い間話してたろ?誰だい?」 


「あの人、貴族専属のコックさんなんだよ。どの貴族かわからないけどかなり凄い人なんじゃないな」


「へぇ、凄腕の料理人か」


「うん、アヒージョに使ってる塩が岩塩だと解ったみたい。使ってる岩塩に興味がありそうだから3塊販売しておいた」


「へぇ、そりゃあ凄えな」


「それにゴードンさんの事を褒めてたよ。安価な材料で見事に仕上げてあるって。ポイントカードを貰って帰ったからまた来ると思うよ」


「そうか。なんか同業のやつが食ってるかと思うと緊張すんな」


「お客さんはお客さん。特別な事をする必要ないよ」


「そりゃそうだ」




翌日ハインツ・ブラウンは書庫の歴史書を調べていた。


かなり古い歴史ですね。なるほどあの娘の言っていた事と合致する部分が多いのは驚きです。ポーションの有資格者はこのような勉強をするものでしょうか?


ハインツは不思議に思った。ポーションの有資格者は数多くいる。それであればあの場所が呪われた場所だと噂にはならないのでは?もしくはあの土地を祀るなどをして保存するのが当然。しかし国は開発許可を出した。この文献も残っていた事が奇跡なぐらい古いもの。


もう少し調べてみますか。ズーランダ産の岩塩はともかく胡椒があるとは初めて聞きましたからね。




ポンタは予定がないので港街まで来ていた。市場には出ないような掘り出し物の魚がないだろうかと。


大小様々な魚が市場には売られているが扱いが雑だな。冷やしてないからまず生で食うのは無理だな。


どの店もどちゃっと魚を山積みで販売だ。


お、カツオみたいな魚が安い。生は無理そうだけど火を通せば食えそうだ。


「おっちゃん、これ頂戴」


「いくつ必要だ?」


「3つ」


「持てるのか?」


「なんとかね。いくら?」


「千Gでいいぞ」


随分と安いな、流石は港街。


「じゃあはい3千G」


「違う、3匹で千Gだ」


「え?こんなに大きな魚なのに?」


「この時期のそいつは脂乗りが悪いから旨くねぇ。だから売れねぇんだよ」


「そうなんだ」


「秋に捕れる奴は一匹で千G以上するぞ」


「これさぁ、網で捕るの?それとも釣るの?」


「網だ」


「捕った後氷に漬けたりする?」


「もっと暑い時だけな。この時期はまだ使わねぇ」


なるほどな。


「捕れたての魚を食べたいんだけど、船に乗せてくれたりする?捕れた魚をその場で買いたいんだけど」


「まぁ、お前ぐらいちっこいと邪魔にはならんだろうが落っこちても知らんぞ」


「邪魔にならない所に掴まっとくよ。いつも何時頃出港すんの?」


「夜中の3時頃だ。本当に乗るならそれより前に来とけ」


「ありがとう。明日来るよ」


素人を船に乗せられるかっとか怒られるかと思ったけど随分とあっさり了承してくれたもんだ。このカツオはオイル漬けにして、明日の漁で捕れたらタタキで食べよう。誰もいないのを見計らってカツオっぽい魚をアイテムボックスに入れておく。


次は冒険者ギルドだ。



「こんちはー」


「おはようございますポンタさん」


「通信の魔導具の事で教えてもらっていい?中古で買ったんだけど使い方というか宛先がわからないんだよ」


「そうなんですか。でも通信の魔導具をここには持ってこれないし… 中に入ってもらってもいいか聞いてきますね」


そしてしばし待つとどうぞと案内された。



「中にもこんなに人がいるんだね」


「王都のギルドは小さな依頼から大きな依頼までたくさんありますからね。処理も大変なんですよ」


パソコンがあれば早いだろうけど全部手作業だからな。


そしてギルドの通信機械は大きかった。大型ディスプレイも付いてんだな。


「えーっと、宛先はどちらが必要ですか?」


「連合3カ国の冒険者ギルド、ズーランダの冒険者ギルドと跳ね馬商会ぐらいかな」


ロップの話によると知らないところから入って来た連絡先は自動で宛先保存してくれるらしい。各国のギルド宛に送ると、誰宛か表示されてプリントするかどうかは任意だそうだ。


「いつも俺の顔を見たら手紙届いてると教えてくれたりするけど誰に手紙が来てるか全員覚えてんの?」


「まさか。個人宛に手紙が来るのは珍しいんですよ。色々な国を渡り歩いている人がどれだけいると思います?」


そりゃそうか。


「でももう直接ポンタさんの所に届くようになったらそれもなくなりますね」


「そうだね」


「これで安心してラブレターも送れますよ」


「そんな人はいないよ」


「あら残念ですね」


テヘペロをするロップ。


そして宛先をプリントしてくれた。これを登録すれば大丈夫らしい。相手に送る初回は誰から送ったものか書いておいたほうがいいとのこと。それと誰に送るかを入力しないと本人がギルドに顔を出す前に他の場所でプリントアウトされてしまうとデータが消えるとのこと。


