表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒の召喚士 ~戦闘狂の成り上がり~  作者: 迷井豆腐
アフターストーリー3 結婚編
953/1031

第343話 聖宇宙

 俺は今、宇宙のど真ん中に居る。何を言っているのかマジで意味不明だと思うが、状況的にはそう言わざるを得ないんだ。ああ、お星様が綺麗…… まあ、星は星でもアレな訳だが。


「おいおい、これは一体何の冗談だ?」

「冗談とは酷いなぁ。強いて言うなら、そうだなぁ…… 俺なりに考えて編み出した、俺流勇者戦術ってやつですかね?」


 リオンに似た可愛げのある笑みを浮かべ、同時にどこか得意げな様子の舞桜。しかし、そんな奴の雰囲気とは真逆に、この状況は何とも不気味なものであった。


 戦いが開始された直後、俺は意気揚々とクライヴ君を掲げ、早速舞桜と斬り結ぼうとした。暫くの待てを食らい、その後にクライヴ君使用可のゴーサインが出たのもあって、俺のテンションは最高潮に達していたんだ。けど、舞桜にそのつもりは一切なかったのか、接近戦を試みる俺と相反するように、後退しつつ距離のキープに一貫するばかり。セルジュのように手持ちの聖剣を変形させる素振りもなかった。


『遠距離からの魔法の撃ち合いが御所望か!?』


 などと、そんな挑発もしてみたが、これに反応する事もないと来た。一体何を企んでいる? 構わず、魔法の砲撃戦を始めてしまうか? なんて事を考えているうちに、それは出来上がっていたのだ。


『ああ、良かった。俺のイメージ通りになってくれた。流石は歴代最強勇者のセルジュさんだ。本来の俺の力じゃ、こんな風にはいかなかった』


 さっきまで散々無視を決め込んでくれていた舞桜の口から、安堵とも取れるそんな台詞が零れ落ちる。で、場面は現在へと繋がり、冒頭の俺の台詞に続いていく訳だが。


「っと、すみません。さっき何か喋っていたみたいでしたけど、俺、すっごく集中していて全然聞いていなくて…… えっと、何て言っていたんです?」

「……いや、そういう事なら気にしなくでくれ。まあ、何だ。つまりはこの状況を作り出す為に、俺から逃げ回りながら、下準備をしていたって訳か」


 改めて周囲を見回す。コレットが施した結界の内側、そこには幾つもの星々が、言うなれば小型の惑星が浮かび、辺りを旋回していた。ひぃ、ふぅ、みぃ…… 浮かんでる星は全部で七つか。俺は宇宙やら星やらに詳しい訳じゃないけど、僅かにではあるが、その辺りの知識が備わっている。あのひと際大きい縞々模様が木星だろ? 星の周りに輪っかがあるのが土星だ。なるほど、恐らくこれら惑星は太陽系に存在するそれを模しているんだろう。何とも大掛かりなものを作り出したもんだ。


 ええと、太陽系の惑星って言うと、残るは火星、水星、後は――― あ、やべぇ、木星土星と地球以外の星のビジュアルが思い出せない。火星とかって、何色の星だったっけ? 火ってくらいだから、赤色のアレがそうなのか? いや、地球に最も特徴が似ている星だって、どこかで聞いた事があるような気もする。となると、青いやつが火星? ……と、兎も角、太陽系の惑星は全部で八つだった筈! ……んん、八つ?


「……なあ、地球が見当たらないようだが?」


 星の特定を放棄した俺が次に気にしたのは、最も見慣れた惑星である地球の存在だった。ある意味で一番目立つその存在が、今はどこにも見当たらない。


「いやあ、流石に地球を攻撃に使う訳には――― っと、危なッ! ちょっとちょっと、ケルヴィンさん! うっかりネタ晴らしをさせようとしないでくださいよ! ケルヴィンさんに質問されたら、俺、うっかり口を滑らせてしまいますって!」

