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黒の召喚士 ~戦闘狂の成り上がり~  作者: 迷井豆腐
アフターストーリー3 結婚編
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第275話 敵対宣言

 突然のマリアの敵対宣言。その宣言の相手が俺であれば嬉しい誤算で済んだのだが、よりにもよってその矛先はアダムスの方を向いていた。おい、こっち向けよ。


「ほう? ただの我を指名するか。一応、理由を聞いても?」

「だってだって、ルキルちゃんの目的って、今の体制下じゃないとできない事でしょ? 仮にアダムっちゃんが今の一番偉い神? みたいなのに勝っちゃったら、世界の在り方そのものが変わっちゃう。そうなれば、転生神って役職もなくなるかもしれないもん。ルキルちゃんにお呼ばれされた妾としては、そんなの許容できませーん! だから倒して、また封印する! ほら、敵対する理由としては十分でしょ?」

「ふむ……」


 アダムスが顎に手を当て、何かを考え込むような動作を取る。そして、同じく俺も取る。


 なるほど、マリアは世界に対する運営体制を維持したい考えなのか。確かにアダムスの世界の大枠を変えようとする行動は、俺達の住まうこの世界に何の影響がなくとも、それを管理する側の体制には何かしらの変化を及ぼす可能性がある。その結果、転生神がなくなったら台無しって訳だ。しかし、本当にそんな事になり得るだろうか?


 正直なところ、転生神が普段どんな仕事をしているのか、その詳細の殆どは俺の知るところではない。けど、その仕事の中でも最も重要であったのは、邪神アダムスの封印を維持する事であったのは分かる。意図して魔王を生み出し、勇者にそれを倒させる事で邪神の力を弱体化させるという、この世界のシステム自体がアダムスを封印する為にあるようなもんだからな。義体の身とはいえアダムスが復活した以上、たとえ現体制派の主神側が勝利したとしても、転生神ってこれからも必要なの? って感じで、その必要性が問われる事に繋がるかもしれない。要はどっちが勝っても駄目って事だ。


「なるほどな。ルキルの目的を全うするのであれば、アダムスが復活状態にある事自体が許容できないのか」

「そういう事! アダムっちゃん、妾らの新ユニットライブ、その最前列の席を用意するからさ、それで手を打たない? これを逃したら、次にいつ近くで見られるか分からないよ? これはチャンスだよ~?」


 ええっ、よりにもよって、それを対価にするのか……? それ以前に封印されたら、次もクソもないと思うんだが。


「魅力的な提案だが、ただの我としては許容できんな。神の身ではないとはいえ、この身はただの我の配下が命を賭して顕現させたもの。何を対価に捧げられても、ただの我は頷けんよ」

「そう? それは残念。なら、どうしよっか?」

「さて、どうしたものか」

「「………」」


 二人の視線が衝突し、空間が歪み始める。おっと、これは良い雰囲気――― じゃないくて。


「おい、公共の場でその気になるなよ。あと、俺を抜きに話を進めるな」

「そうだよ、マリア。焼き鳥屋さんがなくなったら、世界にとっての損失だよ! モグモグ!」

「ん、その通り。焼き鳥は人類の宝。もっきゅもっきゅ」

「うう、何か空気が悪い…… 気持ち悪い……」


 君ら、俺に賛同してくれるのは大変ありがたいんだけどさ、せめて焼き鳥を食い終わってからにしてくれない? あと、エマは胃腸薬を飲んで安静にしてなさい。


「……それもそうだね。妾、他の世界ではいい子ちゃんだから、ここは聞き分けてあげる」

「ふむ、ただの我も些か軽率だったようだ。ここに謝罪しよう。それと店主、酒のおかわりを」


 テーブルの上での浮遊を止め、大人しく自らの席へと戻るマリアと、本日何升目かも分からない酒の追加注文をするアダムス。空気はすっかり元通りだ。この場でバトルを始める期待と心配は、どうやらなくなってしまったようだ。いや、なくなったようだ、か。


「まあ、双方の目的が相容れないって事は分かったかな。あと今更だけどさ、アダムスが復活した事って、主神側は把握していないのか? 知っていたらアダムスがちょっかいを出す前に、そっちの方から何かしらの干渉をしてきそうなもんだけど」