ズーランダギルドに送ってズーランダの王都ギルドがプリントしたら、北の街のギルマスの所ではプリントアウト出来なくなるということか。


「ありがとう。今夜にでも試してみるよ」


「私にラブレター送ってくれてもいいんですよ」


「やだよ。他の人に見られるじゃんかよ。それにロップファンの冒険者に殺されそうだ」


「うふふ、ギルドの受付は女っ気のない人たちから人気があるのは誰でも一緒ですよ」


冒険者はむさ苦しい男比率が高いからそうかもしれん。俺にお触りしようとかしたやつはバチが当たるとかが知れ渡ってるから比較的安全にはなったけど。


「ランガスから手紙は来てないんだよね?」


「来てませんね」


帰ったらテストを兼ねてもう一度送ってみるか。もしかしたら他国にまで遠征してるかもしれないから連合国全部に送っておこう。


「ありがとう。中まで入れて貰って悪かったね。あと岩塩の買い取りお願いしようかな。もしかしたら買いに来る人がいるかもしれないんだよ」


「じゃあ今持っている分全部買い取りに出します?」


全部ってアイテムボックスの中の出したら驚くだろうな。


カバンの中に入ってるぐらいの量なら5つだなと思い、受付まで戻って5個買い取りに出した。


その時に威勢のいいパーティーが帰ってきた。


「おうっ、丸で買い取り頼む」


と、リュックのようなバッグからミノタウルスをどんと出した。


「あのバッグに何であんなの入ってんの?」


「マジックバッグですよ。あれがあると獲物を丸ごと持って帰れますから」


「いくらぐらいするか知ってる?」


「かなり高いと思います。本気で稼ぎたい人は借金して買ってますね」


「魔導具ショップで売ってるの?」


「あるかもしれませんけど、冒険者向けの店があるんですよ。そこの方がいいかもしれません」


場所は港町の逆側。ギルドの近くの方が良いのにと思ってたら、反対側にもギルドがあり、農村地や森へ向かうには反対側の方がいいらしい。こっちは港街で商業地区っぽいからな。


「ミノタウルスの肉はどこに卸すか決まってる?」


「入荷待ちならそこに出しますけど、ミノタウルスは通常魔物なので肉屋です」


「俺でも買えるの?」


「はい、もちろん」


「なら今のミノタウルス肉を全部買うよ。明日とかに取りに来ればいいかな?」


「持って帰れます?」


「マジックバッグ買えたら買う。無理なら何回かに分けて運ぶから部位ごとにわけておいてと言っといて」


その後、街の反対側に行くのは大変なので魔導具ショップに売ってるか確認しに行くことに。



「すいません、マジックバッグっておいてます?」


「3階においてございます」


お前なんかに買えるかという雰囲気だ。人は見た目で判断するからな。お買い物用にもう少しいい服を買うべきかな?


マジックバッグコーナーに行くと置いてあるマジックバッグは普通のバッグと見た目はかわらない。お安いものはウエストポーチタイプでポーション瓶が5本はいるサイズで10本入るもの。これで30万G。これではカムフラージュにはならんな。


せめてミノタウルス1頭はいるぐらいじゃないとカムフラージュにならない。


リュックタイプは容量がよくわからんな。この300万Gのでどれぐらい入るのだろうか?


「すいません。これってミノタウルスは入ります?」


は?という顔をされる。


「ミノタウルスとはどれぐらいの大きさですか?」


あー、街にずっといると知らないのか。


「ウシより大きいぐらい」


「そんな大きな物は入りません。こちらで小麦30kgの小麦袋が入るぐらいです」


見た目容量からしたら4〜5倍程度か。それで300万Gならミノタウルスが入る奴をるのに買うのは無理だな。


当然買わずに出る。ついでに工房によっていこう。


「こんちはー、ウィリアムさんに約束はしてないけど会えるかな?」


というと呼んで来てくれた。


「まだ出来てねぇぞ。試作品の試作品は作ったから見ていくか?」


ということで上のフロアに。特許商品を作ってるから部外者立ち入り禁止じゃないのか?


「見た目は今は勘弁してくれ」



これだと言って見せてくれたのは扉が2つ付いた簡素な自販機。


「ここが金を入れる所だ。入れた分だけここに金額が表示される。で、この扉の価格まで入れると青く光る。どうだこれで?」


「うんうん、イメージ通りだよ」


「ならこの仕組みでいいか。証明証で払う仕組は扉の裏に入金先を登録してやりゃいいんだが入金されたらそこに反映させる為の通信システムを組まにゃならん」


「現金と同じで、回収に来たときに受け取るんじゃダメなの?」


「それでもいいのか?」


「だって現金でも回収するじゃん」


「それもそうだな。じゃ通信システムはやめておくか。無駄に高くしちゃいけねえからな」


「これさ、各扉の中を冷やせたり出来る?」


「ポーションなんか常温で飲めばいいんじゃねぇのか?」


「これ、他の商品への流用も考えてんだろ?小型のなら宿屋にあるといいんじゃないかと思うんだよね」


「宿屋?」


「ほら、宿屋の人が寝た後に酒が欲しくなっても買えないでしょ?これがあればそれが解決すると思うんだ」


「なるほどな。宿屋の中なら防犯も不要か。で、酒を冷やすなら必要だな」


「屋外に設置するタイプは雨風に強い防錆処理とかも必要だし」


「そうだな。また来たら進捗具合を見てくれ」


「了解」


「お前の用件は何だったんだ?」


「マジックバッグを買いに来たんだけど高くて無理だった。容量も思ったより少しか入らないし」


「ここで売ってるのはファッション性重視だからな。商人や高ランク冒険者向けのはおいてねぇ」


「やっぱり冒険者向けの店に行かないとダメだね」


「どれぐらい入るのが欲しいんだ?」


「ウシ一頭分ぐらい」


「見てくれはどうでもいいのか?」


「リュックタイプがいいかなとは思ってるけど何でもいいや」


「ちょっと待ってろ」


そう言ったウィリアムは倉庫の方へ何かを探しに行ったのだった。




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