「えっ? そ、そうなのか? まあ、過度のネタバレは俺の望むところではないし…… オーケー、能力についての質問はしないでおくよ」

「是非ともそうしてくださいッ!」


 物凄い勢いで頭を下げられてしまった。それだけ俺に気を許してくれているって事だろうか? けど、今までの会話で何とな~く、能力の糸口が見えていたりもするんだよなぁ。


 俺流勇者戦術、流石はセルジュの力――― 舞桜が口にした、それら二つの単語から導かれる答え、それはズバリ、勇者の得物である聖剣ウィルだ。知っての通り、あの聖剣には勇者が願った姿形に変身する力が備わっている。セルジュの場合、この能力を使って色んな武器を使ったり、得物の数自体を数千倍以上にまで増やしていた。いや、それも俺が確認した限りの本数で、限界ではないのかもしれない。兎も角、だ。セルジュは本人の強さだけでなく、この能力を一番上手く扱えていたからこそ、最強の勇者と呼ばれているんだ。


 実際、セルジュは聖剣の扱いが群を抜いているよなぁ。現代の勇者である刀哉なんて、未だに二本までしか剣を増やせない訳だし、過去の舞桜も聖剣の形を若干変化させるに止まっていた。と言うか、セルジュ以外の勇者は全員その域でストップしていたんだと思う。他が弱いのではなく、セルジュと言う勇者があまりに突然変異だったんだ。


 で、今回の場合、舞桜はそんなセルジュの力を用いて、セルジュ以上におかしい事をやらかした。自らの願いの形として透写したのが、今俺達の周りを回っている惑星群って訳だ。うん、おかしい。普通、聖剣で惑星を模倣しようなんて考え付かないだろ。最早、得物という概念を超越しちゃってるよ。ディティールにまでやたらと拘っていて、目を凝らせば惑星の模様――― 雲とか嵐? に当たる部分が動いているように見えるし。 ……これ、本物じゃないよね? と、そんな馬鹿な心配を本気でしてしまうくらい、出来過ぎた出来になっているのだ。


「―――舞桜はこれら惑星を使って、果たしてどんな攻撃を仕掛けて来てくれるのか…… 想像するだけでも、ご飯が何杯でもいけるッ!」

「あの、ケルヴィンさん? さっきから考えている事が駄々洩れなんですけど? 確かに質問ではないかもですけど、心の声を大にして洩らすのもどうかと思いますよ?」

「え、嘘!? 直接声に出てた!?」

「ええ、もろに…… と言いますか、俺がこの『聖宇宙シュステマソラーレ』を作り終わるの、わざと待っていましたよね? 魔法を撃ちたそうにしていましたけど、必死に我慢しているようでしたし」

「あ、バレてた? ……って、それ以前にお前、集中云々とか言っていた癖に、よく見てるじゃないか」

「あ、また口が滑った…… まっ、そこはお互い様って事で。ともあれ、ここからはお互いに何の気兼ねもなく、やり合えますね?」

「ああ、漸くな。ああ、そうだ。宇宙は宇宙でも、空気があって安心したよ。まあ、真空状態でも何とかはなるけどさ」

「ハハッ、本当に無茶苦茶な人だなぁ、ケルヴィンさんは」


 舞桜に対する直接攻撃は控えていたが、クライヴ君に強化を施すなど、諸々の補助魔法の付与は既に終えている。さあ、舞桜よ。この疑似宇宙空間を使って、一体何をして――― ん? 舞桜の聖剣も形状を変えている? 昔使っていた大剣か? いや、アレは―――


「―――ビリヤードの、キュー?」

「流石はケルヴィンさん、一目で見破ってしまいますか。不味い不味い、これ以上情報を与える前に、早速ブレイクショットと移らないと! ではでは!」

「お、おい、まさか……」


 舞桜が聖剣キューを構え、ちょうど目の前に移動して来た赤い惑星に狙いを定め始める。ここまで来ると、最早舞桜の狙いは明白だ。


「ブレイクショット!」


 そう、想像した惑星をビリヤードのボールに、結界内のこの空間をビリヤード台に見立て、ゲームをスタートさせたのだ。キューによって惑星が弾かれ、それが別の惑星にぶつかり、衝撃が次々に拡散されていく。こ、これは…… ひょっとして、もろに物理な攻撃!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] まさかのビリヤードww
[一言] どこまで再現してるのか知らんけど惑星の大きさ違い過ぎて木星辺に飲まれるだけにしか見えないだろ… 惑星でビリヤードの発想は面白いけど
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