「ただの我も実際のところは知らん。が、ここまで何もないところから察するに、未だ気付いていないのだろう」

「それって危機感足りなくない? アダムっちゃんを封印する為に、わざわざこの世界を丸ごと使っているんでしょ? 普通は封印が解かれた瞬間に、警報とか何かしらの手段で知らせるものだと思うけど~?」

「尤もな意見だな。神であった我と戦っていた時代ならば、その程度の事はしていたと思うのだが…… 大戦から悠久の時を経て、そんな当然の事もできないまでに腑抜けてしまったのかもしれんな」

「いや、流石にそこまでは―――」


 そう言いかけながらも、これまでの出来事を振り返ってみる。


 世界を転生させて永遠に俺を楽しませるという野望、それを達成する為に黒女神時代のクロメルが暗躍していた際、主神サイドからの接触は何もなかった。アダムスを封印している場所がそんな事に巻き込まれたら、普通、管理している側としては大事になる筈だ。なのに、何もなかった。


 その後、メルが寿退社する形で転生神を辞め、ゴルディアーナにその任を引き継いでいってからも、主神サイドからのお達しは何もなかった。平時ならまだしも、転生神が代替わりするタイミングでも何もないのは、流石に管理者として不味いのではなかろうか? 俺は不味いと思うのだが、結局何もなかった。そう、なかったのだ。


 ……い、いや、俺が知らないだけで、ひょっとしたら当事者であるメルとゴルディアーナにだけ、何かしらの接触があったとも考えられる。そうだ、きっとそうに違いない。でないと、今の神の体制は相当に平和ボケしているって事になってしまう。


『あなた様、何やら悩んでいる様子ですね。正妻であるこの私が、あなた様のお悩みを解消して差し上げましょう』

『メ、メル!?』


 何か凄く良いタイミングでメルさんからの念話がきた! さてはまた心を読んだな!? 遠距離読心術だな!? けど、ナイス!


『丁度良かった。メル、お前に聞きたい事があるんだ。実は―――』


 かくかくしかじかメルメルっと、主神について質問。


『―――なるほど。あなた様の疑問は尤もですね』

『そうなんだ。神様の関連の込み入った話だから、やっぱ答えられないかな?』

『いいえ、義体であればお答えする事ができませんでしたが、今の私は正真正銘自らの身体を有しています。ですから、ズバリお答え致しましょう』

『おおっ!』


 まさか、こんなにも簡単に聞き出す事ができるとは。普段の行いが良いからかな?


「ねえねえ、ケルヴィン君が高速百面相をやってるけど、どうしたのかな?」

「ん、ケルヴィンはたまにあんな感じになる。指摘しないであげるのが優しさと言うもの」

「あははー! 面白ー! 何それ、宴会芸!? 宴会芸なの!?」


 ……念話中の覗き見はマナー違反だと思います。


『何やら面白い事になっているようなので、手っ取り早く説明しますね』

『う、うん、頼む』

『率直に言ってしまえば、私が転生神であった全期間中においても、主神はおろか他の神々とも連絡を取り合った事は殆どありませんでした。クロメルが出現した後も、転生神の職務をゴルディアーナに引き継いだ後も、それは同様です』

『えっ? 丸っきりないのか?』

『ええ、丸っきりありません。転生神だけはその特性上、定期的にその役目を担う天使が変わっていくものですが、その他の神々はそういった代替わりがなく、寿命も永遠に等しいですからね。時間的概念がそもそも私達とは異なるので、基本的に時間にルーズなのです』

『ええっ、放任主義だったとしても、それは……』

『まあ数千年に一度、各々の世界運営状況の確認を行う会合はあるのですよ? ただ、私がそれに出席する事は結局ありませんでしたし…… あっ、エレアリスの時代には一度あったかもですね。古い情報なので、その詳細までは把握していませんが』


 な、なるほど…… にしても、数千年に一度か。なんつうか、何もかもが大雑把な感じだ。だが確かにそんな調子なら、アダムスの復活に気付かないのも納得な気がする。

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― 新着の感想 ―
[一言]  まあ神様からしたら数千年なんて一瞬でしょうしね。
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